『そして父になる』(2013年、日本)―80点。カンヌ審査員賞、是枝作品の最高傑作


『そして父になる』(2013年、日本)―120min
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
出演者:福山雅治、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

Like Father, Like Son・・・英語のタイトル。2014-03-11_155735

「誰も知らない」の是枝裕和監督が、福山雅治を主演に迎えて贈る感動の家族ドラマ。共演は尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー。カンヌ国際映画祭でみごと審査委員賞を受賞し、国際的な舞台でも大きな話題となる。

スティーブン・スピルバーグも感動し、リメイクが決定した。日本においてもヒットを記録、是枝作品としては最高レベルの一作といえるかなと思った。

●あらすじ
 これまで順調に勝ち組人生を歩んできた大手建設会社のエリート社員、野々宮良多。妻みどりと6歳になる息子・慶多との3人で何不自由ない生活を送っていた。しかしこの頃、慶多の優しい性格に漠然とした違和感を覚え、不満を感じ始める。そんなある日、病院から連絡があり、その慶多が赤ん坊の時に取り違えられた他人の子だと告げられる。相手は群馬で小さな電器店を営む貧乏でがさつな夫婦、斎木雄大とゆかりの息子、琉晴。両夫婦は戸惑いつつも顔を合わせ、今後について話し合うことに。病院側の説明では、過去の取り違え事件では必ず血のつながりを優先していたという。みどりや斎木夫婦はためらいを見せるも、早ければ早いほうがいいという良多の意見により、両家族はお互いの息子を交換する方向で動き出すのだが…。
<allcinema>

うーん、しまったな。
これを去年見てたら、パシフィックリムに並ぶかちょっと超える、2013年の個人的なベスト映画だったなと思います。

しかしすごくいやらしい映画、というか人間の闇というか嫌な部分、さらけ出したくない部分をさらけだす映画でもある。

オープニングのめでたい受験合格シーンから一気に問題が勃発してドロドロの家族崩壊ストーリーになるその落差がすごくえぐい。

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「いいか、血だ。人間もウマと一緒で、血が大事なんだ」
子供は反発しつつも親に似てくるもの。
子供の成長に重要なのは、教育環境か、DNAか、という議論で、これは人種差別にもなりうる難しい話、かつ普遍的な議論である。

個人的にも、監督自身も、道徳的には教育環境を信じたいが、「血」の宿命というのは年を重ねるごとに重要性を実感してくるものであろう。

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子供の純粋さや無垢さを描く事が多い是枝監督だが、その技が最高レベルまで達したのが本作かもしれない。

ある意味で、暴力的な映画ではないが、極めて残酷な映画だ。
残酷映画をみるよりも残酷なのだ。このドロドロとした人間関係模様が。エリートと底辺な家庭の対比が特に残酷で感受性に響く。2014-03-11_155841

福山の家の一家の黒いレクサスと、リリーフランキーの家の軽自動車。この対比がなんとも皮肉でブラック。レクサスが妙にかっこよく見える。もはや大スポンサー?

しかしこの家族2人組の奇妙な関係というか、人間模様も現代的な神経質な感じもあっていい。小道具もこじゃれていて、100均一のようなみすぼらしい財布を使う、リリーフランキーの卑しくも明るいいわゆる底辺なかんじの家族がすごくリアル。2014-03-11_155929

リリーフランキーの奥さんにしては、真木は美人過ぎるけれども・・・。まあ細かい突っ込みは面白いし、日本アカデミー賞取ったレベルで忘れられない怪演をしてくれたので一見の価値ありだと思います。

「こども」と「おとな」の難しい世界の表現に昔から挑み続ける、
世界の是枝の集大成でもあり最高傑作かなと思いました。

_追記
あ、忘れていたが、脇役どころでも、国村隼人の演技が貫禄でした。
福山の上司役で、ところどころのコメントが時代を表していた。
「あなただって僕みたいに突っ走ってきてきたんでしょ?」
「今はそんな時代じゃねえだろ。時代が違うよ、時代が」

そんな成長鈍化の先進国的なやりとりも、また一つ本作が先進国受けする一因かなと思った。

kojiroh

『謝罪の王様』(2013年、日本)―70点。豪華キャストで送る、前代未聞の謝罪コメディ映画


『謝罪の王様』(2013年、日本)―128min
監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
出演者:阿部サダヲ、井上真央、竹野内豊、高橋克実、松雪泰子 etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

「舞妓 Haaaan!!!」「なくもんか」を手がけた主演・阿部サダヲ、脚本・宮藤官九郎、監督・水田伸生のトリオが再びタッグを組み、架空の職業“謝罪師”を主人公に描くコメディ。

名わき役として名高い俳優もパロディのように登場し、竹之内豊から松雪泰子まで登場するというバラエティに富んだ豪華キャスト。オムニバス・タッチの構成で描き出す、怪演謝罪映画。

●あらすじ
ヤクザな男の車相手に追突事故を起こしてしまった帰国子女の倉持典子。欧米の習慣が災いして、うまく謝罪できず泥沼に。そんな彼女が頼ったのは、“謝罪のプロ”を自任する東京謝罪センター所長、黒島譲だった。そして、黒島の見事な“謝罪”でどうにか窮地を脱した典子は、そのまま黒島のアシスタントとして働くハメに。やがて2人の前には、一筋縄ではいかない大小様々な難題を抱えた、ひと癖もふた癖もある依頼者たちが次々と現われるのだったが…。
<allcinema>

さて、結論からいうと、意外に面白かった!

まさか「ごめんなさい」をここまで面白おかしく描くなんて、その発想&アイディアが個人的にはわりとツボでした。2014-03-08_223632

あまり評価高くないけど、2時間は余裕で楽しめました。
まあ深夜ドラマレベルな内容ではあるが、謝罪代行会社の社長の黒島が、カフェをオフィスのように使って仕事を展開しているあたりが流行のノマドワーカーっぽくて共感できた。2014-03-08_223502

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井上真央ってあまり知らなかったけど、とぼけた演技が意外にいいなと。阿部との名コンビっぷりが、新感覚探偵物語みたいな。オムニバス形式にしてるのも手軽に見れていいっすね。

高橋克美もぼけてて笑える。しかしすべてに何か下ネタがあるかんじがパロディ的でいいですね。マンタンなんかももろブータンで、しかしある意味、これはブータンをバカにしすぎで不謹慎な気もする。

日本に遊びに来る海外の王子とかも、北朝鮮っぽくて、実際にありえそうなところもなんかブラック。まあこの国の話はなくてもよかった気もするほど馬鹿馬鹿しいですけど、完全にギャグ映画として見るなら個人的にはありですね。

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もろもろ日本映画の脇役の「顔」みたいな人々がたくさん出演してて笑えました。

竹之内がかっこいいし、こんなコメディ映画に出るなんて、それが豪華すぎてびっくり。2014-03-08_223426

役柄がもろアウトレイジと一緒の中野英雄とかもよかったですね、笑えた意味で。パロディにあふれてます。風刺的。

しかし映画じゃなくてもテレビドラマでよかったのではと思えるレベルの内容ではあるが、ANAの機内という暇つぶしにはもってこいの場所で見たからか、結構面白くて楽しめたというだけかもしれないが。

まとめとしては、くだらない映画の割にはよくできててオチもあって、出演者の息があってる感じのノリが予想外によかったなという次第でした。劇場で見る映画じゃないとは思いますが。

kojiroh

『おくりびと』(2008年、日本)―80点。死というより衰退する先進国の職業選択を問う秀作


『おくりびと』(2008年、日本)―130min
監督:滝田洋二郎
脚本:小山薫堂
出演者:本木雅弘、広末涼子、山崎努、峰岸徹、余貴美子、吉行和子、笹野高史 etc

【点数】 ★★★★★★★/ 8.0点

滝田洋二郎が監督を務め、第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞など数々の賞を受賞、第81回アカデミー賞外国語映画賞という史上初の快挙を成し遂げた1作。

そういえば話題になっていたが見そびれていたのだが、ANAの機内であったので鑑賞してみると想像以上に引き込まれて面白く、もっと早く見ておけばよかったなと思った。

●あらすじ
 チェロ奏者の大悟は、所属していた楽団の突然の解散を機にチェロで食べていく道を諦め、妻を伴い、故郷の山形へ帰ることに。さっそく職探しを始めた大悟は、“旅のお手伝い”という求人広告を見て面接へと向かう。しかし旅行代理店だと思ったその会社の仕事は、“旅立ち”をお手伝いする“納棺師”というものだった。社長の佐々木に半ば強引に採用されてしまった大悟。世間の目も気になり、妻にも言い出せないまま、納棺師の見習いとして働き始める大悟だったが…。
<allcinema>

はい、もう文句なしに近年まれにみる邦画の傑作でしょう。

ぶっちゃけそこまでこの手の人間ドラマは趣味ではないですが、引き込まれました。内容的にも現代的で面白いです。心理描写とか、都会から田舎へ引っ込んでゆき、隙間産業にいざなわれていくその描写は、失われた10年のならではの描写だと思った。

死というより衰退する先進国の中で、どういう職業で生きてゆくか。
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もっくんの優しくて誠実で、ひたむきな演技はなかなか秀逸だった。広末もそうだが、主演から助演まで、近年稀に見るいい芝居をしているなと思った。

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ウェブ屋さんから田舎暮らし。田舎の水で炊く米が美味しいという食卓シーンがなんか個人的にツボだった。

名優・山崎勉の渋くてちょっとユーモラスのある社長役がハマり役だった。

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隙間さん産業に生きる変人社長ってこんな人本当にいるよなと、この怪演は貫禄だったなと思う。台詞まわしも何もかもウィットに富んでいる。

クリスマス祝いでチキンをほおばるシーンとか、もらい物の何かをくちゃくちゃ車の中で食べるシーンとか、生きること・食べること・死ぬこと=死ぬことを処理する人がいることを、皮肉にブラックユーモアを交えて肯定している点が非常に面白かった。

本作の最も秀逸なテーマは「死」ではなく、汚い隙間産業でいきてゆく人々の苦悩と葛藤だと思う。つまりやりたいことと天職はつながらない、ますますつながり難くなっている時代の職業選択の問題である。

今後、何週間も放置されてしに行く高齢者が急増することが予想される日本で、こういう生き方・働き方がすごく現実的であり、リアルだ。

それはすべての先進国に共通して言えることだろう。だからこそ、本作は日本のみならず海外でも評価されたのだと思う。

日本のみならず、先進国の人々、特に職に困っている若者にとっては一見の価値がある一作だと思った。

kojiroh

『劇場版 SPEC〜結〜漸の篇』(2013年、日本)―0点。商業主義に汚染されたママゴトレベルのゴミ映画

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『劇場版 SPEC〜結〜漸の篇』(2013年、日本)―93min
監督:堤幸彦
脚本:西荻弓絵
製作:植田博樹、今井夏木
音楽:渋谷慶一郎、ガブリエル・ロベルト
出演者:戸田恵梨香、加瀬亮、北村一輝、栗山千明、竜雷太 ETC

【点数】 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆/ 0.0点
※リアルタイム映画評

戸田恵梨香と加瀬亮が主演、「ケイゾク」の堤幸彦が監督、
おなじみ「SPEC」の完結編2部作、その前編を好奇心で劇場で見た。

ぶっちゃけ前評判悪いからあまり期待してなかった、過去のキャラが再登場するらしいので、一体どういう展開になるのかと気になって、好奇心に負けて劇場入りしたのだが・・・。

◎あらすじ
ニノマエとの死闘を終え、瀕死の状態で病室に担ぎ込まれた当麻と瀬文。2人の距離は縮まったようにも思えたが、世界はある人物によって破滅へと進み、やがて当麻に宿ったSPECが覚醒する。戸田、加瀬をはじめドラマ版レギュラーキャストに加え、謎の白い男セカイ役で向井理、物語の鍵を握る謎の女役で大島優子が出演。歴代のSPECホルダーも総出演する。

<映画.comより>

所感、盛大に笑った。
あまりにもクソで、てかゴミすぎて、エンディングは笑うしかねえ。
前作の『天』がクソだったので、もうこれ以上劣化することはないかなと、最低限の期待を胸に劇場に足を運んだわけだが・・・ナニコレ?
回想シーン多すぎじゃね?
竜雷太のせりふもあそこまで長回しで回想されるとマジでうざい。

主演の戸田=当麻が悪いわけじゃないんだ。すべては監督と脚本。中身なさすぎ。
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彼女と瀬文=加瀬の演技もくさくて馴れ合いみたい。もういいよといいたくなるほど2人の人間ドラマが長くてうっとうしい。そんなことよりストーリーを進めろっ!w

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ドラマでは素晴らしい演技を見せた人気キャラたちも、ままごとの馴れ合いみたいなレベルの下らない演技を見せる。この脇役3人組は好きだけども・・・。

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怪演を見せてくれた過去のキャラ、吉川=北村がとういう再登場するのが一番気になっていたのだが、これまた、まあ安っぽい後付の復活。こんな子供だまし、あり?w
はっきり言って興ざめである。
キャラを無意味に殺したり生き返らせたり、いい加減にしろ!
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大島がなぜ登場してるのかわからんが、、
ぶっちゃけ、しゃっくりウゼエえええ!!
劇場で見ると余計にうぜええ。

そもそも世界規模の陰謀と絡めて大スペクタクルにしたうえに、クローンとかわけわからん無敵設定にした時点で「Spec」は終わっていたのだ。

いやーー、つまんなかった!
この場で書けば書くほどイライラしてきます(笑

HULUとかレンタルで一本百円以下で鑑賞したなら、20点ぐらいはあげてもよかったが・・・、こんな安っぽいクソな脚本とままごとのような演技、くさくて長くてうっとおしい人間ドラマ、さらには無駄な回想シーンで焼き増した1時間半を劇場で付き合わされた身になってくれ。

Team SPECにはマジでがっかりです。
堤監督もドラマの鬼才なはずだが、
映画になるとなんでこんなにクソなの?
関西人だから、最後の最後で中身のない映画を回想とママゴト演技で時間を引き延ばして前編後編にすることでカネ儲けしたかったの?

傑作だったドラマスペシャルの『翔』なんかは、ミステリー要素も組み込み、かつスピーディーに回想も短く、面白いギャグとかもふんだんに1時間半の尺の中に盛り込んで、中身が濃い一作だったのに・・・、
本作のギャグもたいして面白くなかったし、キレがない。
ストーリー進行遅すぎ。中身ないものをだらだら流してる、まさしく総集編かよっ!と突っ込みたくなるクソっぷり。

2時間半あれば、漸&後篇をくっつけることは間違いなくできたはず。「Kill Bill」のように前篇と後編でテーマを変えて楽しませる情熱も才能もないだろう。

はっきり言ってわたしが今まで劇場で見た映画の中で、人生最低レベルでした。

まあ今まで面白かったドラマシリーズをHuluで安く見れたことに対する寄付だと割り切るしかないレベルでゴミだった。絶対に後編は劇場で見まないことを宣言します。

本当の意味でSPECは終わった。

kojiroh

『劇場版 SPEC〜天〜』(2012年、日本)―50点。ドラマは傑作、映画は・・・、残念な堤幸彦監督作

『劇場版 SPEC〜天〜』(2012年、日本)―119min
監督:堤幸彦
脚本:西荻弓絵
製作:植田博樹、今井夏木
音楽:渋谷慶一郎、ガブリエル・ロベルト
出演者:戸田恵梨香、加瀬亮、福田沙紀、神木隆之介、栗山千明、伊藤淳史、竜雷太 ETC

【点数】 ★★★★★☆☆☆☆☆/ 5.0点

最近、ネットで980円で視聴可能なHULUにはまっているのだが、そこで知り合いがハマッていることで知った、話題のドラマ「SPEC」。

1999年の傑作ドラマ「ケイゾク」の続編的要素の新作が出ていたのかと興味を持ち、軽い気持ちで見てみると・・・大はまり!!

戸田恵梨香ってこんないい女優だったけ?
とにかくキャラと世界観がツボすぎ。名探偵・当麻と相棒の瀬文(加瀬)の名コンビっぷりは過去の中谷美紀と渡部篤朗を超えてるぜっ!さらにサイコな雰囲気はまるで漫画の『幽遊白書』の仙水編のような特殊能力者との戦い、「ケイゾク」と「トリック」のミステリーと、パロディ満載のユーモアの最骨頂が「SPEC」だ!!

以上のような興奮があった、今年見た一番面白かったドラマが「SPEC」です。
映画版もHULUに登場していたので、期待を胸に鑑賞することにしたのだが・・・。

●あらすじ
通常の捜査では解決できない特殊な事件を扱う部署“警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係”、通称ミショウ。ある日、海上に漂うクルーザーから多数のミイラ化死体が発見される。スペックホルダーの関与が疑われる中、瀬文焚流とともに捜査を進める当麻紗綾。そんな彼女の前に、死んだはずのニノマエが姿を現わす。やがて事件は国家規模の様相を呈していくのだが…。
<allcinema>

さて、所感、SPECの世界観は存分に楽しめて、当麻の戸田も相変わらずいい演技をしてて面白くて可愛いが・・・がっかりでした。
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「キルビル」のパロディのユーモアで登場する栗山千明、正直、本作で登場したキャラはそんなに冴えてない。スペシャルドラマの「翔」で登場した北村一輝とでんでんのような飛びぬけた怪演で笑わせるようなネタはない。

本人役で登場するイトウアツシ。なぜこいつなの? 微妙に配役が笑えない。安っぽい、薄っぺらい。
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無駄に「幽白」の戸愚呂 弟のようなCGを使ったモンスターなスペックを披露してくれるけど、はっきりいって興ざめだった。安っぽいスペックタクルアクションはSPECにはいらない。

なんというか、スケールを大きくしすぎてスベった感じ。
「ケイゾク」の映画もそうだが、ドラマでは素晴らしいのに映画の枠にしたとん失速する堤監督って一体なんなの? てかカネ儲けで作っただけで、ドラマのときはあまりその後を考えてなかったんじゃないかね。そのぐらい、ヒットしたから後付けで作りました感が満載。

ドラマが素晴らしいので、本当に脚本とか担当してる人がまとめて変わったんじゃんじゃないと言うほど、シナリオがダメ。主演の人々のドラマも安っぽくてクサイ。

何度も言うが、ドラマ10話~「翔」までは傑作だった。多分、当初のネタはここで完結してたがヒットしたから後付けで頑張ったんじゃないかと思えるほど、スケールが大きくなりすぎて収集つかなくなってる感じ。予言とかバチカンとかぶっちゃけ蛇足。

一番面白かったのは、こういう最初の遊びシーンだった。
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そして最後の怪演を見せる椎名桔平。
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津田助広の設定も、パブリックドメインとしての存在意義がよくわからないかんじになっていて、特別出演というサイコで謎めいた雰囲気がなくなったのも残念だなあと。

ネタばれになるのでこれ以上はやめとくが、とりあえず後付で作った残念な期待はずれな「SPEC」でしたと。ドラマは本当に面白かったんだよっ!

堤監督の映画には今後期待しません。

kojiroh

『ゴジラ Final Wars』(2004年、日本)―35点。ギャグとしか思えないゴジラシリーズ最終章


『ゴジラ Final Wars』(2004年、日本)―125min
監督:北村龍平
脚本:三村渉、桐山勲
製作:富山省吾
出演者:松岡昌宏 (TOKIO)、菊川怜、ドン・フライ、水野真紀、北村一輝、ケイン・コスギ、水野久美、佐原健二、船木誠勝、長澤まさみ、大塚ちひろ、泉谷しげる、伊武雅刀、國村隼、宝田明etc
【点数】 ★★★☆☆☆☆☆☆/ 3.5点

日本が世界に誇る怪獣映画「ゴジラ」シリーズの通算28作目にして“最終作”と銘打たれた特撮巨編。「VERSUS」「あずみ」の北村龍平監督を迎え、スピーディなアクションとバトルが繰り広げられる最終章・・・そう宣伝されていて、レンタル屋で手に取った。

『パシフィックリム』の影響でカイジュウ映画を見たくなって最近のゴジラを見ようと手にしたが・・・騙された。。大失敗。もうレビュー書くことがストレス発散レベルで。

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●あらすじ
20XX年。数年前から世界各地で特殊能力を持った超人類=ミュータントが確認されるようになり、地球防衛軍では対怪獣用戦力として彼らを集め、特殊部隊“M機関”を組織した。ある時、北海道沖で巨大怪獣のミイラが引き上げられた。M機関のミュータント兵・尾崎真一と国連から派遣された科学者・音無美雪は共同でミイラの調査にあたる。そんな中、ニューヨーク、パリ、上海、シドニーなど世界中で同時に怪獣たちが出現した。地球防衛軍は全戦力を投入するが、怪獣の圧倒的な力と数の前に防戦一方となり、人々はパニックに陥ってしまう。
<allcinema>

所感、ナニこの安っぽさ。
ハリウッドの大作見た後だとまじで安っぽい。
本作のゴジラはなんか劣化している気がした。

人間の出演陣は松岡とかアイドルから名わき役も揃っていてやたら豪華だが、低予算映画のようなアクションシーンと怪獣。本当に制作費20億かけてんの? ほとんど出演料で消えてるのでは?そう思うぐらいしょぼい。

X星人のマジキチな演技はギャグとして考えると笑えるが・・・

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最初の海外の都市での怪獣発生シーンはよかったが、どんどん安っぽくなる。予算なくなったの? 監督馬鹿なの? 人間シーンが多すぎ。見たいのは怪獣だ!

US版ゴジラとのバトルがよく見るとあるが、さりげない。ギャグにするならもっと徹底すればいいのになと思ったり、、、変なとこに遊びがある。

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最大の突込みが、国際的に描いているのに、英語で喋る人物とのやりとりが日本語っていう・・・まじアホなの?どこで自動翻訳されてんの? 英語と日本語でやりとりするぐらいなら外人使うなよ!(苦笑

カネがないなら怪獣もこんなに沢山出てこないでいいし!ミニラとか、もうええわ!www

本作の最大の失敗は、ゴジラを現実的に、国際的な舞台でリアリティを持って描こうとしたにもかかわらず、予算の問題と監督&制作陣の無能のせいで何もかも中途半端で、子供だましのような作品にしか仕上がらなかったことだろう。

音楽も現代っぽい電子ミュージック起用しているが、使い方が陳腐だしチャチ。こんなんなら普通でよかったのに、どうせアクションシーンもたいしたことないんだから、もう言い出すとキリがないが、何もかも中途半端すぎっ!

ただ一点、早稲田大学教授大槻義彦とたま出版の韮澤潤一郎が出演しているシーンがあって、そこは笑えた。もはやギャグだろ、このゴジラ映画。

それにしても久々にこんな邦画クソ映画見た気がする。
125分もあるし。なんかもう、だらだらやりすぎ。
日本人に予算をかけたスペクタクル作らすとゴミしか生まれないのだとよく分かった。そんなゴミみたいな昨今の日本の怪獣映画に我慢できなくて、パシフィックリムのような大傑作が生まれたのかもしれない。

kojiroh

『不夜城』(1998年、日本)―65点.90年代後半、魅惑の歌舞伎町


『不夜城』(1998年、日本)―122min
監督:リー・チーガイ
脚本:リー・チーガイ、野沢尚
原作:馳星周
出演:金城武、山本未來、椎名桔平 etc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆/ 6.5点

馳星周のデビュー作であり、ヒットを記録し映画化した作品。
金城武など、今で見ると豪華キャストが集結した一作を、筆者は最近登録してハマっている月額980円のHuluというサイトで鑑賞した。

原作のファンであっただけに、忠実に映画化していて感心した所感。
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◎あらすじ
湾人と日本人のハーフである劉健一は歌舞伎町で故買屋をしている。ある日、かつての相棒、呉富春が歌舞伎町に舞い戻ってくる。上海マフィアの幹部を殺して逃亡していたのだ。噂を聞きつけた上海マフィアのボスは健一に富春を探し出すように命じる。そんな健一の前に“富春を売りたい”という謎の美女が現れる……。
<allcinema>

バンコク、マニラ、香港、そして歌舞伎町。アジア最大の歓楽街。
夜の街、眠らぬ街、やくざ、チンピラ、危機的状況下での男と女。
まるで香港映画を観ているかのような歌舞伎町と中国人、原作通りの再現。興味深い。
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うーんしかし、前半のスピード感や雰囲気はいいけど、後半はわりとグダグダ。

特に原作を知っている筆者としてしては本作の再現はちょっと微妙、暗黒小説のダークさがちょいパワー不足。

やっぱ主演の山本未来は役不足かなと。
金城武の演技もちょい技巧不足、てか日本語に違和感あり。ま、かっこよくタバコを常にふかし続ける美男子の姿は絵になるし好きなんだが。

それよりも、助演、脇役がなかなか主演以上に輝いている。
椎名桔平の長髪の怪演はファンなら見逃せない。
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エリック・ツオンも『インファナル~』のファンなら思わずクスり。
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ユアンチェンクアイ。中国語のドスの効いた発音がとにかく面白い。

あと冒頭に原作者の馳星周がちょい役で出演しているとこなんかもニヤリ。
B’Zの主題かも、微妙に世界観違う気がするが、豪華だなと思った。

やはり90年代後半の歌舞伎町をフィルムに納めたことに、本作の大きな意義があると思う。飛び交う北京語、中国人、タイ人、様々な人種が犯罪組織を作り裏経済を作っている歌舞伎町の実態をハードボイルドかつスタイリッシュに描いていた。(特に前半)

完成度は低いけど、遊びがきいてたり、音楽も雰囲気がある。とにかくもう今ではフィルムに収めることができないであろう、昔のアングラな歌舞伎町の姿を描いた映画であることを評価したい一作である。

kojiroh

『コクリコ坂から』(2011年、日本)―50点。今の時代に見る必然性を感じない映画


『コクリコ坂から』(2011年、日本)―91min
監督:宮崎吾朗
脚本:宮崎駿、丹羽圭子
出演者:長澤まさみ、岡田准一他 etc

【点数】 ★★★★★☆☆☆☆/ 5.0点
※リアルタイム映画批評

さて、随分前にリアルタイムで劇場で鑑賞して、あまりアップロードにする気になれない一本だったが、ちょっと時間ができたので頑張って更新してみることに。

さて、『コクリコ坂』は、宮崎吾朗監督の「ゲド戦記」に次ぐデビュー2作目となる長編アニメーション。1963年の横浜を舞台に、学生運動に身を焦がす若者たちの姿を描く。
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◎あらすじ
1963年、横浜。港の見える丘に建つ古い洋館“コクリコ荘”。ここに暮らす16歳の少女、松崎海は、大学教授の母に代わってこの下宿屋を切り盛りするしっかり者。あわただしい朝でも、船乗りの父に教わった信号旗(安全な航行を祈る)をあげることは欠かさない。そんな海が通う高校では、歴史ある文化部部室の建物、通称“カルチェラタン”の取り壊しを巡って学生たちによる反対運動が起こっていた。ひょんなことから彼らの騒動に巻き込まれた海は、反対メンバーの一人、風間俊と出会い、2人は次第に惹かれ合っていくのだが…。
<allcinema>

うん、いい映画だと思う。
ジブリの世界だ。主題歌の古臭さとか、世界観がノスタルジックであり、「上を向いて歩こう」という古い昭和の希望に満ちている。ストーリーもいいよ。面白いよ。絵のタッチもいいしね。ほのぼのしていて癒される。
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しかし、なぜ今の時代にこの映画なのか。
ずばり、この映画を現代の日本で作る必然性を何も感じないのだ。

つまり、過去の美化に溺れている場合じゃない。

映画というのは今の時代に対する何かしらのメッセージがないといけない。しかしこの映画にあるのは、ひたすら昭和の戦後の日本の最成長期への憧れに過ぎない。

あの時代に帰るんじゃない、今の時代を創造し、人々に新しい生き方を示さなければ、今映画を作る理由もないじゃないか。

つまりこの「コクリコ坂から」にあるのは、過去の栄光への逃避、なのである。それは決して新しい生き方を示していない。先行きの分からないこの日本社会において新しい生き方を示すのではなく、過去の栄光へと浸ることで現実逃避するような映画なのだ。昔はすごかったぞ、だから今も昔のように頑張れ!という非常に安直なメッセージなのである。

昭和の時代の頑張りを今の時代に輸入して再現してうまくいけば苦労しないですよね、所詮は過去の栄光にすがる弱さのようなものを感じてしまう映画であった。

ある人が、本作のことを、「賞味期限切れの幕の内弁当」だと言っていた。
言い得て妙で、つまり品質は高いが、作る時期を間違えてしまった。

というわけで筆者は劇場で観てしまったので、そこまでして観る価値はなかったので5点。悪い映画じゃないです。毒がなくていい話ですが、毒がないのもまた問題かなと。まあ完成度は高いのでビデオで見るなら十分な映画でしょう。

kojiroh

『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2008年、日本)―85点。若松孝二の集大成&渾身の最高傑作


『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2008年、日本)―190min
監督:若松孝二
脚本:若松孝二、掛川正幸、大友麻子
音楽:ジム・オルーク
出演:坂井真紀、ARATA、並木愛枝、地曵豪 etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

今年亡くなった故人の中で最も惜しい、日本の人間国宝のような若松監督を追悼してレビューを書くことにする。

第58回ベルリン国際映画祭にて最優秀アジア映画賞と国際芸術映画評論連盟賞(CICAE賞)をダブル受賞。連合赤軍を追った、「あのとき、若者は何に突き動かされていたのか?」を問う、半ドキュメンタリーのような作りの一作。カンパなどによって制作費が賄われ、長編ながらも低予算で自主制作のような臭いがする。

しかし本作の圧倒的なエネルギーと、演技陣の迫力とメッセージ性には心の奥にあるモノを突き動かされた。

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◎あらすじ
60年代、世界的な潮流の中、日本でも学生運動が大きな盛り上がりを見せていく。革命を旗印に、運動は次第に過激化し、逮捕者も相次いでいく。そんな中、71年、先鋭化した若者たちによって連合赤軍が結成された。しかしその後彼らは、“総括”により同志に手をかけ、真冬のあさま山荘にたてこもり、警察との銃撃戦を繰り広げることになるのだが…。<allcinema>

思想によって革命を起こそうとした若者たちの姿。
昭和の時代を感じさせ、現代に作ったとは思えぬ臭いを感じる。
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三部構成で作られた本作は、秀逸なドキュメンタリー再現映画でもある。実際の安保闘争時代の映像などを交えて、あの時代が何であったかを問う。その時代を生きた若松監督だからこその説得力を感じる。

しかし本作のメインとして思わず舌を巻くのは、第二部の山の中での遠征、そして壮絶なリンチ。

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「自らを共産主義化せよ」
地曵豪が演じる「森恒夫」の強烈な罵倒と洗脳的で新興宗教のような振る舞いはキチガイじみているが衝動的で素晴らしい。

自分しか理解していない理屈で迫り、部下をなじり、罵倒し、自殺的なリンチに追い込み、死体の山が築き上げられる……誰かが言っていたが、この連合赤軍事件の構図は、現代の日本社会の縮図なのだと。全くその通りで、学校や会社など日本の組織の中でよく行われていることだからこそ、妙に胸に残るモノがある。

永田洋子を演じる並木愛枝のブスでルサンチマンで、だからこそその劣等感を革命活動と、狂ったリンチへと誘い行く。これが彼らの望んだ「共産主義化」であったのか。最後では何が「共産主義化」を意味するか困惑し、実践の革命軍としての活動の象徴となった、「あさま山荘事件」へと続く。

ともかく、若い人々のうっぷんと衝動が革命活動への情熱へと還元され、時代遅れになった中でもなんとか足掻こうと新興宗教的な「人間開発」=共産主義化をなすべく奮闘する人々の姿が滑稽であるがリアルで、何より残酷だ。

坂井真紀の悲劇のヒロインと、永田洋子の並木の仕打ちはとにかく残酷すぎる。脳裏に焼きついて忘れられない。

3時間以上の長い映画であるが、感情をぐっと鷲掴みに最後まで見せる力量は若松監督と、この制作陣の熱量としか表しようのないモノだと思った。この狂気をフィリムに焼き付けたこと、最後にいたる強烈なメッセージ性には心を奪われた。

「足りなかったのは、勇気だよ」
若松監督に憧れて参加した、ジムオルークの音楽が鳴り響く。
低予算ながらも、本作のために集まった製作陣の情熱が伝わってくる。

ヤクザもので自信もそういった暴力的な世界に身を修めていた若松監督だからこそ作れた、多くのスタッフの情熱によって成された奇跡的な一作であることは疑いようがない。

過去に何度も映画や書籍の題材として取り上げられてきた「連合赤軍~」の中でも屈指の名作再現映画として語り継がれる名作であろう。

kojiroh

『KOTOKO』(2011年、日本)―7.0点。Coccoのイレイザーヘッド


『KOTOKO』(2011年、日本)―91min
監督:塚本晋也
製作:塚本晋也
脚本:塚本晋也
原案;Cocco
出演;Cocco、塚本晋也 etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

「鉄男」「六月の蛇」の鬼才・塚本晋也が、シンガーソングライターCoccoを主演に迎えた実験的な異色作。2011年・第68回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門で、同部門の最高賞にあたるオリゾンティ賞を受賞。

コアなファンを持つ実力者二人によるゴールデンコンビに思え、期待に胸を膨らませて新作レンタルで鑑賞した。


◎あらすじ
ひとりで幼い息子の大二郎を育てる琴子は、世界が“ふたつ”に見える現象に悩まされ、歌っているときだけ世界が“ひとつ”になる。神経が過敏になり強迫観念にかられた琴子は、大二郎に近づくものを殴り、蹴り倒して必死に息子を守っていたが、幼児虐待を疑われて大二郎と引き離されてしまう。そんなある日、琴子の歌に魅了されたという小説家の田中が現れるが……。<映画.comより引用>

面白いような、笑えるような、重たく欝なような、とにかく不思議な映画だ。ドキュメンタリーを思わせるほど揺れて眩暈のようなカメラワーク。

狂気と笑い。不安定な時代と欝。精神疾患な女と何も知らない無知な子供、芸術家、歌。

低予算な雰囲気でもばっちり独創性のあるシーンを、突発的なカットで魅せるのは塚本流の巧みのワザ。意表を突かれるだけでなく、映像に騙されるようなショッキング、幻想が飛び交う。

小説家に扮した塚本晋也の怪演。いつもながら、奇妙な人物を演じ、物語を進める大きな助演と扮する。うーん、このセンスは塚本100%なデキ。同時に100% COCCO。

だがぶっちゃけ、賛否両論。なんとも言いにくい。やりすぎ感がある。

カッターで腕を切り、生きることを感じる場面や、中華なべで育児をしつつ料理をしながらヒストリー癇癪を起こすシーンなど狂った叫びが脳裏に焼きつく。

kotokoはタバコをわっかにしてふかす、フォークで突き刺す、そして歌う。くどいほどでうっとおしくもあるが、この衝動はすごい。

ガリガリのkotokoの一挙一動が残酷で、どこか笑えて、なぜこうも生きることは大変なのかと思わされる。

『アンチクライスト』のようなグロテスクさもあり、『ツゴイネルワイゼン』を思わせる幻想的で突発的なショットも多い。好きな人は好きな衝動的な一作であろう

しかし女性版シンガーを主人公にした、デビットリンチの『イレイザーヘッド』のようでもある。

とりあえず部分的には好きだが、全体的に手振れが激しくてよい過ぎて残念。吐き気さえ覚えるほど。。

ただこの衝動と、Coccoの狂気をフィルムに焼き付けた点は評価したいと思います。

kojiroh