『ミルク Süt 』(2008年、トルコ)―75点。トルコのユスフ三部作 その2


『ミルク Süt 』(2008年、トルコ)―103min
監督:セミフ・カプランオール
脚本:セミフ・カプランオール、オルチュン・コクサル
出演:メリヒ・セルチュク、バサク・コクルカヤ、リザ・アキン・・・etc


【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

トルコの巨匠、セミフ・カプランオールの自伝的な3部作、『卵』『ミルク』『蜂蜜』が、国際映画祭でも話題となり、近年の重要な映画としてのレビューを受けて、映画人である筆者も見てみることに。何気に、初めてのトルコ映画。

Sutは、ユスフ3部作の第2作目。
第28回イスタンブール国際映画祭の国際批評家連盟賞受賞。

なぜか最初に『ミルク』を手にとってしまったのだが、あまりにも難解で驚いた。

◎あらすじ
高校を卒業したばかりのユスフは、何よりも詩を書くことが好きで、書いた詩のいくつかを文学雑誌で発表し始めている。しかし、彼の書く詩も、母親のゼーラと共に営んでいる牛乳屋も二人の生活の足しにはなっていない。そんな中、母と町の駅長との親密な関係を目にしたユスフは当惑する。これがきっかけとなり、また幼少期の病気のせいで兵役に不適と判定されたこともあって、急に大人になることが不安になってしまうユスフ。
<Movie walkerより>

まず驚いたのが冒頭。
ユメか現実か分からないが、謎の儀式シーン、そして蛇。
本作のモチーフがまず提示されたということを後で知る。

このシーンの美しさとショッキングさを取っても、この監督が只者ではないことがわかった。
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大自然の中で暮らす中東~ヨーロッパの風景の中のドラマは映像美としか言いようが、そんな中、起きては本を読み詩を書く青年。母とのミルクを売る日々。

基本的に長回し。タルコフスキ的というか、絵画のような構図から、ゆったりと流れる時間の流れを感じる。

音楽は一切ない。ひたすら、絵画的風景の長回しで、台詞も少ない。
ワンシーンワンシーンに深い意図は感じつつも、あまりに難解で、連続して100分を観るのは普通の人は無理ではないかと。。。

はっきり言って、ここまで分からない映画はまれである。
ストーリーはあるようでないようなもの。
意味不明なシーンが多く、何度も観ないときっと意図が分からない。何度観ても分からないかもしれない。

だが本作は、映像美に満ちた、自伝的な、作家の生い立ちや複雑な信教を描いた点は素晴らしい。さらにそれ以上に、宗教的、神や霊などの世界を映し出しているものだと感じた。

ネタバレかもしれないが、
蛇というのは、恐らく人間に憑く悪霊のようなものであり、
郵便配達員が謎に転倒したり、
ユスフが気絶してバイクが転倒するシーンなど、「持病」という複線でもあるが、全般的に、神のお告げor悪魔の作用など、霊的な存在が現実社会に作用するものを示唆しているように思えてならない。

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イングマールベルイマン的なものもそうだが、映画監督というのは霊感が高く、神話のようなものを描き出す力を持っている

そういう目に見えない世界の話を前提にすると、冒頭の老人は恐らくシャーマンだ。除霊の儀式を行っていることが、ある種の本映画の始まりでもあり、結末でもある。筆者の仮説。

だが本当に分からなく、狩猟の男を追ってナマズを取るシーンなど、わからないことだらけである。それでも、なぜかこの映像世界はわたしの心に残っている。

個人的には、工場労働者の友達と、詩を見せ合い、カメラが足元へ向くシーンが素晴らしいと思った。カメラワークが絶妙であり、長回しでゆっくり流れるからこその、利点がすごく活かされているなと驚いた。2016-01-28_231246

それにしても、卵、ミルク、蜂蜜・・・すべてが物語の中で、布石というか、ユスフの人生の中で重要な存在として動いていることが分かる。

次、『蜂蜜』へつづく。

_PS
2011年に観た、カンヌパルムドール賞の作品、ブンミおじさんの森に匹敵する、久々に観た難解な映画かもしれない。

kojiroh

『ブラッド・ダイアモンド』(2006年、アメリカ)―75点。社会派スペクタクル・TIA&ダイヤモンドビジネス


『ブラッドダイアモンド』(2006年、アメリカ)―143min
監督:エドワード・ズウィック
脚本:チャールズ・リーヴィット
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジャイモン・フンスー、ジェニファー・コネリー・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 8.0点

2006年の作品。
監督は「ラスト サムライ」のエドワード・ズウィック。
アカデミー賞に5部門ノミネート。

レオナルド・ディカプリオ主演。アフリカのシエラレオネ共和国での内戦(1991年 – 2002年)を描いた、ダイヤモンド業界の暗部に光を当てた大作。

◎あらすじ
激しい内戦が続く90年代のアフリカ、シエラレオネ。愛する家族とつましくも満ち足りた生活を送る漁師ソロモン。しかしある日、反政府軍RUFが襲撃、ソロモンは家族と引き離され、ダイヤモンド採掘場で強制労働を強いられる。そんな中、彼は大粒のピンク・ダイヤを発見、その直後に起きた政府軍による来襲の混乱に紛れてダイヤを秘密の場所に隠すのだった。一方、ダイヤの密輸に手を染める元傭兵ダニーはある時、密輸に失敗し投獄される羽目に。すると、その刑務所にはソロモンも収容されていた。そして、彼が巨大ピンク・ダイヤを見つけ隠していることを耳にしたダニーは釈放後、ソロモンも出所させ、家族捜しに協力する代わりにダイヤの隠し場所を明かすよう迫る。また、アメリカ人女性ジャーナリスト、マディーに対しても、彼女が追っている武装組織の資金源“ブラッド・ダイヤモンド”の実態に関する情報をエサに、自分たちへの協力を取り付ける。こうして3人は、それぞれの思惑を胸に、ピンク・ダイヤを目指す危険な道へと進んで行くのだが…。
<allcinema>

ダニー・アーチャー、ソロモン、マディー。3人の熱演が光る。

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制作費1億ドルの大作。
その割には多くの社会問題がちりばめられ、メッセージ性の高い作品で驚いた。ダイヤビジネスの陰謀から、裏切り、偽善的なジャーナリズムも含め、最後までどう転ぶか読めない展開で、サスペンスアクションとして非常によくできていた。

ダイヤであったり、金に目がくらむようなものが、人間を闇へと誘っていく・・・その象徴としてのアフリカのダイアモンド。裏にある供給量を絞って価格を吊り上げる的なビジネス面も垣間見れて、興味深かった。

TIA―This is Africa

助演のジャイモン・フンスーの演技が特に光るが、みんないい。

それにしても、レオナルドディカプリオという俳優は、近年の重要な映画に驚くほど沢山出演しているなと。この2006年はディパーテッドで演技の新境地を見せたこともあり、記念すべき転換期だったのかもしれない。

タイタニックから始まり、アビエイター、インセプション、ウルフオブウォールストリート、ジャンゴ・・・レオ様はダーティーな役を演じ始めてからよくなった気がする。

さて、テーマ的な社会性や重さもあって、あまりもてはやされることもない一作だが、『ホテルルワンダ』に並んで、アフリカ系社会映画として再評価されるべき一作だと思いました。

kojiroh

『エリジウム』(2013年、アメリカ)―70点、第9地区に次ぐ、格差社会近未来SF


『エリジウム』(2013年、アメリカ)―102min
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ
出演:マット・デイモン、ジョディ・フォスター、シャールト・コプリー、ヴァグネル・モーラ、アリシー・ブラガ・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

『第九地区』で素晴らしいデビューをした、鬼才二ール・プロムカンプ監督による、1億1500万ドルの制作費をかけて、豪華キャストで映画化された一作。

絶賛する人とクソ映画だという人で分かれる作品、はたして筆者は・・・。

◎あらすじ
2154年。人口増加と環境破壊で荒廃が進む地球。その一方、一握りの富裕層だけは、400キロ上空に浮かぶスペース・コロニー“エリジウム”で何不自由ない暮らしを送っていた。そこには、どんな病気も一瞬で完治する特殊な医療ポッドがあり、美しく健康な人生を謳歌することが出来た。そんなエリジウムを頭上に臨みながら地上で暮らす男マックスは、ロボットの組み立て工場で過酷な労働に従事していた。ある時彼は、工場で事故に遭い、余命5日と宣告されてしまう。生き延びるためにはエリジウムで治療する以外に道はない。そこでマックスはレジスタンス組織と接触し、決死の覚悟でエリジウムへの潜入を図る。ところが、そんな彼の前に、一切の密入国を冷酷非情に取り締まる女防衛長官デラコートが立ちはだかる。
<allcinema>

百年以上後の未来。
世界全体がインドのようになったしまった近未来。
ロボットに管理される人間社会。
経費としてしか考えられない人命、富裕層に重要な株価・・・エンタメ映画であるが、第九地区に続き、メッセージ性感じて、個人的には楽しめました。

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前作で主人公ビンスを演じたシャールト・コプリーが、今回は悪役へ・・・なかなかいい味だしてたなと。ブロムカンブ監督との名コンビっぷりを感じる。
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こんな役どころでジョディーフォスターとか、豪華すぎて驚きました。ブロムカンプもすっかり巨匠っすね。
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これだけ予算をかけた娯楽映画であるが、メッセージ性が強い部分を筆者は評価したい。

・誰しも1つの使命を持って生まれてくる
・万能医療が確立した富裕層エリアがある近未来=高額医療社会であるアメリカの格差社会の象徴
・超格差社会をインドのような底辺社会の人間が革命を起こす

つまり、SF映画という枠を当して、アフリカ出身のブロムカンプ監督は、痛烈な皮肉としてメッセージを発信している点が、個人的に評価過ぎべき、見るべき映画として考えることができる。

冒頭からお告げのようなささやきをする女性、インドのような社会で荒んでゆく主人公、非人道的な労働と犯罪、ロボットによって管理される中でも、追い込まれて最後の挑戦でエリジウムへ――こうしたフローはメッセージ性があり秀逸だなと。

ある種、人類への警告としての映画とも見れて、時代はこのマットデイモンのような救世主が必要なのかもしれない。

ただ、完成度や奇抜な発想などの面で、『第9地区』には及びませんが、見る価値ある一作だと思いました。

kojiroh

『アンジェラ Angel-A』(2005年、仏)―80点。美しい天使の映画


『アンジェラ Angel-A』(2005年、仏)―90min
監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン
製作:リュック・ベッソン
出演者:ジャメル・ドゥブーズ、リー・ラスムッセン・・・etc
【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

鬼才、リュックベッソンの、2000年代始めての監督作品。
パリを舞台に全編モノクロ映像で撮り上げた異色のラブ・ストーリー。
主演は「アメリ」のジャメル・ドゥブーズとスーパーモデル、リー・ラスムッセン。

ベッソンが、『アメリ』的なフィーリングで作ったとも言える一作。

◎あらすじ
パリに暮らすアンドレはギャング絡みの借金が原因で48時間後には殺されてしまう運命に陥ってしまう。絶望してアレクサンドル三世橋からセーヌ河を見下ろすアンドレ。何も思い残すことはないと覚悟を決めた矢先、隣に現われた美女が、いきなり川に飛び込んだ。思いもよらぬ事態に、とっさにアンドレも後を追い無我夢中で彼女を助け出す。これがきっかけで、この絶世の美女アンジェラは、戸惑うアンドレをよそに、彼の後を付いて回るようになるのだった…。
<allcinema>

天使に関する映画。
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『素晴らしきかな、人生』を思い出す作品。
天使は実在する!?と信じたくなるほど、この作品の天使は美しい。

いや、美女っていう意味で。このモノクロ映画特有の存在感に惹かれる。そして長身。

しかし、なんでこのブ男なダメ人間にこんな美女が手となり足となりくっついてゆくのか、それは彼女が天使だから・・・

本作はラブストーリーではなく、ファンタジーコメディですね。
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ありえない設定、幼稚であり、etc、本作はフランスでも批判された部分があるが、
筆者としては、これは傑作です。

こんな美女とダメ男がくっつくのは、人間と天使という設定でなければ、逆に不自然であるからこそ、本作のストーリーは自然に感じる。

アメリのようなノリでパリを舞台にラブコメディを作ったこと、
そして、演出でジャンプカットのようにスピーディーに進む監督の演出が冴えまくっているなと、天使をモチーフにしたようなショットや、セーヌ川を渡るシーンの演出には特にうなりました。スピーディーかつコミカルで90分で収めたことは、いい仕事でしょう。

そして主演の二人、コミカルにしゃべりまくるジャメル、イエスマンで、美貌を駆使してスーパーマンのようになんでも解決してしまう寡黙なリーさん。『続・夕日のガンマン』のトゥッコとブロンディの役どころを思い出します。

しかしこれは、現代人へのメッセージ、ウソばかりついて借金ばかりして、自分をだましながら生きている邪悪な男の魂の浄化する仮定を描いており、
人と欺かない、疑わない、愛の大切さを、美しいパリとリーさんと共に描いた点が素晴らしいと思いました。

そう考えると、天使のような存在によって、邪悪な魂の浄化劇を、レオンからずっと描いてきているのかもしれない。

心を病んだ現代人が見るにはいいセラピーになりえる映画である意味で、わたしは本作は素晴らしいと思います。

ただ・・・ややネタバレになるが、本作のラストにはがっかりでした。

前編を通してモノクロのパリの世界が幻想的で美しく、ラストシーンも、下手なオチではなく、レオン的な、なんともやるせないが現実的な結末に期待していたのだが――妄想のような天使劇を肯定するようなラストには、ベッソン、どうしちゃったのさ!!

まあ観客を喜ばせたくて制作した映画らしいので、追い詰められてモテモテ状態になる主人公に自己投影する人が多く、それによって生きる希望を見出せる一作にしたかったというオチがあるのかもしれないが・・・しかし、やはりラストはなんだなああ。

アンジェラ、エンジェルA・・・ある天使の物語ってとこですね。

kojiroh

『コンスタンティン』(2005年、米=独)―85点。オカルトサスペンスアクション傑作


『コンスタンティン』(2005年、米=独)―121min
監督:フランシス・ローレンス
脚本:ケヴィン・ブロドビン、フランク・A・カペロ
原作:ジェイミー・デラノ、ガース・エニス
出演:キアヌ・リーブス、レイチェル・ワイズ・・・etc
【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

昨今、オカルト思想にはまっている筆者は、霊的世界を表現した映画を見ることにした。

さて、「マトリックス」のキアヌ・リーヴス主演のオカルト・サスペンス・アクション。監督は当時新人のフランシス・ローレンス。

◎あらすじ
異界に属する者を見分けることができる特殊な能力を持つ孤独な男、コンスタンティン。彼はその能力を使い、人間界に侵食しようとする悪を退治し地獄へと送り返すため戦い続けていた。一方、ロサンジェルス市警の女刑事アンジェラは、双子の妹イザベルが謎の飛び降り自殺を遂げた事実を受け入れることが出来ず、真相を究明しようと独自の調査を始めていた。やがて、アンジェラはコンスタンティンに接触を図る。世界の異変を敏感に感じ取っていたコンスタンティンは、アンジェラの話が関係していると思い、イザベルの自殺の謎を解くため一緒に行動を開始するのだが…。
<allcinema>

ずばり、普通のサスペンス映画として見ても、かなり面白かった。

エクソシストの派手なアクション映画、のような。

霊能力者と悪魔と、その巨大な陰謀を追う、的な。
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ずばり、これはかなり現実世界と違った異世界系の描写もあり、純粋に面白いだけでなく、天国と地獄、輪廻転生の描写など、キリスト教の世界を描いていて、すごい映画だと思った。

細かい描写で見所が多い。

・霊的能力の高い「猫」
・すべての世界とつながる「水」
・硫黄の匂いがする、霊
・自殺と大罪=地獄行き
・輪廻転生、自己犠牲サクリファイによる魂の昇華

他にも色々とあるが、日本ではヒットしなそうだが、キリスト教的な宗教社会を的確に描いており、スペクタクルアクションの要素もありつつ、さまざまな示唆があり、ある意味で本作は奇跡的な一作だなと。

ジョン・コンスタンティン――そこから始まる世界と魂の救済の物語であり、タバコと肺がん、さまざまな闇と葛藤しつつ、光の方向へ向うキアヌ・リーブスの透明感ある存在感が素敵でした。

救世主シャーマンとしてのキアヌ、自暴自棄になりつつ戦う彼のダークヒーロー感がいい。

マトリックスより、こちらの方が筆者は好きです。

現在、ドラマも始まったようで、未定であるが、コンスタンティン2にも期待したいところ。

kojiroh

『マージン・コール”Margin Call”』(2015年、米)―75点。金融”追証”映画


『マージン・コールMargin Call』(2015年、米)―108min
監督 J・C・チャンダー
脚本 J・C・チャンダー
出演:ケヴィン・スペイシー、ポール・ベタニー
ジェレミー・アイアンズ、ザカリー・クイント
ペン・バッジリー、サイモン・ベイカー
メアリー・マクドネル、デミ・ムーア
スタンリー・トゥッチ・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

2016年、年明けそうそう金融危機モードへと世界が展開しているので、それに関連してこの度、リーマンショックを舞台にした金融サスペンスで、以前から気になっていた、”マージンコール”を鑑賞した。

自主制作から始まり、サンダス映画祭にも上映され、アカデミー賞の脚本でもノミネート。日本での劇場公開がないのも不思議な、意外と地味な一作。

◎あらすじ
2008年、ニューヨーク・ウォール街にある投資銀行で、突然の大量解雇が発生。次々とスタッフが去っていく中、リスク管理部門の責任者エリックから「用心しろ」という言葉と共にUSBメモリを渡された部下のピーターは、そのデータを分析し、会社が大きな負債を抱えていることに気づく。上司のウィル、サムらに報告した結果、彼らは緊急役員会を招集。市場が混乱する前に、会社存続のため不良債権の処理を決断するのだが…。

<allcinema>

会社の中の、密室劇に近い、ごく狭い人間関係のみのドラマであるが、
リストラという予兆から始まる、危機モード、
そして深夜会議、重役が次々と集まり投売りが始まるその一連の仮定――合計で24hぐらいしか時間は経過してないだろうが、その金融系な緊張感が実に面白かった。

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ボラティリティ・・・迫り来る破産のとき。
そこで決断する冷酷な幹部陣、
しかし本作の重役のクールな態度はマージンコールが迫る前の、投売りのごとく、早く損切りして逃げる投資家の姿をかなりうまく描写しているようで、暴落するであろう相場の”損切り”を見る意味で、なかなか秀逸な作品かもしれない。

それでも、金が必要なのだ――各々、マネーの名言を発する。

それにしても最初に自主制作から始まった映画にしては、やたら出演人が豪華でびっくりする。ケヴィンスペイシーがいいですね、やはり。

本作の扱う題材、メッセージ性に惹かれてこんな豪華な俳優が出演したのかな?

ともかく、リーマン系の金融映画なら必見の一本でしょう。

Kojiroh

『第9地区』(2009年、米)―80点。新鋭SFエイリアン映画


監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ、テリー・タッチェル
出演者:シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ、ヴァネッサ・ハイウッド etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

ちょっと前に、泊まっているビジネスホテルの無料レンタルコーナーの中にセレクトされてたので鑑賞。

コアな映画レビュアーも絶賛する、SF映画『第九地区』

本作で有名になった、ニール・ブロムカンプ監督の長編デビュー作。『クローバーフィールド』などクソSF映画を愛好している筆者としては、なんで今まで見てなかったのかと思うほど、傑作だった。

◎あらすじ
南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に正体不明の巨大宇宙船が現われ、そのままとどまってしまう。しかし、エイリアンは襲撃に来たわけではなく、宇宙船の故障で漂着しただけだった。追い返すことも出来ず、やむを得ず彼らを難民として受入れることに。それから20数年後。共同居住区“第9地区”はいまやスラムと化し、地域住民の不満は爆発寸前に。そこで超国家機関MNUは、エイリアンたちを新たな難民キャンプへ強制移住させることを決定。プロジェクトの最高責任者に抜擢されたエイリアン対策課のヴィカスは、さっそく彼らの住居を訪問し、立ち退きの通達をして廻る。ところがその最中に、不注意から謎の液体を浴びてしまうヴィカスだったが…。

<Allcinemaより引用>

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まず構成がいいです。

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ドキュメンタリータッチで、クローバーフィールド的であるが、巨大なエイリアンストーリーを、ドキュメンタリータッチで引き込み、気付いたら、ドキュメンタリー要素がなくなり、ゾンビ映画的な感染、そこからの脱出系なストーリーになっており、まあとにかく脚本が良くできてます。

『エイリアン』にも似ている造詣の、PRAWN型エイリアンのデザインも個人的には好きだった。

ベタな軍事利用を企む組織の巨大な陰謀という流れを組み込み、大作アメリカクソ映画の要素をふんだんに盛り込みつつ、非常に低予算ながら迫力の大作SF映画になっているなと。

最後まで敵キャラがしぶとかったり、お約束満載ながらも、ヨハネスブルグを舞台にしたオリジナリティ高い世界観・・・完成度が高いので、SF好きは必見ですけね。

しかし出演者もほとんどが無名俳優らしい。そうとは思えないほど、主演のコプリーの演技は鬼気迫るものがあり、いい。2015-12-14_172906

3000万アメリカドルにしては、かなりの傑作だなと。大金も稼いだので、続編にも期待したいところ。

kojiroh

『Jackie & Ryan(原題)』(2015年、米)―55点。デキの悪いインサイドルーウィンデイヴィス

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『Jackie & Ryan(原題)』(2015年、米)―90min
監督:アミ・カナーン・マン
脚本:アミ・カナーン・マン
出演:キャサリン・ハイグル、ベン・バーンズ、クレア・デュヴァル、エミリー・アリン・リンド、シェリル・リー・ラルフィ・・・etc

【点数】 ★★★★★☆☆☆/ 5.5点

ジャッキー&ライアン。
日本では未公開の、ミニシアター的な映画を、キャセイパシフィックの中でたまたま鑑賞したので、感想をば。

国際映画祭にもノミネートされた、英国の女性監督、アミ・カナーン・マンの監督脚本作品。

◎あらすじ
元カントリー歌手でシングルマザーのジャッキーと、ギターひとつで街から街へ旅をするフォーク・シンガーのライアンとの恋愛映画…。

さて、ぶっちゃけ、そんなに中身がある映画ではありません。

雰囲気的には、路上演奏で稼ぎならしけた旅生活をするライアンのBusking Lifeみたいな話。インサイドルーウィンデイビスの現代版みたいな。

しかし傑作であるコーエン兄弟のデイビスに比べると、劣化版としかいいようがない。

なんだろうな、これは脚本が悪い。設定もいまいち。

シングルマザーとフォークシンガーっていう設定、なんだろうなぁ、とにかく2人の恋愛には映画的なときめきはあまり感じないし、ロマンチックでもない。現代のアメリカの訴訟社会を描いた部分もあるが。高い保険とか。

本作はアミ監督の脚本&監督であり、このワンマンがいけなかったんじゃないかなあ、ストーリーに驚きやひねりをかんじない。

だがイケメンのベンバーンズのしけた旅生活には哀愁と、寒い中、貧しい旅生活で自由と音楽を見出そうともがく若者像の描写は、伝わってくるものがありました。
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Buskingですねえ、デジタル社会だからこそ、こういうアナログな活動にスポットを当てているのはいいなあと。
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個人的に筆者もBuskerなので、本作のコンセプトっていうか、世界観には共感できましたが、これに共感できる人って少数派なんじゃないかな?

まあ、金の匂いがまったくしない系の映画だったので、恐らく日本で公開されることはない気がしてます。DVD出るぐらいでしょうか。

今後、アミ監督はワンマン脚本はしない方がいいなという感想でした。

kojiroh

『ジュラシックワールド』(2015年、米)―65点。みんな大好き恐竜映画、健在。


『ジュラシックワールド』(2015年、米)―128min
監督:コリン・トレボロウ
脚本:リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー、コリン・トレボロウ、デレク・コノリー
原案:リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー
原作:マイケル・クライトン (キャラクター原案)
出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ジュディ・グリア、ローレン・ラプクス、ジェイク・ジョンソン、ヴィンセント・ドノフリオ・・etc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆/ 6.5点

今年目玉のクソ映画!!スペクタクル。
制作費1.5億ドルで、大ヒットを記録している、スティーブン・スピルバーグ監督によるメガヒット作「ジュラシック・パーク」のシリーズ4作目。14年ぶりの新作で、スピルバーグ製作総指揮。

背景はよくわからないが、飛行機の中で発見して鑑賞した。

◎あらすじ
事故の起こった「ジュラシック・パーク」にかわり、新たにオープンした「ジュラシック・ワールド」では、ジャイロスフィアという球体の乗り物でめぐる恐竜見学や、モササウルスの水中ショーなどで人気を博していた。さらなる人気を獲得したい責任者のクレアは、飼育係オーウェンの警告も聞かず、遺伝子操作により、凶暴で高い知性をもった新種の恐竜インドミナス・レックスを作り出すが……。

さて、やってきました。リアル・ディノクライシスという感じでしょうか。

新種の生物兵器が大暴れしてくれて、お約束な展開の連続ですが、野生を見方にした主人公が奮闘します。もう最高、クソ映画要素ばかりで。

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主人公とラプトルの友情なんかは、見ててベタだが面白いですねえ。

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しかし科学者の美女と、その親戚の子供が遊びに来て事件に巻き込まれるとか、色々とできすぎてて、いかにもアメリカンクソ映画って感じです。

しかし、多種多様な恐竜が登場し、本当に迫力満点でした。
ジャイロスフィアなど小道具もよくできてるなと。2015-11-24_153108

ビジネスとして投資していた人のヘリが落下してしまうシーンなんか、投資家の死があまりにかわいそうでした。いや、てか投資家があんな勇敢に出陣しねえだろwと、本当に色々と突っ込みどころ満載でした。

最終的に盛大にジュラシックワールドが崩壊してゆく、その流れが緊張感満載で、楽しめました。オチもベタベタですが。

だが注目すべきは、フルメタルジャケットで有名な、ヴィンセント・ドノフリオの役どころですかね。彼はいつも汚れ役だが存在感見せてくれる。生物兵器利用を企む野心、そしてラプトルとの最後のオチはベタベタですが、笑いました。

ほんと、リアルディノクライシスのスリルとベタベタに死んでいく人ばかりで笑えました。これぞクソ映画!!映画館行く価値ありますね。

世界中でヒットしていることを見ると、ジュラシックパーク映画ビジネスはまだまだ投資としても未来は明るいなと思った次第です。

kojiroh

『カリフォルニアダウン』(2015年、米)―70点。大震災パニック系クソ映画


『カリフォルニアダウン』(2015年、米)―114min
監督:ブラッド・ペイトン
脚本:アラン・ローブ、カールトン・キューズ
ケイリー・ヘイズ、チャド・ヘイズ
アンドレ・ファブリツィオ、ジェレミー・パスモア
出演:ドウェイン・ジョンソン、カーラ・グギーノ、アレクサンドラ・ダダリオ、ポール・ジアマッティ・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

San andreas――原題、その地層の大震災スペクタクル映画がやってきた!!

「ワイルド・スピード」シリーズのドウェイン・ジョンソンが主演、巨大地震と津波による未曽有の被害から人々を救う超大作!!

クソ映画の匂いがぷんぷするが、飛行機の中であったので、手軽にさくっと2時間で鑑賞。

◎あらすじ
米カリフォルニア州の太平洋岸に1300キロにわたってのびるサン・アンドレアス断層が横ずれし、巨大地震を引き起こした。ロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガスと大都市が相次いで壊滅するなか、ヘリコプターを使った高度上空での任務を専門とするレスキュー隊員が、愛する娘と被害にあった人々を救うため駆けめぐる。
<映画.comより>

スピーディーな展開で、レスキュー隊員とその家族をすくう話が基点となってえががれる。2015-10-30_1845312015-10-30_184747

しかし離婚予定の奥さんが不動産王と再婚するなど、なかなかめちゃくちゃな無理やりストーリーです。考えてみると。

美人の娘さんが、イギリスから就活に来た青年と助け合って脱出するシーンなんかも、まあ色々と笑うどころは多くて面白かったです。それにしてもいまどきはイギリスからアメリカへ出稼ぎ行く時代なんですねえ、本作は迫力よりも、その社会背景が面白かった。

そいえば教授の相方も、キムパク教授と、韓国人。

だが近年、ドナルドトランプのような不動産王が活躍しているアメリカにおいて、その崩壊を描くような大地震が襲来するというテーマそれ自体がなかなか興味深かった。

SFXで描かれた、震災シーンはなかなか見ものです。
東日本大震災どころの話ではない、こんな地震がアメリカに来るのか――しかし、昨今はシェールガスで、地震を誘発する説などがあったり、ある種の原題のアメリカ人の不安がこの映画にはあり、共感を呼んでいるのかもしれない。

 

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家族の絆と、危機化での出会い・・・一緒に共に協力して切り抜けて愛を深めたっ!感動したっ!!的なべたべたなクソ映画で楽しかったです。

余談ながら、乱気流でゆれまくる飛行機の中で鑑賞したので、無駄に迫力あり、スリル満点でした。揺れるって怖いですねえ、本当に。

kojiroh