『ザ・コンサルタント』(2016年、アメリカ)――85点。ニュータイプのアンチヒーローストーリー

『ザコンサルタント』(2016年、アメリカ)――128min
監督:ギャヴィン・オコナー
脚本:ビル・ドゥビューク
製作:マーク・ウィリアムズ、リネット・ハウエル・テイラー
出演:ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ、ジョン・バーンサル・・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

※リアルタイム映画評

The Accountant

ザコンサルタントという今風な題名と、ベンアフレック主演というテーマに引かれて鑑賞。

ハリウッドありがちなクソ映画だと思って観ましたが、ずばり、想像以上に面白くてびっくりしました。

◎あらすじ
田舎町のしがない会計士クリスチャン・ウルフには、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切り、年収10億円を稼ぎ出す命中率100%のスナイパーというもう一つの顔があった。そんなウルフにある日、大企業からの財務調査の依頼が舞い込んだ。ウルフは重大な不正を見つけるが、その依頼はなぜか一方的に打ち切られ、その日からウルフは何者かに命を狙われるようになる。
<映画.com>

王道のハリウッド路線で進むが、何か普通とちがう。
重苦しく、デビットフンチャー監督のようなダークな映像に、寡黙で神経質な主人公の異様なライフスタイルなど、アスペルがー的な人間としての共感を誘える部分もある。

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ベンアフレックというと、ユダヤ系で、自分自身もブラックジャックでカウンティングできることで有名なカジノプレイヤーであえるが、そんな彼の超ハマリ役でしょう。

数学の天才。自閉症・・・殺しのプロ。会計術もすぐれており、ガラスを使ってマーカーで計算するシーンのかっこよさは異常でした。こんなアンチヒーロー像をわれわれは待っていたのかもしれない。

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月曜日に生まれて、
火曜日に洗礼を受け、
水曜日に結婚して嫁をもらい、
木曜日に病気になった
金曜日に病気が悪くなり危篤
土曜日に死んだ
日曜日には埋められて・・・

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ところどころで散りばめられる呪詛のようなキーワードが、主人公の存在を大きくするフラグになっており、正直、すごくよくできた、サスペンスアクションだと思います。

終わり方はかなり雑な気がするのですが、展開のスピード感はかなり興奮しました。

各々の節税・不正会計スキームも、そういう金融な話が好みなわたしにとってはツボ。

また、The会計士シリーズで続編を待望したくなるほど、ベンアフレックの会計士、面白かったです。

kojiroh

『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』(2016年、アメリカ)――75点、20年ぶりのクソ映画超大作


『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』(2016年、アメリカ)――120min
監督:ローランド・エメリッヒ
脚本:ニコラス・ライト、ジェームズ・A・ウッズ(英語版)、ディーン・デヴリン、ローランド・エメリッヒ、ジェームズ・ヴァンダービルト
原案:ディーン・デヴリン、ローランド・エメリッヒ、ニコラス・ライト、ジェームズ・A・ウッズ
出演者:リアム・ヘムズワース、ジェフ・ゴールドブラム、ジェシー・T・ユーシャー(英語版)、ビル・プルマン、マイカ・モンロー、セーラ・ウォード、ウィリアム・フィクナージャド・ハーシュ、ブレント・スパイナー、ヴィヴィカ・A・フォックス、 シャルロット・ゲンズブール、アンジェラベイビー・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

※リアルタイム映画評

この日のために、20年待ってました!!

ウィルスミス出世作の、1996年に製作・公開され、世界中で大ヒットしたSFパニック超大作「インデペンデンス・デイ」の20年ぶりの続編。制作費1.60億ドルの今年最高傑作&大作のSFスペクタクル映画がやってきた。

監督は、前作と同じく巨匠ローランド・エメリッヒ。

戦闘機パイロットの主人公ジェイク役を「ハンガー・ゲーム」シリーズのリアム・ヘムズワースが演じ、ビル・プルマン、ジェフ・ゴールドブラムら前作から続投。

このたび、クソ映画人友達と一緒に、劇場に見に行きました。

○あらすじ
エイリアンの侵略を生き延びた人類は、共通の敵を前にひとつにまとまり、回収したエイリアンの技術を利用して防衛システムを構築。エイリアンの再来に備えていた。しかし、再び地球を目標に襲来したエイリアンの兵力は想像を絶するものへと進化しており、人類は為す術もなく、再度の絶滅の危機を迎える。
<映画COMより引用>

相変わらずクソ映画ノリが連続して、大いに笑いました。ベタベタな敵対関係の仲間と、奇跡的に一緒に生き延びて、偶然的すぎるストーリー展開で人類の未来が開かれてゆく過程は突っ込みどころ満載で楽しかったです。

キャストも豪華。 シャルロット・ゲンズブールが登場しててびっくり。こんなハリウッド商業大作に出演するんだなと。

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QQでの通話、中国の牛乳、最高責任者、そしてヒロイン、アンジェラベイビーと、中国資本の飛躍にも本当にびっくりした。中国が大手スポンサー? いまやヒロインは中国系っていう時代なんだなと。超美人なので文句なしですが。

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しかし、前作より巨大な敵の出現により、世界がめちゃくちゃになるシーンの迫力には驚かされました。これぞ、映画館でみる映画です。そして中国人観光客の表情もシリアスで笑えました。

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ネタバレになりますが、96年のインディペンデンスデイは本当に大傑作クソ映画で、テレビ放映で見て、盛大に笑わせていただいた一作。特にラストに大統領が演説と共に自ら出動するシーンは爆笑しました。

今回も、同じく爆笑必須なシーンが満載で、ローランドエメリヒッヒ監督のクソ映画は本当に外すところが無くて安定感ある。

とにかく、前大統領もばっちり登場し、中国資本の進出なども映画に描かれており、非常に現代を象徴する描写も多く、大変楽しく鑑賞できました。

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大統領が「女」という設定があり、そのオチも、ある種、未来を予言しているような内容もある、政治色も匂わせる、非常に興味深い一作。

クソ映画としては堂々の95点作品です。

次回作も控えているそうなので、クソ映画ですが、また劇場に足を運ぼうと思います。

kojiroh

『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』(2016年、アメリカ)――75点。新しい形の戦争ドキュメンタリー


監督:マイケル・ムーア
製作:マイケル・ムーア、ティア・レッシン、カール・ディール
製作総指揮マーク・シャピロ
出演:マイケル・ムーア・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

※リアルタイム映画評

今年はドキュメンタリー映画が秀逸。今年公開のドキュメンタリーで注目の一作、「ボウリング・フォー・コロンバイン」や「華氏911」のマイケル・ムーアによる「世界侵略」をテーマにしたドキュメンタリー作品。

軍事戦争ではなく、アイディアを奪いに行く形の”戦争”とは・・・。

◎あらすじ
度重なる侵略戦争が良い結果にならなかったというアメリカ国防総省幹部からの切実な悩みを持ちかけられたムーア。そこでムーアは、自身が国防省に代わり、「侵略者」となって、世界各国から「あるモノ」を略奪するために出撃することを提案。ムーアは空母ロナルド・レーガンに搭乗し、ヨーロッパを目指すが……。
<映画.comより>

うーん、ずばり、本作は優れたグローバル社会のドキュメンタリーであり、多様な国の社会実験的なかたちで成り立ったライフスタイルを記録している。

映画というより、情報番組的な面白さだ。

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相変わらず巨体、なんでこんな太ってんだといつも突っ込みたくなる。だが貫禄が出ているなあと。

さてアメリカ高額医療を批判した『シッコ』にも通じるが、あれと違うのは、本作はほぼ単独でムーアが世界へ出ていること。

被害者とストーリーを進めていったシッコとは、また少し意味が違う。

が、本作が提供する情報は実にユニークで、世界は広いのだなと、広い視野を持てる、自国の閉鎖性や問題点に悩んでいる人が見たら、非常にすっきりし、それこそ多くの発見がある映画であろう。
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それにしてもオーガニックで昼にフランス料理とか長期休暇豊富なイタリアとか、土日勤務厳禁なドイツとか、自然主義的な生き方ができているんだと、多様化とグローバリゼーションで潤って成長してきたアメリカが筆頭とした多国籍企業に批判的な構図にも思える。

コカコーラを休職のときに飲んでいるムーアの姿がなんだかブラックジョークに感じた。

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イタリアで昼になると一斉に帰宅し、家族と食事をする光景なんかも、同じ先進国でも仕事と人生の関わり方がこんなに違うのかと興味深い一本だった。言語上では知っている内容でも、映像化してみてみるとまた違う発見がある。

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しかし、非常識でガラパゴスだといわれるアメリカであるが、未だに世界の中心を担う存在であり、それは欧州とは違った形での長時間労働を従事している人が多いからなのかもしれないとも。

そしてムーア監督のように、自国のダメなところを拾い上げて改善する意識を持って世界に映画として発信できるメディアの役割を担える人物がいる時点、やはりアメリカは日本のような閉鎖的な国よりも全然常識的で素晴らしい国だなと比較してしまった。

ともかく、世界を股に駆けてアイディアを奪いに行く行動を、戦争や侵略とたとえてコミカルに独自の視点で映画を進める、そのアイディアこそ本作のベース。

だが結局、そのアイディアの根源は、もうすでにある、「幸せの青い鳥」のようなものだった。旅人が最後にいたる結論のような内容。

多くの情報、様々な社会実験で多様な社会が構成されているが、根底にあるものは、既に過去にあったものだった、的な。

正直、テレビドキュメンタリーでいいじゃん、と思える内容ではあるが、これを劇場映画にできる業こそ、ムーアなのだなと思わされた。

ともかく、多様化、グローバリゼーション、そうしたものを振り返って原点回帰して、新しい時代の材料(アイディア)を探そうと言う、この2016年、EU離脱や大統領選などで、時代の転換期にありそうな時期に、必要とされる映画だなと感じた。

kojiroh

『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2014年、アメリカ=ドイツ)――90点。スノーデンドキュメンタリー、管理社会への警告と


『シチズンフォー スノーデンの暴露』(2014年、アメリカ)――114min
監督:ローラ・ポイトラス
製作:ダーク・ウィルツキー、ローラ・ポイトラス、マティルド・ボヌフォア
出演:エドワード・スノーデン,グレン・グリーンウォルド、ローラ・ポイトラス、ジュリアンアサンジ・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★★☆/ 9.0点

※リアルタイム映画評

【原題】Citizenfour

アメリカ政府のスパイ行為を告発したエドワード・スノーデンをリアルタイムで迫ったドキュメンタリー。
第87回アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞受賞。

劇場公開されていると知り、2013年の事件の真相を、3年を経て、目にすることができ、衝撃的だった。

○あらすじ
2013年、ドキュメンタリー映画作家であるローラ・ポイトラスに接触をしてきた者がいた。重大な機密情報を持っていると、香港でのインタビューの現場に現れたのが、元CIA職員のエドワード・スノーデンだった。スノーデンの口から語られたのはアメリカ政府によるスパイ行為の数々。世界各国の要人、さらに一般国民の電話やインターネット等をも傍受しているという驚くべき真実だった。

<映画.comより引用>

現代の情報化社会、PCやスマホを経由して人々の動きが監視されて、データが蓄積されている。わかってはいたが、ここまで具体的にプライバシーの危機が迫っているのかと、観ていて鳥肌が立つ恐怖を覚えた。2016-06-17_145722

グーグル、フェイスブック・・・名立たる企業のデータはもう政府の手の中にあり、要注意人物を過去のデータの中からすぐに探せるような時代に・・・そんな管理されたインターネットを正しい方向へ導くべく、立ち上がった29歳のエドワード・スノーデン。2016-06-17_145451

この事件の裏側で、このような動きがあったのだと、歴史が動く瞬間は全て残されていたとは。もう、製作者が無我夢中で現在進行形の革命をフィルムに納めた、という、奇跡の時間が収められている。

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香港のミラホテルでの最初の登場シーンから、釘付けになった。

端正な顔立ちで、身のこなしや話し方まで、素晴らしく洗練されていて凛々しい。29歳のこんなしっかりした若者がたった一人で決断するとは――。

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IP電話の盗聴やSDカードへの注意喚起、世界の自由のために革命を起こそうとする若者の姿が、とにかく覚悟を決めた男の姿をフィルムに残したこと自体が奇跡的な出来事だと思う。

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暗号化されたやり取り、何気ないチャットの一文一文が迫力満載だった。

何しろこれは真実であり、地下に潜った後の出来事さえも移せていることが、衝撃的だった。

優れたドキュメンタリー映画の条件として、意図しない出来事が起こり、ストーリーを揺れ動かしたり、そんな奇跡が必ずある。

ミラホテルの中でのインタビューは単なる密室での動きのない、普通なら単調になりがちなシーンだが、ファイヤーアラームの稼動が突然起きるシーンには、思わず舌を巻いてしまった。

意図的ではない、そんな偶然的な奇跡が無数起きた、歴史が動いた時間を、観客としても共有できた興奮を味わえ、映画としてもストーリーに動きがあり、単なるドキュメンタリーを超えている。

これは本当にIT管理社会の中で生きる我々が、国民全員が見るべき映画かもしれない。

 

ラストシーン、情報監視社会の中で極秘の会話(○談)をしつつ、ラストのナインインチネイルズのゴーストのエレクトリック音楽が鳴り響くエンドロールが衝撃的だった。

歴史が動く奇跡的瞬間を記録した、ドキュメンタリーの最高傑作だと思っている、『ゆきゆきて神軍』、『アンヴィル』に匹敵しうる10年に一本レベルのドキュメンタリーだと思った。

それにしても、2014年10月のこの映画が日本で公開されるのが遅すぎる。

アカデミー賞を受賞している作品なのに、政府や大きな権力を持つものにとって不都合な映画を迅速に公開しないことに何か理由を感じてしまう、・・・情報化された管理社会への警告として意味のある一本です。

kojiroh

『マネーショート 華麗なる大逆転』(2015年、アメリカ)――90点。世紀の空売りマネー映画


『マネーショート』(2015年、アメリカ)――130min
監督:アダム・マッケイ
脚本:アダム・マッケイ、チャールズ・ランドルフ
原作:マイケル・ルイス『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』(文藝春秋)
出演:クリスチャン・ベール、スティーヴ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★★☆/ 9.0点

※リアルタイム映画評

The Big short

クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、スティーブ・カレル、ブラッド・ピット、豪華キャストが共演した「マネーボール」の原作者マイケル・ルイスのノンフィクション「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」が映画化。

アダム・マッケイが監督、第88回アカデミー賞で作品賞、監督賞など主要部門を含む合計5部門にノミネート、脚色賞を受賞した。

Gomi投資家である筆者はこの手の金融映画が大好きなので、公開されるやいなや劇場へ足を運んだ。

◎あらすじ
05年、ニューヨーク。金融トレーダーのマイケルは、住宅ローンを含む金融商品が債務不履行に陥る危険性を銀行家や政府に訴えるが、全く相手にされない。そこで「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引でウォール街を出し抜く計画を立てる。そして08年、住宅ローンの破綻に端を発する市場崩壊の兆候が表れる。
<映画Com>

マージンコールとは真逆で、金融危機で儲けた人々を描く。

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スピード感がすごい。ドキュメンタリータッチ。むしろちょっとスピード感ありすぎるかなというほど。専門用語で難しく語って詐欺のような投資をばらまくサブプライムの闇をうまく説明してくれます。

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クレイジーな人々が、みんなが楽観する相場で、本質的な分析に基づき、行動にでるシーン、そして市場が不合理にうごきつつも信念を変えずに奮闘する・・・ジョージソロスの名言が次々に思い起こされる局面が映画になったとでも形容しようか。
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個人的に本作の主役は、マーク(スティーブ・カレル)でしょう。
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全編的に神経質だが信仰的で、彼とその仲間がサブプライムの暗部をさぐっていく、そのくだりは秀逸なミステリーのような面白さがありました。

ブラットピットも存在感ありすぎてさすが。よくぞ出演してくれたなと。
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イギリスのパブでトレードするシーンなんかは貫禄ありました。

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若い2人のはしゃぎっぷり征するシーンなんかは投資の本質を突いてて印象的でした。

さて、内容の秀逸な部分ももちろんですが、全編的に音楽のセンスがよすぎる。古典的なロックからメタルまで洋楽好きにはたまりません。

エンディングに流れる、Led zeperrinのWhen the Levee Breaksなんかは劇場の迫力ある音響で、エンドロールに見れて本当に感動しました。大好きな曲なんですよね、個人的に。

それを劇場で見たので、ある種のわたしの歴史になってしまったこともあり、今回は85点です。きっとレンタルで見たら75~80点だったかなあ。

とにかく金融や投資に興味ある人は必見です。

投資家というのはこうあるべきだという姿が分かる人には分かる映画です。

それにしても、市場の逆を付くトレードっていうのは、ロックンロールなんだなあ。

kojiroh

『オデッセイ』(2015年、アメリカ)―75点、前代未聞の火星サバイバル映画


『オデッセイ』(2015年、アメリカ)――141min
監督:リドリー・スコット
脚本:ドリュー・ゴダード
原作:アンディ・ウィアー『火星の人(英語版)』(ハヤカワ文庫SF)
出演者:マット・デイモン、ジェシカ・チャステイン、クリステン・ウィグ、マイケル・ペーニャ、ショーン・ビーン、ケイト・マーラ、セバスチャン・スタン、アクセル・ヘニー、キウェテル・イジョフォー

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

※リアルタイム映画評

The martin――オデッセイ。

りドリースコット監督&マッドデイモン主演、製作費1億ドルの大作。そして興行収入は6億ドル近く世界中で大ヒットしている模様。アカデミー賞も7部門受賞と評価も高い。

そんなわけで、インターステラぶりの、SF超大作を劇場にて鑑賞。

◎あらすじ
人類3度目となる火星の有人探査計画“アレス3”は、いきなり猛烈な砂嵐に見舞われ、ミッション開始早々に中止を余儀なくされる。さらに、クルーの一人で植物学者の宇宙飛行士マーク・ワトニーが、撤収作業中に折れたアンテナの直撃を受けて吹き飛ばされ行方不明に。事故の状況から生存は絶望視される中、リーダーのメリッサ・ルイスは他のクルーを守るため、ワトニーの捜索を断念して急ぎ火星から脱出する。ミッションの行方を見守っていた地球でもNASAのサンダース長官が、ワトニーの悲しい死を全世界に発表する――。ところが、ワトニーは奇跡的に命を取り留めていた。しかし、通信手段は断たれた上、次のミッション“アレス4”が火星にやってくるのは4年後。残っている食料はどんなに切り詰めても絶望的に足りない。そんな状況にもかかわらず、決して希望を失うことなく、目の前の問題を一つひとつクリアしていくワトニーだったが…。

<allcinema>

宇宙系サバイバル映画の大スペクタクルとして話題のオデッセイ。2016-03-09_134341

地球の70億人が彼の帰りを待っているというキャッチコピーだけ分かっていれば予備知識として十分だと思います。予備知識が無いほうが、いかに前代未聞の火星サバイバルゲームを攻略するかが楽しめると思います。

マッドデイモンが主演のSF大作、ゼログラヴィティ的な匂いを感じていましたが、全然違いました、もっと科学的な映画です。火星描写は間違った部分があるらしいが。

原作がいいのでしょう、さまざまなアイディア&科学を駆使して生き延びる姿は新鮮で、驚きがありました。

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黒人というかインド系のキウェルキウェテル・イジョフォーの演技が個人的には冴えていると思いました。

国際的な映画で、インド人の活躍、そして中国系アメリカ人と、祖国中国での宇宙ビジネスの発展の様子も垣間見えて、今の時代がどんなものか感じられた。

世界の優秀な頭脳が彼の生還を見守る一連の流れは非常に面白かったです。クライマックスへの進み方も、やや長いけれども、商業的な娯楽映画としては完璧なフローだったなと。

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ジェシカジャスティンってThe 知的な西洋人って顔であり、インタステラに続き、宇宙が似合う女ですね。

それにしても、『ゼログラビティ』同様、映画館で見たから迫力ありました。

宇宙映画は、暗闇と無音の恐怖を体感しやすいので、映画館でみると評価があがるなと感じる昨今。レンタルだったら、70~75点の映画だったかなと思います。

kojiroh

『ヘイトフルエイト』(2015年、アメリカ)――90点。タランティーノ真骨頂、西部劇×レザボアドッグス


『ヘイトフルエイト』(2015年、アメリカ)――167min
監督:クエンティン・タランティーノ
脚本:クエンティン・タランティーノ
音楽:エンニオ・モリコーネ
撮影:ロバート・リチャードソン
出演者:サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ジェニファー・ジェイソン・リー、ウォルトン・ゴギンズ、デミアン・ビチル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、ブルース・ダーン、チャニング・テイタム

【点数】 ★★★★★★★★★☆/ 9.0点

※リアルタイム映画評

The hateful eight

新作が出ると毎回、劇場にわたしを通わせる監督・タランティーノ。
ジャンゴに続き、またまさかの西部劇。豪華キャストが集結し、アカデミー賞も3部門ノミネート、1部門受賞。88回アカデミー賞作曲賞受賞。タイトルはまさかのヘイトフルエイト。

8にずいぶんと意味を見出しているようだ、タランティーノ監督。さて、密室ミステリーと宣伝されているが、一体どんな映画なのか・・・。


◎あらすじ
雪が降りしきる中で馬を失った賞金稼ぎマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)は、同じ稼業であるジョン(カート・ラッセル)と彼が捕らえたデイジー(ジェニファー・ジェイソン・リー)を乗せた駅馬車に同乗する。途中で保安官を名乗るクリス(ウォルトン・ゴギンズ)を拾った馬車は、猛吹雪から避難するためにミニーの紳士洋品店へ。メキシコ人の店番ボブ(デミアン・ビチル)や怪しげな絞首刑執行人オズワルド(ティム・ロス)などの存在にジョンが強い警戒心を抱く中で、事件が起こる。
<Yahoo映画より引用>

冒頭から、もはやすごい。2016-03-07_124759
雪、馬車、泥臭い男たちの汚い言葉、顔のドアップ。
タランティーノが敬愛する、セルジオレオーネの世界が現実に戻ってきた気分だった。

まさかエンニオ・モリコーネの音楽とタランティーノ監督がタッグを組んで現代に蘇ることになるなんて。

サミュエル・L・ジャクソンとカート・ラッセル、この2人のやりとり、馬車の中での、顔面ドアップな会話、派手なアクションではなく洗練された表情と会話によって展開するパターン、すぐにタランティーノの世界へ引き込まれた。2016-03-07_124826

ずばり、言葉のセンスがすごく冴えている。2016-03-07_124621

マイケルマドセン演じるジョーゲージに対して、「自分のストーリーを書いている、ああ、あんたも今登場した」・・・のような一説、問答の一字一句が冴えている。Fuck, motherfucker, bitchなどのFワードな罵倒も含めて。

冗談のような饒舌な会話と、物語を刺すような絶叫のような笑い。

あとキーになるリンカーンの手紙だが、このフラグの出し方もずば抜けている。パルプフィクションの「ブツ」に匹敵している存在感あり。

おなじみのタバコ、レッドアップルも登場するし、かつてのファンにはたまらない。2016-03-07_124647

複数の登場人物と、その各々のストーリーが交錯して全然予想できない方向へ動くこの脚本の力はやはりすごい。どう転ぶかかなり読めない。

前作ジャンゴはおもしろいが、傑作とはわたしは思わなかった。その評価は正しかったかもしれない。

ジャンゴは、この作品を取るための予行演習だったのかもしれないと。黒澤の、『影武者』と『乱』のような関係で。後者の方が優れているように。

ジャンゴの方が娯楽性の高い意味では傑作だったかもしれないが、タランティーノ自信、本作を自分の最高傑作だと語っているように、本当にやりたかったのはこっちの方なのだろう。

8作目にして、デビュー作のレザボアドッグス的なサスペンス要素と、大好きな西部劇をミックスした作品を生み出した。
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ここまで自分が敬愛する監督の要素を集めて、先代の音楽を担当したモリコーネとも仕事ができて、自分の常連俳優を豪華に使い、残酷描写もマックス。まあヒットはしない赤字映画な匂いはプンプンするが…。特に日本では、密室ミステリーとか、マーケティングずれすぎだろと腹立ちます、日本版。167分と時間は短い。海外は187分あるっぽいので。

ここまで西部劇を舞台に、連続して2本も優れた作品を出してしまったら、もはやタランティーノがマカロニウェスタン的な映画を撮ることはないかもしれない。

167分の長さを全く感じない、すごい映画であったが、やりきってしまった残念さを同時に感じた。

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