『聖の青春』(2016年、日本)――75点。伝説の棋士の映画


『聖の青春』(2016年、日本)――128min
監督:森義隆
脚本:向井康介
原作:大崎善生
出演:松山ケンイチ、東出昌大、リリー・フランキー、竹下景子、染谷将太、安田顕、柄本時生、北見敏之、筒井道隆・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

※リアルタイム映画評

飛行機の中で映画を探していたら、新作ラインナップに何気にあったので、鑑賞してみた。

実話の若く死んだ将棋棋士の物語ーー難病と闘いながら将棋に人生を賭け、29歳の若さで亡くなった棋士・村山聖(さとし)の生涯を描いたノンフィクション小説を、松山ケンイチ主演、監督は「宇宙兄弟」の森義隆、脚本を「リンダ リンダ リンダ」の向井康介。

◎あらすじ
幼い頃から腎臓の難病・腎ネフローゼを患い、入退院を繰り返した村山聖は、入院中に何気なく父から勧められた将棋に心を奪われる。師匠との出会い、そしてプロ棋士として羽生善治ら同世代のライバル棋士たちと死闘を繰り広げ、まさに命を削りながら将棋を指した村山聖の壮絶な一生が描かれる。羽生善治とは「東の羽生、西の村山」と並び称された村山。

<映画.com>

ほとんど前知識なしで見たのだが、主人公の型破りな人生と、それを埋める脇の俳優陣の層の厚さにも惹かれて、かなり面白く鑑賞できた。

リリーフランキーや染谷、安田ケンなど、日本映画を代表する顔ぶれが脇を固める。

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脇役がどれも秀逸で、映画としては非常によくできていると思いました。

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汚部屋での将棋と漫画とジャンクフードの生活。これが彼の求めた青春だったとは・・・何かを突き詰める人間の集中力、強い意志というものを実にユニークに、かつ現実的に表現できていたと感じた。

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将棋のことはよくわからない筆者ですが、羽生との対戦シーンの緊張感は舌を巻く迫力。何か将棋の神が降りているような、すごいものがあった。

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映画としての完成度だけでなく、村山という人物の人生を見るだけでも十分価値がある一本であり、かつ日本映画の顔が多数出演しているので、将棋と映画が好きな人なら必見かと思います。

将棋棋士なんて虚業のようなものかと思っていたが、食うか食われるかの厳しい世界なのだと感じられる。

尚、わたしは主人公が増量した松山ケンイチだということに気付かず、エンドロールでびっくりしました。それで+5点で、78点ってところですかね。将棋には今も今後も興味はありませんが、面白い世界だと勉強になりました。

以上、主演がだれかとか、前知識ない方が楽しめる一本かと思います。

kojiroh

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『後妻業の女』(2016年、日本)――70点。高齢化社会コメディなサスペンス映画。


『後妻業の女』(2016年、日本)――128min
監督:鶴橋康夫
脚本:鶴橋康夫
出演者:大竹しのぶ、豊川悦司、尾野真千子、長谷川京子、水川あさみ・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

※リアルタイム映画評

黒川博行の「後妻業」を、大竹しのぶと豊川悦司の共演で映画化。「愛の流刑地」「源氏物語 千年の謎」の鶴橋康夫が監督、小夜子役を大竹、柏木役を豊川が演じ、尾野真千子、長谷川京子、永瀬正敏らが共演。

映画館での予告編でよく見て、インパクトがあったので、気になって飛行機の中で視聴してみました。

意外とコメディとしてもリアル高齢化社会ドラマとしても見ごたえあり。

◎あらすじ
結婚相談所主催のパーティで知り合い、結婚した小夜子と耕造。2年後に耕造は死去するが、娘の朋美と尚子は、小夜子が全財産を受け継ぐという遺言証明書を突きつけられる。小夜子は、裕福な独身男性の後妻となり、財産を奪う「後妻業の女」で、その背後には結婚相談所所長の柏木の存在があった。一方、父親が殺害されたと考える朋美は、裏社会の探偵・本多を雇い、小夜子と柏木を追いつめていく。

<映画.comより>

ずばり、見ごたえあるコメディタッチのサスペンス映画。

こちらも、現代の高齢化社会の中で必要悪のような存在を実写かしており、映画のデキというより、このビジネスについての描写が見れてことが面白かったです。

後妻業ビジネスのディティールを、被害者、探偵、そして3つの巴のような構造で、大阪を舞台に展開されて、一見の価値は間違いなくある現代チックな映画です。

主演の大竹しのぶもいいですが、トヨエツです。なんと言っても、関西弁をしゃべるトヨエツに痺れる。
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今、トヨエツはこんな渋い演技をするんだと、素直に楽しめました。カネのやりとりや質屋、北新地での夜遊びなど、ディティールが非常に楽しめるビジネス映画でもある。

つるべいのサオ師の役柄や、脇役も冴えており、
「日本中が札束にもうとった・・・」の堅気じゃないかたり口など、
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かつ大阪文化前面に押し出しているので、関東圏の身としては大阪ノリが楽しめてよかったなあと。

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ただ一度みたらもうお腹一杯で、映画としてはなかなかサスペンスタッチで盛り上がる部分もありましたが、イマイチ展開が微妙だなと。

このテーマと貫禄ある演技人の活躍は一見の価値ありなので、後妻業ビジネスに興味ある方は必見です。

kojiroh

『君の名は。』(2016年、日本)――80点。青春×SFサスペンス、新感覚アニメ映画

2017-01-04_214833監督:新海誠
脚本:新海誠
原作:新海誠
製作:川村元気、武井克弘、伊藤耕一郎
音楽 RADWIMPS
出演者:神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

※リアルタイム映画評

日本のみならず、世界中で大ヒットと大絶賛を記録している、Your name

劇場には足を運ぶことのなかった筆者であえるが、このたび、飛行機の中で視聴することが出来たので、レビューを書きます。

○あらすじ
。1000年ぶりという彗星の接近が1カ月後に迫ったある日、山深い田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉は、自分が東京の男子高校生になった夢を見る。日頃から田舎の小さな町に窮屈し、都会に憧れを抱いていた三葉は、夢の中で都会を満喫する。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていた。心と身体が入れ替わる現象が続き、互いの存在を知った瀧と三葉だったが、やがて彼らは意外な真実を知ることになる。
<映画Com>

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ずばり、文句なく面白い!!
そしてキャラクターがみんな愛らしく、感情輸入でき、とにかく可愛いです。

男も女も、うごきやしぐさ、日常的な何気ない仕草が本当に可愛いなと、昨今の日本アニメのクオリティの高さに関心しました。

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ぶっちゃけ、キャラはかわいいけど、主人公が入れ替わる日常が繰り返されて、日本の首都圏一極化と過疎化を象徴するような現代テイストな入れ替わりモノかなと思っただけで、興味深さを感じつつも、少し陳腐だとも思っていました。

しかし、後半です。

すべては後半の、青春ドラマから一気にSFサスペンス路線へ進むストーリー展開は圧巻でした。

深海監督がアニメ会のタランティーノだと賞賛される理由もうなずける。

ぶっちゃけ、青春ドラマとサスペンスを融合させて、絶妙な温度感でコラボしており、めちゃくちゃ面白かったです。

10年に一本ぐらいの傑作かもしれない。

個人的に奥崎先輩のキャラが萌えました。

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そうした青春ドラマの萌え要素ありつつ、一気にサスペンス路線へ駆け抜ける展開が圧巻で、かつソウルメイト的な、人間の魂の存在や輪廻転生を訴えかける、過疎化に便乗して伝統的な仏教的価値観のようなシャーマニズムというか、とにかく人間の魂の存在を伝えようとする熱があり、素直に感動しました。

といっても、筆者はアニメ映画ぜんぜん趣味ではないので、まあ、83点ってとこです。

あと、うるさくポップに鳴り響く RADWIMPSの音楽が個人的には安っぽくて致命的に嫌な点でした。アニメアートになりそうな作品だったのが、急に安っぽくさせている気がしてしょうがない。

けど、だれもが一見の価値ある太鼓判アニメ映画です。シンゴジラみるよりこっちですね。

ともかく、2016年は面白い映画がありすぎました。

kojiroh

『シンゴジラ』(2016年、日本)――80点。12年ぶり、新感覚・ゴジラ映画


『シンゴジラ』(2016年、日本)――114min
監督:庵野秀明(総監督)、樋口真嗣(監督・特技監督)
脚本:庵野秀明
音楽:鷺巣詩郎、伊福部昭
出演者:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、市川実日子、高橋一生・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

※リアルタイム映画評

『シン・ゴジラ』・・・2016年7月29日公開の日本映画で、ゴジラシリーズの第29作、『ゴジラ FINAL WARS』以来約12年ぶりの日本製作のゴジラシリーズ。

さて、豊作映画が多い筆者はよく劇場へ行くが、予告編を見て是非見たいと思った映画の1つでもある、シンゴジラが評判がいいので、ポケモンGO→シンゴジラ、というブームの流れを感じ、さっそく劇場で鑑賞した。

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◎あらすじ
2016年日本映画。ある日突然東京湾で水蒸気爆発が起きた。すぐに総理の耳にも入り慌ただしく動く日本政府。その原因は海の中に潜む巨大な生物ゴジラだった。目的も正体も分からないその生物ゴジラに翻弄される日本。そんな中内閣官房副長官を務める矢口はその存在に対抗する術を見つける。しかし遠くの国の人間は核を使い街もろとも破壊しようと考えていた
<映画ウォッチより>

まず、こんな怪獣映画、観たことがない、という衝撃があった。

ゴジラシリーズなのに、妙にグロテスクで、巨大生物を会議~メディア報道で真実を解明してゆき、その解決策をさぐるという流れなのだが、国際社会を舞台にして、妙にリアルでありつつ、シュールに物事が完了の会議と共に進んでゆく。2016-08-05_140917

これはゴジラという大スペクタクルを舞台にしつつ、会議映画であり、人間ドラマにもなっている。

今風なオタクで早口なキャラも登場し、頭の回転が速い系のストーリー進行になり、とにかくスピーディーで盛り沢山だった。

登場人物もすごく豪華で、日本映画の名わき役といえるような俳優がここぞとばかり出演している。

柄本明、大杉漣、國村隼、ピエール瀧、さらにどこで出てたか分からないところで、KREVAとかいるし、シンゴジラはすごい映画プロジェクトだったんだなと関心。

 

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ハードワークに危機に対して仕事を進める中でこんなせりふを言う。

「日本はまだまだやれる。捨てたもんじゃない」

この映画を見て、わたしは邦画を馬鹿にしている人間であるが、同じような感想を抱いた。日本でこんな面白い実写映画が作れるのだなと。

ただキーマンは、アニメ出身の記載の庵野監督のセンスが全てだろうと思う。

キレのフォントを駆使しつつスピーディーに物語が進み、グロテスクな怪物が進化してゆく中での人間ドラマは、エヴァ的だなあと本当に関心しました。2016-08-05_141311

ものすごい制作費をかけていそうだが、なんと15億円で作った模様。

実写映画の邦画は基本的にGOMIばかりだと思っているが、アニメや漫画畑出身の鬼才が実写を作るとなかなか傑作が生まれるものだなと。

今後も庵野監督の実写映画に期待したいと思います。

原発事故の当時のニュースを思い出させらるようなシーンも。2016-08-05_1412132016-08-05_141111

それにしても、目が丸出しのグロテスクなゴジラが大田区を進行して瓦礫まみれになる光景なんかは、311など大地震を彷彿させるデキバエで、劇場で見てよかったなと思える一作でした。

 

追記、尚、モノのクローズショットなど、商業映画とは思えない芸術的な表現も散りばめられていて、EVAを作った監督だからこそ、実写でもその芸術性を活かしている点が素晴らしいと思いました。

kojiroh

『FAKE』(2016年、日本)――90点。鬼才・森達也×佐村河内、羅生門的なドキュメンタリー

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監督:森達也
プロデューサー:橋本佳子
撮影:森達也、山崎裕
編集:鈴尾啓太
出演:佐村河内守・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★★☆/ 9.0点

※リアルタイム映画評

2014年にゴーストライター騒動で日本中の注目を集めた佐村河内守。
彼を1年4ヶ月に渡って追った、ドキュメンタリー映画。
監督は、オウム真理教を題材にした「A」「A2」の鬼才、森達也。

詐欺師、ペテン師と糾弾されて表舞台から消えた男のドキュメンタリーがまさか撮られていたとは・・・一体どんな展開でドキュメンタリーとしてオチるのか、最後の12分がどうのこうのと、ネット上でも話題になっていたので、わたしはインディーズな横浜のミニシアターに足を運んで鑑賞した。

○あらすじ
聴覚に障害を抱えながら「交響曲第1番 HIROSHIMA」などの作品を手がけたとし、「現代のベートーベン」と称された佐村河内。しかし音楽家の新垣隆が18年間にわたってゴーストライターを務めていたことや、佐村河内の耳が聞こえていることを暴露。佐村河内は作品が自身だけの作曲でないことを認め騒動について謝罪したが、新垣に対しては名誉毀損で訴える可能性があると話し、その後は沈黙を守り続けてきた。本作では佐村河内の自宅で撮影を行ない、その素顔に迫るとともに、取材を申し込みに来るメディア関係者や外国人ジャーナリストらの姿も映し出す。
<映画.com>

さて、手話を駆使した佐村河内夫妻の会話が、まず強烈に頭に焼きつく。

わたしはこの事件を深く知らずに、実は耳が聞こえた男がゴーストを使って音楽ビジネスをしていた、ぐらいのレベルの理解だった。しかし、現実はもっと複雑で、黒か白か、というよりもグレーな話であったが、マスメディアが分かりやすい話に置き換えて、ジャーナリストが売名行為や復讐のために相手を徹底的に糾弾して、そういう極めて感情的で、自分都合な報道をしているように、本作から伝わってくる。

基本的に密室劇であり、森達也と夫妻と猫がメインキャラクターだ。2016-06-26_163556

猫は人間に見えない、その深い目が何か真実を見ている気さえしてくる。本作はこの猫が非常に重要な役割を成している。

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マスコミの誘導や時の流れによって成功者になった新垣。
ジャーナリストの大賞を受賞した神山。2016-06-26_163342

結果として売名に成功して、守さんを踏み台にして成功したとも言える人々がいる。

大人数で押しかけてお笑い番組に出演させようと押しかけるフジテレビのシーンと、困惑する猫の視点が、本作が最も否定したい部分を象徴している気がした。海外の本質的なジャーナリストの取材に比べると、日本の番組は大衆の娯楽と笑い作りしか考えていない、そんな低俗さを考えさせられた。

色んな真実を映し出しているが、あまりにも色んな見方ができる映画であるが、この夫妻、2人が素晴らしいのだ、結局は。

・豆乳をがぶのみする守
・ケーキを差し出す奥さん
・警察と消火器のフラグ2016-06-26_163539

それにしても、この映画は製作者の吐息が伝わってきて、それが自分の心にはものすごく痛烈に刺さる。どんでん返しがあるかもしれない、出演者と製作者の疑いさえも映像にゆれる。

どちらの言い分が真なのか――羅生門のような展開もある。現実の事件が無数の視点から証言が得られる。

無数の解釈ができる映画なので、ディティールを書くことは省略するが、・・・結論として、ペテン師である守さんという真実は変わらないが、佐村河内守という人間が非常に魅力的な人物であることは間違いなく、彼のカメラ写りが非常にいいから、自分の映画のために撮影を開始したインタビューに答えていた森監督の気持ちがよくわかる。

俳優としても、ベランダでタツヤさんと一緒に夕焼けと共にタバコを吸うシーンなんかは実に芸術的でもある。薄暗い部屋でのやりとりも。

思いのほか、本作が話題になって、ロングランになりそうな勢いができてきたので、この作品を契機に、さらなる物語の展開を成した、『FAKE2』を、待望したいと思います。

これで終わりではないだろ?? 頭の中でたくさん音楽が鳴っていて、この映画から新しいスタートが切れる、そんなエネルギーを感じた。2016-06-26_163437

「僕を信じますか?」
「僕は守サンと心中します」

全てがFAKEかもしれない。複雑怪奇で白黒ハッキリせず、グレーなこの世の中で、信じるものがあり、愛があるということが素晴らしいのかもしれない。

以上、歴史的な詐称事件のその裏側を見事に潜入して懐に入れ、アナザーストーリーをフィルムに収めることができた、数年に一本の傑作ドキュメンタリーだと思います。

kojiroh

『アイアムアヒーロー』(2015年、日本)――75点、ゾキュン映画初体験


監督:佐藤信介
脚本:野木亜紀子
原作:花沢健吾 『アイアムアヒーロー』
出演:大泉洋、有村架純、長澤まさみ、吉沢悠、岡田義徳、片瀬那奈、片桐仁、マキタスポーツ、塚地武雅、風間トオル、徳井優・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

※リアルタイム映画評

花沢健吾の大ヒット・ゾンビ漫画の映画化。

国際映画祭でも観客賞を受賞、大泉洋、有村架純、長澤まさみの豪華キャストによるゾンビパニック・アクション大作。監督は「GANTZ」「図書館戦争」シリーズの佐藤信介。

クソ映画人の推奨を受けて劇場へ足を運び鑑賞。

なかなか笑えて手に汗握れる秀逸なゾンビ映画で驚いた。

◎あらすじ
漫画家アシスタントとして最低な日々を送る35歳の鈴木英雄。ある日、徹夜仕事から帰宅した英雄は、異形の姿に変貌した恋人に襲われかける。辛くも逃げ出した英雄は、同じように異形の者が人々を次々と襲い、襲われた人間もまた異形の者へと変貌していくさまを目の当たりにする。やがてそれは“ZQN(ゾキュン)”と呼ばれ、謎の感染パニックが日本中で起きていることが分かってくる。標高が高いところは感染しないという情報を頼りに富士山を目指した英雄は、その道中で女子高生の比呂美と出会い、ひょんな成り行きから一緒に行動を共にするのだったが…。
<allcinema>

平穏な冴えないオタク漫画家の日常が、一変してサバイバルアクションへ。

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日本のゾンビ映画でこんなに本格的なものが出てきたのかと、邦画のゾンビ映画史の歴史を作ったかもしれないと思った。(筆者は邦画ゾンビ映画初体験。)

それにしても本映画はゾンビ映画好きのつぼを全部押さえたようなデキ。

噛むと感染してゆき、すぐにゾンビ化して暴走する走るゾンビもいる雰囲気は、「28日後・・・」に近い。

そうだ、本作は28日後系列のゾンビだ。
猛烈な怒りウイルスのごとく変貌して飛び掛ってくる、走ることもできる、肉体によってはジャンプすることもできる、なかなか強いゾンビである。ゾキュンか。

ストーリーの流れとしても、28日後的かもしれない。
やはり、島国の国でゾンビ映画を作るとこういう風になるかと。

ただショッピングモールの変わりにアウトレットモールが登場する場面は、『ゾンビ』を思い出して興奮した。韓国ロケによる、日本映画としては異色なゾンビスペクタクルではないか。

80%以上は原作の力だとは思うが、高校生美女と出会った冴えない引きこもりの男が、ショットガンをぶっぱなすB級エンタメ映画としての完成度は驚くほど高い。

脇役も揃っていて、名俳優たちがこぞってゾンビ映画に出演したいと思って自発的に協力したのではないかと思えるデキ。豪華である。

塚地なんかが、あんな脇役ででるんだなと。
徳井優、あと岡田義徳も。脇役の冴え方もいい。

とにかく、ニートが飛躍できる時代が来たと興奮し、2chの掲示板を頼りに動いていく様はかなり完成度の高く現代風な和製ゾンビ映画になったと。

大泉洋も、こんな汚い映画の主演をはって、はまり役になっているとは、ゾンビ映画の並が本作から再ブームになるといいなと思った次第。2016-06-02_183301

本当に主人公のダメダメさがうっとおしくもなる映画であったが、ペキンパーのわらの犬のように暴力に目覚める優しい男の狂気があるような気がして、ショットガンを構える大泉洋は、近年のアクション邦画でのベストショットかもしれない。2016-06-02_183531

ただし、やはりもっと続きがほしい、オチがもう一つ欲しいなと思った次第でした。

ただこの脚力満載のゾンビなどの描き方なんかは、今までにない感じだなあと関心しました。ロレックスの時計で笑えるシーンもあれば、タクシーのカーアクションのようなパニック要素もあり、女子高生もいて、シリアスアクションもあり、盛り沢山で、ゾンビ映画好きには一見の勝ちあり。

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本家アメリカのゾンビ映画にはその意味では叶いませんけど、邦画ゾンビ映画では最高峰ではないかな。

続編を待望したい珍しい一本・・・次は劇場までは行かない気がしますが。

kojiroh

『桐島、部活やめるってよ』(2012年、日本)―85点、10年に1本?邦画の青春傑作映画


『桐島、部活やめるってよ』(2012年、日本)―102min
監督:吉田大八
脚本:喜安浩平、吉田大八
原作:朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』
出演:神木隆之介、橋本愛、東出昌大、清水くるみ、山本美月、松岡茉優、落合モトキ・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

ベストセラー小説を吉田大八監督で映画化した青春群像ドラマ。
その印象的なタイトルから様々な模倣を生んで話題になった小説&映画。
どうも安っぽい印象で、原作を読んだことがなく、多分あまり好きじゃないだろうなと思い敬遠していた。だが小説よりも映画が高い評価を得ていたので、重い腰を上げてレンタル鑑賞。

ずばり、非常によくできた邦画で驚いた。

陳腐な予算が多くてもしょぼい完成度の邦画が多い中で、この作品は郡を抜いている。

◎あらすじ
金曜日の放課後。バレー部ではキャプテンを務め、成績も優秀な学園の“スター”桐島が、突然退部したらしいとの噂が校内を駆け巡る。学内ヒエラルキーの頂点に君臨する桐島を巡って、バレー部の部員はもちろん、同じように“上”に属する生徒たち――いつもバスケをしながら親友である桐島の帰りを待つ菊池宏樹たち帰宅部のイケメン・グループ、桐島の恋人で校内一の美人・梨沙率いる美女グループ――にも動揺が拡がる。さらにその影響は、菊池への秘めたる想いに苦しむ吹奏楽部の沢島亜矢や、コンクールのための作品製作に奮闘する映画部の前田涼也ら、桐島とは無縁だった“下”の生徒たちにも及んでいくのだが…。
<allcinema>

ずばり、これはこのときこの瞬間しか撮れない映画を撮っている。

出演している少年少女たちの演技がどれもキレがあり、みんな独自の存在感を放っており、素晴らしいなと。
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特に橋本愛の存在感と透明な美女っぷりが冴えている。2016-02-17_200923

ベタベタな青春映画を想像していたから、意表を突かれた。

ポップな青春系エンタメ映画ではなく、しっかりとした力のある演出と演技、そして随時に見られるマニアックな演出・・・鉄男の映画鑑賞であったり、まさかのゾンビ映画マニアな前田君。

前田君を中心とした脚色が、この映画のすべての成功だなと、本当によくできている。2016-02-17_201201

ディティールまでこだわっているんすよねえ、みんあ携帯電話を持っているが、ガラケー中心。だが、冒頭の方で美女・リサだけスマホを使っていたり、演出が細かい。

音がないからこそ、演技と演出の力を問われる・・・純文芸的映画の要素と、マニアックな要素がミックスして調和していて、邦画の最高傑作と絶賛する人がいるのも分かる。だからこそ、吹奏楽部の演出が活きたり、よくできすぎ。

音楽がまったくない演出――日本では家族ゲームを思い出す雰囲気。だが、最後で激しい弾き語りの感情的な音楽が流れ、打ちのめされます。青春を叩き切るような歌声で高橋優「陽はまた昇る」・・・驚きのクライマックスシーンから、この展開は予想できませんでした。

目標や情熱がない帰宅部と部活。こうした学校の縮図は、ある意味で社会人でも同じなんだよなあと思わされたり、メッセージが強いです。原作はどうか分からないが。

青春の苦さを感じさせつつ、日本の高校って本当に閉鎖的で嫌な場所だなと感じつつ、高校時代をイヤでも思いださされる。

ともかく、原作の小説よりもはるかに評判もよく、絶賛の声をきく理由が分かりました。

これはなかなか映画に精通している人ではないと作れない映画であり、邦画の中では10年に1本ぐらいの傑作青春映画でしょう。(この手の映画は全然筆者の趣味ではないが)

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