監督:佐藤信介
脚本:野木亜紀子
原作:花沢健吾 『アイアムアヒーロー』
出演:大泉洋、有村架純、長澤まさみ、吉沢悠、岡田義徳、片瀬那奈、片桐仁、マキタスポーツ、塚地武雅、風間トオル、徳井優・・・etc
【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.5点
※リアルタイム映画評
花沢健吾の大ヒット・ゾンビ漫画の映画化。
国際映画祭でも観客賞を受賞、大泉洋、有村架純、長澤まさみの豪華キャストによるゾンビパニック・アクション大作。監督は「GANTZ」「図書館戦争」シリーズの佐藤信介。
クソ映画人の推奨を受けて劇場へ足を運び鑑賞。
なかなか笑えて手に汗握れる秀逸なゾンビ映画で驚いた。
◎あらすじ
漫画家アシスタントとして最低な日々を送る35歳の鈴木英雄。ある日、徹夜仕事から帰宅した英雄は、異形の姿に変貌した恋人に襲われかける。辛くも逃げ出した英雄は、同じように異形の者が人々を次々と襲い、襲われた人間もまた異形の者へと変貌していくさまを目の当たりにする。やがてそれは“ZQN(ゾキュン)”と呼ばれ、謎の感染パニックが日本中で起きていることが分かってくる。標高が高いところは感染しないという情報を頼りに富士山を目指した英雄は、その道中で女子高生の比呂美と出会い、ひょんな成り行きから一緒に行動を共にするのだったが…。
<allcinema>
平穏な冴えないオタク漫画家の日常が、一変してサバイバルアクションへ。
日本のゾンビ映画でこんなに本格的なものが出てきたのかと、邦画のゾンビ映画史の歴史を作ったかもしれないと思った。(筆者は邦画ゾンビ映画初体験。)
それにしても本映画はゾンビ映画好きのつぼを全部押さえたようなデキ。
噛むと感染してゆき、すぐにゾンビ化して暴走する走るゾンビもいる雰囲気は、「28日後・・・」に近い。
そうだ、本作は28日後系列のゾンビだ。
猛烈な怒りウイルスのごとく変貌して飛び掛ってくる、走ることもできる、肉体によってはジャンプすることもできる、なかなか強いゾンビである。ゾキュンか。
ストーリーの流れとしても、28日後的かもしれない。
やはり、島国の国でゾンビ映画を作るとこういう風になるかと。
ただショッピングモールの変わりにアウトレットモールが登場する場面は、『ゾンビ』を思い出して興奮した。韓国ロケによる、日本映画としては異色なゾンビスペクタクルではないか。
80%以上は原作の力だとは思うが、高校生美女と出会った冴えない引きこもりの男が、ショットガンをぶっぱなすB級エンタメ映画としての完成度は驚くほど高い。
脇役も揃っていて、名俳優たちがこぞってゾンビ映画に出演したいと思って自発的に協力したのではないかと思えるデキ。豪華である。
塚地なんかが、あんな脇役ででるんだなと。
徳井優、あと岡田義徳も。脇役の冴え方もいい。
とにかく、ニートが飛躍できる時代が来たと興奮し、2chの掲示板を頼りに動いていく様はかなり完成度の高く現代風な和製ゾンビ映画になったと。
大泉洋も、こんな汚い映画の主演をはって、はまり役になっているとは、ゾンビ映画の並が本作から再ブームになるといいなと思った次第。
本当に主人公のダメダメさがうっとおしくもなる映画であったが、ペキンパーのわらの犬のように暴力に目覚める優しい男の狂気があるような気がして、ショットガンを構える大泉洋は、近年のアクション邦画でのベストショットかもしれない。
ただし、やはりもっと続きがほしい、オチがもう一つ欲しいなと思った次第でした。
ただこの脚力満載のゾンビなどの描き方なんかは、今までにない感じだなあと関心しました。ロレックスの時計で笑えるシーンもあれば、タクシーのカーアクションのようなパニック要素もあり、女子高生もいて、シリアスアクションもあり、盛り沢山で、ゾンビ映画好きには一見の勝ちあり。
本家アメリカのゾンビ映画にはその意味では叶いませんけど、邦画ゾンビ映画では最高峰ではないかな。
続編を待望したい珍しい一本・・・次は劇場までは行かない気がしますが。
kojiroh