『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2014年、アメリカ)――114min
監督:ローラ・ポイトラス
製作:ダーク・ウィルツキー、ローラ・ポイトラス、マティルド・ボヌフォア
出演:エドワード・スノーデン,グレン・グリーンウォルド、ローラ・ポイトラス、ジュリアンアサンジ・・・etc
【点数】 ★★★★★★★★★☆/ 9.0点
※リアルタイム映画評
【原題】Citizenfour
アメリカ政府のスパイ行為を告発したエドワード・スノーデンをリアルタイムで迫ったドキュメンタリー。
第87回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞受賞。
劇場公開されていると知り、2013年の事件の真相を、3年を経て、目にすることができ、衝撃的だった。
○あらすじ
2013年、ドキュメンタリー映画作家であるローラ・ポイトラスに接触をしてきた者がいた。重大な機密情報を持っていると、香港でのインタビューの現場に現れたのが、元CIA職員のエドワード・スノーデンだった。スノーデンの口から語られたのはアメリカ政府によるスパイ行為の数々。世界各国の要人、さらに一般国民の電話やインターネット等をも傍受しているという驚くべき真実だった。
<映画.comより引用>
現代の情報化社会、PCやスマホを経由して人々の動きが監視されて、データが蓄積されている。わかってはいたが、ここまで具体的にプライバシーの危機が迫っているのかと、観ていて鳥肌が立つ恐怖を覚えた。
グーグル、フェイスブック・・・名立たる企業のデータはもう政府の手の中にあり、要注意人物を過去のデータの中からすぐに探せるような時代に・・・そんな管理されたインターネットを正しい方向へ導くべく、立ち上がった29歳のエドワード・スノーデン。
この事件の裏側で、このような動きがあったのだと、歴史が動く瞬間は全て残されていたとは。もう、製作者が無我夢中で現在進行形の革命をフィルムに納めた、という、奇跡の時間が収められている。
香港のミラホテルでの最初の登場シーンから、釘付けになった。
端正な顔立ちで、身のこなしや話し方まで、素晴らしく洗練されていて凛々しい。29歳のこんなしっかりした若者がたった一人で決断するとは――。
IP電話の盗聴やSDカードへの注意喚起、世界の自由のために革命を起こそうとする若者の姿が、とにかく覚悟を決めた男の姿をフィルムに残したこと自体が奇跡的な出来事だと思う。
暗号化されたやり取り、何気ないチャットの一文一文が迫力満載だった。
何しろこれは真実であり、地下に潜った後の出来事さえも移せていることが、衝撃的だった。
優れたドキュメンタリー映画の条件として、意図しない出来事が起こり、ストーリーを揺れ動かしたり、そんな奇跡が必ずある。
ミラホテルの中でのインタビューは単なる密室での動きのない、普通なら単調になりがちなシーンだが、ファイヤーアラームの稼動が突然起きるシーンには、思わず舌を巻いてしまった。
意図的ではない、そんな偶然的な奇跡が無数起きた、歴史が動いた時間を、観客としても共有できた興奮を味わえ、映画としてもストーリーに動きがあり、単なるドキュメンタリーを超えている。
これは本当にIT管理社会の中で生きる我々が、国民全員が見るべき映画かもしれない。
ラストシーン、情報監視社会の中で極秘の会話(○談)をしつつ、ラストのナインインチネイルズのゴーストのエレクトリック音楽が鳴り響くエンドロールが衝撃的だった。
歴史が動く奇跡的瞬間を記録した、ドキュメンタリーの最高傑作だと思っている、『ゆきゆきて神軍』、『アンヴィル』に匹敵しうる10年に一本レベルのドキュメンタリーだと思った。
それにしても、2014年10月のこの映画が日本で公開されるのが遅すぎる。
アカデミー賞を受賞している作品なのに、政府や大きな権力を持つものにとって不都合な映画を迅速に公開しないことに何か理由を感じてしまう、・・・情報化された管理社会への警告として意味のある一本です。
kojiroh
国家は、あなたを監視してる。
「ということは、逆もまた可能ではないのかな」と思いました。
あなたは、米国政府が直面している課題に対する唯一の解決策を
インターネットで公開できます。
米国政府は、あなたがインターネットに公開した唯一の解決策を
監視し、採用せざる得ないということです。
あなたは、国家を操り、支配することも可能です。
君は自分の手で歴史の歯車を回してみくないのか?