『ラ・ラ・ランド』(2016年、アメリカ)――128min
監督:デミアン・チャゼル
脚本:デミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、ローズマリー・デウィット・・・etc
【点数】 ★★★★★★★★★☆/ 9.0点
※リアルタイム映画評
オスカー6部門受賞のミュージカル映画――史上最多14ノミネート、監督賞、主演女優賞(エマ・ストーン)、撮影賞、作曲賞 、歌曲賞(「City of Stars」)、美術賞受賞。
日本でもヒットしているラブストーリーということで、筆者は全然趣味ではないが、セッションの監督の最新作かつ、ライアンゴズリング主演ってことで、評判がえらくいいので、劇場に足を運んでみました。
◎あらすじ
夢を追う人々が集う街、ロサンゼルス。女優志望のミアは映画スタジオのカフェで働きながら、いくつものオーディションを受ける日々。なかなか役がもらえず意気消沈する彼女は、場末のバーから流れてくるピアノの音色に心惹かれる。弾いていたのは、以前フリーウェイで最悪な出会いをした相手セブだった。彼も自分の店を持って思う存分ジャズを演奏したいという夢を持ちながらも、厳しい現実に打ちのめされていた。そんな2人はいつしか恋に落ち、互いに励まし合いながらそれぞれの夢に向かって奮闘していくのだったが…。
<allcinema>
ベタでよくありがちなアメリカンミュージカル映画、のように思えて、すごく現代チックに洗練されており、まったく古臭さを感じることなく、カリフォルニアの陽気な季節と共にコミカルかつ、シリアスなシーンも交えて展開されるミュージックストーリーに引き込まれました。
主演の2人はどちらもキャラが立っていて素晴らしいが、特にライアンゴズリングでしょう。ピアノを弾く姿がとても美しい。
ジャズへのこだわりを持つ厄介者で、ここはセッションとも似た設定ですが、頑固な売れないミュージシャンながらもユーモラスな面を持つ部分が特にゴズリングはまり役。
彼はドライブみたいな深刻すぎる役より、マネーショートや本作など、コミカルな部分も見せたイケメン役の方がしっくり来ると思う。
夕暮れ時のダンスシーンの美しさもさることながら、セッションでも共作した、ジャスティンハーウィッツの楽曲が素晴らしいです。特にオスカー受賞したCity of starsが名曲すぎる。古臭いようで新しい、ララランドも含めて、そういう言葉で語りたくなる。
ともかく、何か新しい表現手法があり画期的というわけではないが、素晴らしいです。ぜんぜん古臭くなく、これぞ映画だと思える。ミュージカルシーンでうまくエピソードのオチを完結させることで、スピーディーな物語展開を実現しているようで、チャゼル監督は32歳ながらも、セッションに続きこんな完璧な映画を作れることに脱帽です。
音楽が好きな人はハマる要素大、演技、演出、音楽まで、オスカー14ノミネート納得の、見るべき映画だと思います。
だが、それにしてもセッションといい、本作は音楽という夢を追っている(っていた)ものの共感を非常に得やすいストーリーであり、監督自身もその1人だったこともあり、いわゆるチャゼル監督は、そうした夢追い人の共感や絶賛を誘うストーリーテラーとしては最高峰なのだろうと。
それこそが時代のニーズでもあり、多くの夢追って破れた者がいるからこその、いわゆるクリエイターのオアシス的映画の役割を担っているのかもしれない。
kojiroh