『極道戦国志 不動』(1996年、日本)―6.5点。三池初期の異色のカルト映画


『極道戦国志 不動』(1996年、日本)―99min
監督:三池崇史
脚本:森岡利行
原作:谷村ひとし
出演:谷原章介・竹内力・高野挙磁・野本美穂・シーザー武志・新妻聡・峰岸徹etc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆/ 6.5点

Vシネながらもカンヌ映画祭への出展を果たした三池監督の国際的デビュー作。日本よりも海外で有名な映画で、タランティーノなどにも影響を与えたことはあまりにも有名。その三池の初期の代表作であり、最も彼のエッセンスが詰まっているといえるのが本作『不動』。

漫画のような展開であり実写にするのが非常に困難な原作であるが、三池崇史は本当に漫画のような作品を映画にするのが巧みな監督だと思えてしまうような一本だ。


あらすじは、
成績優秀な高校生を装いながら、裏では九州仁王会不動一家の若頭を務める不動力が、冷徹な頭脳と行動力を武器に九州極道社会に反乱を起こす…。

谷原章介、竹内力、峰岸徹ほか個性派俳優が共演していおり、今思うと豪華キャスト。

若き日の谷原章介の美少年ぷりがクールだ。
竹内力の貫禄もこのときから抜けているし、身長2mのレスラー高野挙磁の役どころも、もはやギャグなのだが突き抜けていて面白い。

小学生のヒットマンが多数いたり、高校のクラスメイトがみんなあまりにもプロの殺し屋すぎて笑える、そして笑えるほど極端な残酷バイオレンスなのだが、そうした無茶な設定に開き直っているところがなんだか逆に清々しくさえ思える。あり得ない話もこうした力ワザで強引に進めていけば、あまりグロテスクでもないし残酷でももはや笑える。


しかし監督独自の映像感覚もやはり異才を放っている。
ぶっぱなされたマシンガン、溢れかえる薬莢、流れる血、鍵をかけると爆発するバイクなどなど、三池流の演出がオンパレードである。

後に、『ホステル』のイーライロスに影響を与えることがよく伝わってくる映画だ。あまりにも爽快残酷に首チョンパされる「切り株」シーンや、切られた生首を子供たちがサッカーボール代わりにしている演出や、まあともかく残酷だが面白いシーンの数々だ。

本来は映画においてタブーとされているような、上記のような過度に残酷(というか下品すぎる類の―)倫理的に見てもやってはいけない表現を、見事にサラっといやらしくなくやってのけてしまったことが本作の最もスゴイ部分ではないだろうか。

あまりにも下品で残酷なのだが、それでいてシュールで滑稽で、ギャグともわからないようなギャグになっている。漫画のような表現を実写でやれてしまったのは監督の才能に他ならない。(好き嫌いは別として…)

Kojiroh

『ミレニアム ドラゴンタトゥーの女』(2009年、スウェーデン)―6.5点。堅実な作りの本場スウェーデン製ミレニアム


『ミレニアム ドラゴンタトゥーの女』(2009年、スウェーデン)―153min
監督:ニールス・アルデン・オプレヴ
脚本:ニコライ・アーセル、ラスマス・ヘイスターバング
原作:スティーグ・ラーソン
出演者:ミカエル・ニクヴィスト、ノオミ・ラパス、スヴェン=ベルティル・タウベ、イングヴァル・ヒルドヴァル、レナ・エンドレ、ステファン・サウク etc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆ / 6.5点

ハリウッド版の『ドラゴン・タトゥーの女』に衝撃を受けた筆者は、元祖大元のスウェーデン製の『ミレニアム』も見てみたいとおもってレンタルビデオ屋で借りてきて鑑賞した。

さて、あらすじは繰り返しになるが、
社会派月刊誌『ミレニアム』を発行するジャーナリストのミカエルは不正を告発した記事で逆に名誉毀損の有罪判決を受け窮地に陥る。そんな彼のもとに、大財閥ヴァンゲル・グループの前会長ヘンリックからある調査依頼が舞い込む。一方、ヘンリックの依頼で秘かにミカエルの身辺調査を行っていた天才女性ハッカー、リスベットは、その後もミカエルのパソコンをハッキングし続け、偶然にも事件を巡るある重要な切り口に気づき、2人はコンビを組み真相究明に当たるのだったが…。

ハリウッド映画化よりも内容は重厚でシリアス。
スタイリッシュさよりも長編小説である本作を分かりやすく映像化している堅実な作りという印象。

本作でも強烈な個性を持つ登場人物はそれなりに様になってはいるが、ハリウッド版のスタイリッシュで現代的なアウトローを描いた様を思うと少し物足りなさがある。音楽の使い方などは当然ハリウッド版などのようなエレクトリックなサウンドでもないので、なんだかやっぱりクールさが足りない印象。

一度知っている物語なので少し新鮮さがなかったが、いかんせん原作がいいので、そんなに派手な演出や独自なことをしなくても平均的にしっかりと作ればやはりそれなりに面白くなるものだ。両者のバージョンでも細かいエピソードや設定が異なっているので、新しい発見もあるのでそれなりには楽しめる。

恐らく、ハリウッド版を見てなければもっと面白いと思えたと思うが、いかんせんフィンチャーとルーニーマーラのリスベット・サランデルがあまりに強烈なインパクトを残したため、本作のリスベットは少し退屈に思えてしまい、少し残念ではあった。今回は猫などの細かい小道具もなくて全体的にパンチが弱い。

スウェーデン語でちゃんと作られていて面白いんだけどね、見る順番の影響はやはり大きかったですね。オチを知っているミステリーを何度も見るもんじゃないなと。

Kojiroh

『バグダッド・カフェ』(1987年、西ドイツ)―6.5点。雰囲気系ロードムービー


『バグダッド・カフェ』(1987年、西ドイツ)―96min
監督:パーシー・アドロン
脚本:パーシー・アドロン、エレオノーレ・アドロン
出演:マリアンネ・ゼーゲブレヒト、CCH・パウンダー、ジャック・パランス、クリスティーネ・カウフマン、モニカ・カローンetc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆ / 6.5点

ニューウェーブを巻き起こしたロードムービー。
バグダッドなのでイラクかと思いきや、本作は意外にも西ドイツの作品。スタイリッシュで即興的にも思える映像感覚が新鮮で、旅の偶然性を表現しているようにも思えてくる。


あらすじは、
ドイツはミュンヘン郊外、ローゼンハイムからの旅行者ジャスミンは、アメリカ旅行中に夫と喧嘩をし車を降りてしまう。彼女は重いトランクを提げて歩き続け、モハーヴェ砂漠の中にあるさびれたカフェ・モーテル「バグダッド・カフェ」にたどり着く。いつも不機嫌な女主人のブレンダ他、変わり者ばかりが集う「バグダッド・カフェ」。いつも気だるいムードが漂う中、ジャスミンが現れてから皆の心は癒されはじめる…。

さて、スタイリッシュなロードムービーということでミニシアターでロングランを記録した名作だそうが、ぶっちゃけかなりの雰囲気映画でストーリーはあるようでないようなもの。

黄色いコーヒーボトル、下手くそな演奏のピアノ、色んな小道具が散りばめられながら、人々の交遊、心の移り変わりが描かれる。

夫と別れて孤独になったドイツからの旅行者がアメリカ大陸を放浪し、ラフベガスの近くでたどり着いたバグダッドカフェでの人々との交流、最初は反発し合う人々が徐々に心を許し合い、思わぬ形で新しい生活が始まる―、というストーリーラインである。

友情、そして愛は国境を、人種を越える。見知らぬ土地で、ジャスミンは、そして周りの人々もアイデンティティを再構築し、はぐれものが自分の居場所を見出して行く。

ただ、個人的にはなんだかあまりにもおとぎ話じみた内容でもあり、面白い映画なのだがどうもこの世界に入り込めない自分がいたことも否めない。

名作である所以は理解できたが、ちょっと舌に合わない一作だったかな。しかし旅を感じさせる世界観は中毒性があります。

Kojiroh

『アーティスト』(2011年、フランス)―6.0点。古きアメリカ映画への届かぬ憧れ


『アーティスト』(2011年、フランス)―100min
監督:ミシェル・アザナヴィシウス
脚本:ミシェル・アザナヴィシウス
音楽:ルドヴィック・ブールス
出演:ジャン・デュジャルダン 、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェルetc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆☆ / 6.0点

第84回アカデミー賞作品賞受賞、さらには監督賞(ミシェル・アザナヴィシウス)、主演男優賞(ジャン・デュジャルダン)など5部門を受賞した、今年一番の話題作が『アーティスト』。

この時代のサイレントを観れるなんて、さらにはそれがオスカーに輝くなんて、一体どんな映画なのかと筆者は期待を胸にして鑑賞した。

さて舞台は1927年、ハリウッド。
サイレント映画のスター、ジョージは、彼に憧れる女優の卵ペピーと出会い、彼女に優しくアドバイスをおくる。そんな中、時代はセリフのあるトーキー映画へと大きく変わっていく。しかしジョージは、自分は芸術家だと主張してサイレント映画に固執、瞬く間にスターの座から滑り落ちる。そんなジョージとは逆に、ぺピーは時代の波に乗ってスターの階段を駆け上っていく…。


この2012年に、まさかサイレントの映画の新作を観ることができるなんて不思議な体験んだ。過去にチャップリンなどのサイレント映画にはまったことのある私は、このたび久しぶりに無音の映画を味わう喜びを思い出し感動した―、という部分もあった。しかしそれ以上に、この時代にサイレント作ったにも関わらずこんなもんなの?という「期待外れ」な想いの方が残念ながら大きかった。

ジョージとペピーの主演の二人の名コンビぶりがセリフがない無音の状態にでも伝わってきたり、犬の名演が楽しめたりと見所が多くて、もちろん完成度の高い映画ではあるが、前評判や多くの受賞など、評価が過剰な部分があり、期待して観たのでその失望感が個人的にはひどかった。


涙腺を刺激されるような王道なよさはもちろんあったんだけどね、最後に何がやりたかったのかも分かるのだが、しかしやはり50年前でも作れた映画だという気がしてならず、それならばチャップリンのサイレントでも見た方がよっぽど有意義な時間になったのではないかという考えを拭い切れなかった。

それにしても、過去の焼き直しを今さらやった映画が評価される理由がよくわからない。

この作品がアカデミー賞を取れた理由は単純で、決定権のある選考員が古くて頭が固いおじさん連中になっていて、現代を描いた作品よりも古きよきを思い出させてくれる作品の方が好まれることが想像できた。自分にとってはそんな典型的な一作でしかなかったのがちょっと残念な受賞作であった。

さらにタイトルもいかんね。なにがどういうところが「アーティスト」だったのか? 時代に翻弄される芸術に生きる人間を描きたかったという意味なのか? それにしてはなんだか陳腐なタイトルで、最後までよく意図が分からないこの後味の悪さ。個人的なことだが―、監督の趣味映画の枠を超えているとは思えないというのが正直な感想であった。

Kojiroh

『青いパパイヤの香り』(1993年、フランス=ベトナム)―6.5点。ベトナムの『ミツバチのささやき』


『青いパパイヤの香り』(1993年、フランス=ベトナム)―104min
監督:トラン・アン・ユン
脚本:トラン・アン・ユン
出演:トラン・ヌー・イェン・ケー、リュ・マン・サン、トルゥオン・チー・ロック、グエン・アン・ホア、ヴォン・ホア・ホイetc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆ / 6.5点

『ノルウェイの森』の監督として一躍有名である、ベトナム出身の監督トラン・アン・ユンの長編処女作。東南アジア好きな筆者はベトナム映画が以前から気になっていたので、代表的な彼の映画から入ってみることにした。


なんというか、東南アジアの南国風の美しさを50年代のサイゴンの日常の中に描いた寡黙な作品だった。

舞台は1951年のサイゴン、10歳になる娘ムイが田舎から奉公に出され、とある大きな屋敷へとやって来た。食事の世話や家事手伝いなどを任され、毎日を過ごす。その家には何もせずただ楽器を楽しむだけの父親、衣地屋を営みむ母親、祖母、長男と幼い弟という家族構成であったが、父親の家出などもあり、次第に家族が変化してゆく。そんな中でムイは、家に遊びに来た長男の友人クェンに密かに恋心を抱き、10年後、ムイは今度はクェンの家へ奉公へゆく…。

東南アジアらしい青さと緑が美しいコントラスト。
とにかく色彩表現が豊かで、構図の絵画的で、ほぼアート作品だ。

セリフもありまりなく、とにかく寡黙な映画。
ストーリーはあるが、10年という時の流れが穏やかに曖昧に描かれる。物語以上に人間の感情を映像で表現することで表したような映画であり、ストーリーよりも映像美を愉しむ映画だ。悪くいうと退屈に時間が過ぎてゆく映画なので、あまり娯楽を求めてはいけない。とにかく動きが少なく、こどものいたずらであったり、食事を作ったり、家の中を掃除したりする光景をただひたすら淡々と写してゆく。

個人的にはこの作品の100分という尺は少し長すぎたかな。映像美は素晴らしいが、70~80分ぐらいですっきりとしていた方が満足できたかもしれないという感は否めない。


幼女時代の姿と、アリを蝋でたらしたりなど、奇抜なアイディアによる芸術的な表現が溢れていて、なんだかベトナム版『ミツバチのささやき』という印象がある。とにかく幼いこどもの純粋さと残酷さを高い映像表現力で描いた作品だった。

こういう芸術性を追求した作品と、監督の自己満(オナニー)映画の線引きというのはなかなか微妙なラインなので、やはり好き嫌いは分かれるものですよね。

kojiroh

『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(2008年、アメリカ)―6.0点。ゾンビ・フェイクドキュメンタリー


『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』(2008年、アメリカ)―95min
監督:ジョージ・A・ロメロ
脚本:ジョージ・A・ロメロ
出演:ミシェル・モーガン、ジョシュ・クローズ、ショーン・ロバーツetc
【点数】 ★★★★★★☆☆☆☆ / 6.0点

ゾンビ映画の巨匠、ジョージAロメロによる、2000年以降のランドオブザデッドに続く3部作の第二作。フェイク・ドキュメンタリーのスタイルでゾンビ化の危機に陥るアメリカを描く。


あらすじは、ピッツバーグ大学映画学科の学生であるジェイソンたちはが、夜間撮影中にラジオから世界中でゾンビが人間を襲い始めたというニュースが流れるのを知る。逃れるように一行はマイクロバスで家へ向かうが、横転して炎上する車に立会い、黒こげの死体が歩く姿を目撃するのだが…。


危機的な状況下において、人間はどういう行動をするのか?
世界危機が起きたときに個人がメディアになれるのか?

本作はゾンビ映画というよりも、そうした個人のジャーナリズムに対する意義を問っているように思えた。ゾンビの部分はむしろおまけなのかもしれない。

ネットが氾濫している情報化社会の現代において、誰もがメディアになれる手段を持っていて、そんな状況下でゾンビ化現象が起きたらどうなるのかという着眼点から、youtubeにアップされたゾンビ動画があったり、終末の世界で情報を入手し、行動する。

本作は、見ている者が一緒になり、この一部始終を、主人公の撮っているカメラから覗ける実験的なフェイクドキュメンタリーの手法をゾンビ映画で起用したことは非常に評価できる映画だと思う。

しかし、最後のオチにしても、途中経過にしても、やっぱりゾンビ映画は普通にベタなのが一番なのかなもなあ。

見ている分には映画としては十分に緊張感があり、またリアルにも思えて楽しめたが、基本的には馬鹿映画要素が強いゾンビというジャンルで変な真面目さを出すよりも、B級なノリでゾンビへの愛情がにじむような映画の方がゾンビ映画としては面白いですね。

Written by kojiroh

『ブレイキングニュース -大事件-』(2004年、香港)―6.5点。香港警察、一大SHOW映画


『ブレイキングニュース -大事件-』(2004年、香港)―91min
監督:ジョニー・トー
脚本:チャン・ヒンカイ、イップ・ティンシン
出演者:ケリー・チャン、リッチー・レン、ニック・チョン、チョン・シウファイ、ラム・シュー、ホイ・シウホンetc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆ / 6.5点

巨匠ジョニー・トーによる、冒頭からいきなりハイスピードで7分にも及ぶ銃撃戦が繰り広げられる香港アクション大作。ジョニー・トーの作家性と商業的なスペクタクルな面がうまく融合した一作。


ある朝、香港の市街地で銀行強盗団と警察との壮絶な銃撃戦が発生し、ユアン率いる犯人グループを捕り逃してしまう。しかも偶然現場に居合わせたTV局のカメラによってその一部始終が報道されてしまい警察への非難が高まる。そんな中、新任指揮官レベッカは失地回復のためメディアを逆利用する戦略に打って出るのだが…。


『インファナル・アフェア』でも活躍だったケリー・チャンを主役に添えて、香港警察と犯罪者との対立だけでなく、世論と警察の社会的対立も描く、いかにも香港ノワールっぽい映画であるが、そんなお決まりなパターンが逆に微笑ましくも思える。

「泥棒さんと食事できるなんてめったにあることじゃない」
と言って、進入してきた強盗らに、人質になったラムシューが振舞う食事のシーンは本作でもダントツで名シーンだと思った。異様なシチュエイションながらもこれは傑作といえる食卓シーンだ。ジョニートーはいつも思うが食卓に登場人物の人間性を反映させるのが本当にうまい。


トー映画の常連であるニック・チョンと、相変わらず間抜けな警官役にはまる名脇役ホイ・シウホンのコンビが本作でも微笑ましい。

しかしどこか可もなく不可もなくなパンチの弱い作品である感が否めず、ここという見所に少し物足りなさは感じるが、ジョニートー映画は90分ぐらいの尺できっちりと起承転結を定めて作られていて、見るほうとしても安心して時間の長さを感じることなく見れるはやはり匠だなと思える。

Written by kojiroh

『ジョニーイングリッシュ 気休めの報酬』(2011年、イギリス)―6.0点。Mr.ビーン流007


『ジョニーイングリッシュ 気休めの報酬』(2011年、イギリス)―101min
監督:オリヴァー・パーカー
脚本:ハーミッシュ・マッコール
原案:ウィリアム・デイヴィス
出演:ローワン・アトキンソン、ジリアン・アンダーソン、ドミニク・ウェスト、ロザムンド・パイク、ダニエル・カルーヤetc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆☆ / 6.0点

このバカッぷりがいい!
さて、Mr.Beenがさりげなく昔好きだった筆者であるが、香港行きのデルタ航空の飛行機の中で、香港~マカオが舞台として登場する話題の『ジョニーイングリッシュ』の最新作を見た。(飛行機の中は日本よりも映画の流通が早いのである)

さて、前作『ジョニーイングリッシュ』から8年の歳月を経て復活した本作のあらすじであるが、一度は諜報機関のエースとして活躍したジョニーイングリッシュであるが、大きなヘマをしでかし、チベットでの修行に励む日々を送っている。そんな彼に、古巣からお呼びがかかり、MI7に舞い戻ったイングリッシュは、新たな上司ペガサスから、中国首相の暗殺計画を阻止せよとのミッションを告げられ、香港へ向かうのだったが…。

さて、予想はつきましたが、案の定、馬鹿映画&クソ映画。
しかしそこがお決まりのパターンで笑いを生み出している007のパロディ感満載なこのテンションがなかなかツボ。むしろ、よくできていると思う。


ローワント・アトキンソンのこの無能で馬鹿で間抜けな捜査官っぷりが笑える。なんでこんな使えない捜査官が任務に抜擢されたのか本当に謎だが、そこ突っ込むと元も子もないが、ともかく突っ込みどころ満載の笑いをかましてくれます。シュールなようで、体を張ってくれる彼のキャラは相変わらず愛らしい。


脇役もベタベタなかんじなのだが、それはそれでいいコンビっぷりを見せてくれて安心できる。

香港人のおばちゃんの暗殺者であったり、SUSANという名前の中国人スパイであったりと、アジア系のネタを色々と盛り込んでくれて、マカオの夜景やカジノも舞台として登場するので、個人的にはかなり楽しめた。

チベットの修行のネタや、香港のおばちゃんなど、伏線が色々と散りばめられていて最後にはオチるとこなど、よくできた脚本だなとも思える内容。

飛行機の中でさくっと見て笑うにはこのぐらいの映画が最適ですね。

最後にはアトキンソンが料理を作るシーンも見れらし、丁度ミスタービーンをもう一度見たくなるような一作だった。

Written by kojiroh

『ムカデ人間』(2010年、オランダ=イギリス) ―6.5点。衝撃のマジキチ・マッドサイエンス


『ムカデ人間』(2010年、オランダ=イギリス) ―90min
監督・脚本・編集・制作:トム・シックス
出演:ディーター・ラーザー, 北村昭博, アシュリー・C・ウィリアムス, アシュリン・イェニーetc
【点数】
★★★★★★☆☆☆ / 6.5点

「つ・な・げ・て・み・た・い」
博士には夢があった。
人間3人で一つの生命体、そう、ムカデ人間!!

このマジキチな発想で映画界に革命を巻き起こしたんじゃないかと思える究極の変態カルトムービー・ムカデ人間。タランティーノも爆笑したらしく、国内でも2chのスレッドでも話題になるなど、とにかくあまりのネタっぽさに興味を引かれる。映画人の仲間内でも2011年度NO1!クソ映画の呼び名が高かったため、筆者はレンタルにして遂に手を出すことになる―。

さてあらすじは、

ヨーロッパを旅行中の2人のアメリカ人女性が、ドイツの森の中で車のタイヤがパンクし、夜の闇の中で助けを求めてさまよう。そして一軒の大邸宅にたどり着くが、次の日、目覚めるとそこは地下の病室に監禁され、隣には日本人男性が寝かされている。家の主であるドイツ人のハイター博士は、かつてシャム双生児の分離手術を専門とする外科医であった。彼には長年の夢、恐るべき手術によって、人間を“分離”ではなく“結合”させる野望があった。人と人の胃腸を繋ぎ合わせてムカデ人間を作ることを計画するのだが―。


「おお、私のムカデ人間!」
ヨーゼフ・メレンゲを彷彿させるようなジャーマニー・マッドサイエンティスト。このマジキチっぷりが度を越えすぎていて面白い。ドイツ語と英語を使い分けて話すのだが、もはや最後はコメディアンに見えてくる。


このムカデ人間プレゼンシーンの迫力は、スティーブジョブズ顔負けの名プレゼンではないかと思えるほど(笑

恐怖の手術を前にして監禁された日本人を演じる北村昭博が日本語、特に関西弁でハイター博士を罵倒しながら抵抗するシーンがなかなか異様な雰囲気。なぜ、ここに日本人がいるのだろうか?しかし、ドイツ語と英語、日本語で語られる本作は驚くほどグローバル社会に対応した映画だと思えた。

ネタバレになるので深くは言及しないが、リーダーとなる日本人がカミカゼのごとく勇敢に博士に立ち向かう様は本作の見所だ。アメリカ人女性は途中でもうしゃべれなくなるが、ともかく3人が全裸で1つになってムカデ人間として活動をする様は本当にグダグダなのだが、よくここまでやったと思えるほど笑えます。

むしろ本作はコメディとして見るべき映画だと思った。こんなにウケ狙ってないのに見てるだけで爆笑した映画は稀だ。

90分という尺で凝縮されているようで、もっと短くて60分ぐらいでもよかったんじゃないかと思える。それほど途中のぐだぐだっぷりがときおりすごい映画なのだが、その駄目さが逆に笑いポイントか。

けっしして人には奨められない変態映画だが、この斬新な発想を実現したトム・シックス監督には賞賛の言葉を送りたいと思っている。是非とも、続編に期待したい!

Written by kojiroh

『2046』(2004年、香港)―6.0点。香港の巨匠&アジアスター集結だが…

『2046』(2004年、香港)―129min
監督・脚本:ウォン・カーウェイ
出演:トニー・レオン、木村拓哉、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイーetc

【点数】 ★★★★★★☆☆☆☆ / 6.0点

香港の巨匠、ウォンカーフェイ監督の『花様年華』の続編であり、一部『欲望の翼』の続編。トニーレオン、木村拓哉などのアジアスターを集結させて長い年月をかけて作られ、カンヌ映画で上映されて話題になった『2046』。


「どうせ永遠に続く愛などない」
舞台は1960年代の後半、愛に見切りをつけながら女遊びをしつつ、物書きとして生きるチャウ(トニー・レオン)。香港の古びたホテルに住むチャウは、それまでの女性たちとの思い出を胸に、ある近未来SF小説『2046』を執筆する。それは、失われた愛を見つけることができる“2046”へ向かう列車の物語。2046から帰ってきた者はいない、ただひとりの男(木村拓哉)を除いては…。

木村拓哉、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイーなどなどアジアを代表するスターが勢揃いで、なぜこんな面子が集まったのか不思議に思えるほど豪華。その割にはポップな作品ではなく、不思議な内容だ。


2046という謎めいたタイトルとSFめいたストーリーを予感させるフローには期待をついつい高めてしまう。しかし、木村拓哉の演技は悪くはないが、相手が広東語を話しているのに、日本語でやりとりしているシーンには違和感大。言葉のやりとりがないような設定にして、うまくごまかしている感じを受けてしまう。


驚くほどこの作品は場面がない。密室劇かと思えるほどにセットがない。室内かパーティーの席か、ネオンが消えているホテルの屋上か、シンガポールでの賭博か、2046という近未来小説の舞台か。

基本的には時間軸に沿って、次々と女性が出てくる。
合計で3人の女性とのエピソードが並べられるという筋だ。

そんなわけで登場人物が多いこともあり、時間が長くなっている。だがその割には場面の切り替えが少なく、少し飽きる。

俳優の演技を突き詰めたい意図なのか、色んな国に行く割りには街や風景の全体像がなく、あまり現実味のない映画に感じられた。

前作『花様年華』のようなカンボジアとアンコールワットへと飛んでゆく世界観は感じられず、少し残念。見応えはあるのだが、本作はウォンカーフェイの趣味のような作品になってしまった。

また本作のエピソードは、すべてカーフェイ自身の女性遍歴を投影しているかのようにも思えてしまい、あまりにもストーリー性がない。つまり直感的な作品になりすぎていて、129分見るには少ししんどい部分があった。

「もともと最初から、貸し借りなんてなかったんだ」
恋愛の悟りのようなセリフで本作は幕を閉じる。

個人的にチャン・ツィーとトニーレオンのエピソードが本作の最も面白い部分であり、チャンツィーの切ない美しさが素晴らしい部分。制作の関係上なのか出番も多く名前が上に出ているが、木村拓哉は所詮、脇役にしかすぎないのだが、2046のエピソードを推しすぎている。アンドロイドとの愛など必要のないエピソードだったのではないかと思えてしまう。

いいシーンもある、音楽の選曲も相変わらずセンスがよく映像美もあるが、アジアのスターを集結させて5年の歳月をかけた割には少し残念な作品だった。

Written by kojiroh