『オアシス スーパーソニック』(2016年、イギリス)――128min
監督:マット・ホワイトクロス
製作総指揮:リアム・ギャラガー、ノエル・ギャラガー、アシフ・カパディア、ジュリアン・バード、ジョセフ・バリー・Jr.
出演:リアム・ギャラガー、ノエル・ギャラガー・・・・etc
【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.5点
※リアルタイム映画評
2009年に解散したイギリスのロックバンド「オアシス」のドキュメンタリー。
リアム&ノエル・ギャラガー兄弟への新たなインタビュー、バンドメンバーや関係者の証言、名曲の数々をとらえた貴重なライブ映像、膨大なアーカイブ資料・・・オアシスファンにはたまらないドキュメンタリー映画で話題を呼んでいて劇場に見に行きました。
◎あらすじ
1991年に兄ノエルが弟リアムのバンドに加入して「オアシス」が結成されてから、2日間で25万人を動員した96年の英ネブワースでの公演までの軌跡を追った。ギャラガー兄弟と、「AMY エイミー」でアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したアシフ・カパディアが製作総指揮に名を連ね、「グアンタナモ、僕達が見た真実」でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したマット・ホワイトクロスが監督を務めた。
<映画.com>
すごいスピード展開でオアシスのスーパーソニックのようなデビューの軌跡をたどってくれて、興奮しました。
野暮でワイルドな口調のリアムのインタビューと、言葉は汚いが知的な側面をも見せるノエルの、対照的な兄弟のインタビューを交えて繰り広げられる音楽ストーリーにはファンではなくても音楽好きなら楽しめるでしょう。
ともかく、この仲が悪くて、育ちが悪い、労働者階級層の公団に住んでためちゃくちゃな兄弟が一緒になって3年以上下積みして、一気に爆発したんだろうなと、オアシスがなぜ最速でデビューできたのか十分納得できる映画になっていた。
ノエルは猫型、リアムは犬のように一人ではいられずと、ノエル自身が語っていたシーンがこの兄弟の特徴を最も表してるなと、ノエルの知的なインタビューにはたびたび関心。ソングライティングだけではない、彼こそキーマン。みんな重要ではあるが。
個人的には成功ストーリーで終わってしまったが、その後の解散の話までストーリーを伸ばしてほしかった。
今後もおそらく再結成はなさそうだが、
ノエルの最後の方の、
「自分たちがインターネット登場後の最後の世代で、それゆえ公共団地出身のバンドマンになれた、今後、そういう労働者階層から自分たちのようなバンドがでないだろう」
と、危機感を持った警告をかましており、
ノエルはインターネットによって誰でも評価される時代なんかなく、逆に格差が広がっているとも言いたそうな口ぶりであり、インターネット全盛期の音楽シーンを否定的に語っている部分が最も本作のメッセージだった。
それを伝えるために、彼らはこの映画を作ったのだろうと感じる。
ともかく、ロック音楽好きな人は間違いなく楽しめる映画です。
PS Live foreverが、本作で素晴らしさが一番伝わってきたナンバー。
kojiroh