『この世界の片隅に』(2016年、日本)――75点、火垂るの墓以来の傑作戦争アニメ映画


『この世界の片隅に』(2016年、日本)――128min
監督:片渕須直
脚本:片渕須直
原作:こうの史代『この世界の片隅に』
主題歌 コトリンゴ「みぎてのうた」
出演:のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔・・・

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

※リアルタイム映画評

同名コミックの映画化で、ミニシアター系にして異例のヒットをして、各方面で絶賛される、噂の戦争映画。第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞。

公開後は口コミが広まり、15週連続で興行ランキングのトップ10入り。第90回キネマ旬報トップテンで「となりのトトロ」以来となるアニメーション作品での1位を獲得するなど高く評価された。

能年玲奈から改名したのんが主人公すず役でアニメ映画の声優に初挑戦した。

◎あらすじ
第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きようとするヒロインと、彼女を取り巻く人々の日常を生き生きと描く。昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた女性すずは、戦争によって様々なものが欠乏する中で、家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。それでもお、前を向いて日々の暮らしを営み続けるすずだったが……。

<映画.com>

さて、非常に感情輸入できた。

実はわたし、広島出身なので、ローカルな土地勘が非常にわかる。呉もよく知っている。そのため、何やら故郷がえらく全国展開しており、楽しめました。

評判になるだけのことはあるクオリティで、穏やかな主人公の戦時中の生活が垣間見れて、ディティールが細かく、保存食の作り方や、闇マーケットでの食料の調達など、戦時中はこういう世界だったのかと、興味深かったです。

ある種、ドキュメンタリー風でもあり、こうした戦争ドラマが全国ヒットすることが驚き。君の名はもそうだが、独特なキャラクターのかわいさがあるからか、家族でも見れるアニメになってますね。

映画としてよくできており、火垂るの墓以来に面白い戦争映画かもしれません。

 

それにしても、戦争体験のシェア、そして反省、平和教育として本作のような映画を見ることは重要だと思うが、何よりなんでこんなバカな勝てもしない戦争をしてしまったのだろうかと、そうした戦争の大きな意思決定の失敗による、日本人の気質さえ感じてしまう。

現代では経済戦争で、シャープや東芝が大失敗しており、海外へ進出して投資を失敗して本体が解体されるなど、まさに二次大戦のような大失敗をする名門大企業も出てきており、そうした事件と先の戦争がだぶって見えてしまった。

焦土作戦が塩漬けのようなもので、最後の新型爆弾はロスカット執行のような事件に思えた。

結局は、こうした穏やかな庶民が一番最後には敗戦のケツぬぐいをすることになる。

この世界の片隅には、そうした大失敗と損失を、ぼーっとしてるが穏やかな人々が暖かく包んでくれるような存在に安らぎを感じ、なんだか優しい気分になれるが、こういう庶民を傷つけないために、権力者や責任ある人々は安易な意思決定でリスクを軽視してはいけないと、大きな教訓にもなりえる映画だと思いました。

 

kojiroh

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