『沈黙 サイレンス』(2016年、アメリカ)――80点。スコセッシ新作、宗教とグローバリゼーション

『沈黙 サイレンス』(2016年、アメリカ)――162min
監督:マーティン・スコセッシ
原作:遠藤周作
脚本:ジェイ・コックス、マーティン・スコセッシ
撮影:ロドリゴ・プリエト
出演:アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライバー、浅野忠信、キアラン・ハインズ、リーアム・ニーソン、窪塚洋介、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

※リアルタイム映画評

スコセッシが長年、構想してきて、映画化されるという噂は耳にしてたが何年も待っていてすっかり忘れてた時期、2017年ようやく公開ということで、見に行きました。劇場。

遠藤周作の小説「沈黙」を、「ディパーテッド」「タクシードライバー」の巨匠マーティン・スコセッシが映画化。オール台湾ロケによる17世紀の日本の映像。アンドリュー・ガーフィールドをはじめ、キチジロー役の窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシといった豪華日本人キャストが集結。

◎あらすじ
キリシタンの弾圧が行われていた江戸初期の日本に渡ってきたポルトガル人宣教師の目を通し、人間にとって大切なものか、人間の弱さとは何かを描き出した。17世紀、キリスト教が禁じられた日本で棄教したとされる師の真相を確かめるため、日本を目指す若き宣教師のロドリゴとガルペ。2人は旅の途上のマカオで出会ったキチジローという日本人を案内役に、やがて長崎へとたどり着き、厳しい弾圧を受けながら自らの信仰心と向き合っていく。
<映画com>

BGMがあった記憶がない、静かで幽玄な自然美の映画であったが、突然始まる虐殺などの暴力シーンとのギャップに衝撃を受ける。

音楽はほとんどなくおとなしい、まさに沈黙の映画だが、2時間半という長さを感じないほど、寡黙だが強烈な暴力シーンが刺激的であり、言葉や演技、自然美の力を感じる。

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ポルトガルからマカオ、そして日本へ。奴隷貿易等の歴史がある、日本マカオのキリシタン時代を思い出す。

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主演のガ―フィールドも力のあるいい演技をしているのだが、なんだかんだで本作は日本人役者が西洋役者を食っているように感じる。グッドフェローズのレイリオッタみたいなもの。

強烈な個性と狂言役者的な立ち回りをする窪塚洋介。

「パードレ」という言葉の響きがなんとも強烈で、頭に残っている。

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2017-03-05_173319特に迫力があったのが、井上様役のイッセー尾形。全然知らなかったが、本作で最もいい演技してて、ものすごく迫力ある貫禄の役どころだったと思います。

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ヒール役ではあるが、知的で、かつ迫力がある。その他の役者も豪華なラインナップで、日本映画の顔が揃っているなと。

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テーマとしては非常に深く、信仰と大衆支配、神と救いであったり、政治と宗教、そしてグローバリゼーションという領域まで本作が問いかけるトピックは広がっており、原作の良さもあるが、17世紀を舞台に宗教とグローバリゼーションに大きな問いかけをしているようにも思えてくる。BREXITやトランプ大統領時代の反グローバリゼーションがトレンドになりつつある今の時代において、本作が上映されたことは、ある意味ではぴったりなテーマ&メッセージかもしれない。

それにしても高齢のスコセッシのエネルギーには圧倒されます。

もう80~90点クラスの映画を何本も作ってるのに、強欲な男たちを描いたウルフオブウォールストリートに次いで、次は180度変わって宗教テーマの寡黙で残酷な一作品。

日本人俳優もうまく使っており、彼が敬愛してる黒澤の域にはすでに到達している気がしました。

それにしても、金融の時代から一気に宗教の時代へ転換してきたスコセッシ監督の歴史自体が興味深い一本でした。

kojiroh

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