『デビルズダブル』(2011年、ベルギー)―6.5点。フセイン家一人二役、驚愕の怪演


『デビルズダブル』(2011年、ベルギー)―108min
監督:リー・タマホリ
脚本:マイケル・トーマス
原作:ラティーフ・ヤフヤー
出演:ドミニク・クーパー、フィリップ・クァスト 、リュディヴィーヌ・サニエ
【点数】
★★★★★★☆☆☆ / 6.5点

※リアルタイム映画評

アラブ風の映画が飛び交い、二人の兄弟が画面に揃う。甲高い声のウダイ・フセインと、影武者にされた男、ラティーフ。

イギリスのドミニククーパーとフランスのリディヴィーヌ・サニエをメインに添えた影武者のサスペンス劇が本作『デビルズダブル』。実際の影武者だった男、ラティーフ・ヤフヤーが書いた本が原作となっている。


あらすじは、軍に勤務するラティフがある日イラク大統領サダム・フセインの長男ウダイに呼び出され、自分の影武者になれと命じられる。家族の身の安全にやむを得ず影武者業に就くことになるのだが、そこで異常なまでの悪行を成すウダイの姿を目の当たりにすることになる…。

どやって撮影したのかと思えるほど2人が画面に並ぶ。この光景を映画館で見るとあかなか迫力があった。声の質や顔つきが微妙に違うので本当に別人に見えてくる。この演技はすごい。

最初の出会いから、やむを得ず影武者として生きてゆき、最後は演説までもをこなすプロセスは見ていて楽しめる。

サダム・フセイン役のフィリップ・クァストもなかなか貫禄がある。
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そして本作の華であるフランスの名女優、リディビーヌ・サニエの謎めいた妖艶さもみどころ。

私はオゾン監督の『スイミングプール』以来は久しく見ていなかったので、スクリーンで見れたことはなかなか嬉しい。

最後までどう転ぶかわからないストーリーにはハラハラする場面もあり、フセイン一家の持つ強大な権力とその陰謀を描いた作品として見るにも面白いし、イラクという国家のひとつの考察として見るにも面白い。

しかし主演のドミニククーパーはイギリス人であり、サニエもフランス女優、そしてイラクなのに物語は全て英語で語られる。面白い作品であったが、果たして本作にイラクの本当の姿があったのかという点は非常に疑わしいと思ってしまった。

フセイン一家の謎と、この奇妙な名演を見るにはいいが、リアリティとしては微妙なところ。さらにはフセイン一家を完全なる悪として描く完全な親米映画として見なさざるを得ないところが少し政治的な思想を感じてしまう映画であった。

Written by kojiroh

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