『ブラックスキャンダル Black mass』(2015年、アメリカ)―75点。伝説の犯罪王の記録・暴力映画


『ブラックスキャンダル Black mass』(2015年、アメリカ)―122min
監督:スコット・クーパー
脚本:ジェズ・バターワース、マーク・マルーク
音楽:ジャンキーXL
撮影:マサノブ・タカヤナギ
原作 ディック・レイア、ジェラード・オニール『Black Mass: The True Story of an Unholy Alliance Between the FBI and the Irish Mob』
出演:ジョニー・デップ、ジョエル・エドガートンベネディクト・カンバーバッチ、ケビン・ベーコン・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.5点
※リアルタイム映画評

ジョニー・デップが、実在の伝説のギャング、ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーを熱演し評判を呼んだ衝撃の実録犯罪ドラマ。

共演はジョエル・エドガートン、ベネディクト・カンバーバッチ。
監督は「クレイジー・ハート」「ファーナス/訣別の朝」のスコット・クーパー。

キャッチーな予告編で面白そうだと思い、劇場で鑑賞した。

◎あらすじ
1975年、サウスボストン。アイリッシュ系ギャングのボス、ジェームズ・バルジャーは、イタリア系マフィアと激しい抗争を繰り広げていた。一方、弟のビリーは、州の有力政治家として活躍していた。そこに、バルジャーの幼なじみジョン・コノリーがFBI捜査官となって戻ってきた。折しもFBIはイタリア系マフィアの掃討を目標に掲げており、功名心にはやるコノリーは、バルジャーにある提案を持ちかける。それは、バルジャーがFBIの情報屋となり敵の情報を流す代わりに、FBIは彼の犯罪を見逃す、という驚愕の密約だったのだが…。
<allcinema>

冒頭から驚いた。いきなりの暴力。しかもドアップ。2016-02-02_214434
この撮影が独特だなと思ったら、日本人のマサノブ・タカヤナギの撮影だったことを知る。これは冴えている。

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マーケティングの関係か、ある程度キャッチーな宣伝がされているが、商業的な映画ではなく、かなりハードな内容。暴力も・・・。

基本的に、あまりにも闇が強い映画である。
だが本作のドアップの告白から始める悪い男たちの迫力はスクリーンで見ると舌を巻いた。

突然行われる、サイコパスな犯罪者・ジミー。

とにかくジミー、ジミー、ジミーである。ジョニーデップがこんな役柄をやるんだなと関心した。

ジョンコナリー演じる、ノエルの狡賢く立ち回る姿も本当に誰も彼も深い闇を持ち、悪魔が憑いているような犯罪劇をなしてゆく。あっというまに消される人々。

ともかく、犯罪王がいかにして生まれたかを、具体的に描いており、彼の家族との内面から、外面まで・・・FBIの保障プログラムなど、ギャング・警察・FBIの関係など、『ディパーテッド』を思い出す内容。

後々知るが、ディパーテッドのコステロはジミーがモデルになっていたとのこと。どうりでどこかで観たようなキャラクターだなと

ギャングとFBI。アメリカ社会のシークレット、スキャンダル。日本人が観てもしかし、いちまちピンと来ないもするが、その辺の知識がある人がみるとかなり楽しめると思う。

全般的に個人なナ関係と陰謀が渦巻き、スピード感溢れる。後半の闇に満ちたジミーの姿は、本当の迫力があり、『グッドフェローズ』のジョー・ペシに並ぶ迫力があった。特にモリスとの食事のシーンのコネタ。むしろジョーペシは実在するジミーから影響を受けたあのグッドフェローズの食事の名シーンが生まれたのかもなと思ったほど。

ともかく、グッドフェローズとディパーテッドをみた人なら、似たものを感じるはずです。

個人的に楽しめましたが、重すぎるので、映画としては70点というとこだが、伝説の犯罪王のドキュメントとして、記録映画としての本作の評価で+0.5点ってとこで。

ただギャング映画としてなら、ディパーテッドの方が先を言っていたわけで、既視感を覚える部分も。

kojiroh

『ミルク Süt 』(2008年、トルコ)―75点。トルコのユスフ三部作 その2


『ミルク Süt 』(2008年、トルコ)―103min
監督:セミフ・カプランオール
脚本:セミフ・カプランオール、オルチュン・コクサル
出演:メリヒ・セルチュク、バサク・コクルカヤ、リザ・アキン・・・etc


【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

トルコの巨匠、セミフ・カプランオールの自伝的な3部作、『卵』『ミルク』『蜂蜜』が、国際映画祭でも話題となり、近年の重要な映画としてのレビューを受けて、映画人である筆者も見てみることに。何気に、初めてのトルコ映画。

Sutは、ユスフ3部作の第2作目。
第28回イスタンブール国際映画祭の国際批評家連盟賞受賞。

なぜか最初に『ミルク』を手にとってしまったのだが、あまりにも難解で驚いた。

◎あらすじ
高校を卒業したばかりのユスフは、何よりも詩を書くことが好きで、書いた詩のいくつかを文学雑誌で発表し始めている。しかし、彼の書く詩も、母親のゼーラと共に営んでいる牛乳屋も二人の生活の足しにはなっていない。そんな中、母と町の駅長との親密な関係を目にしたユスフは当惑する。これがきっかけとなり、また幼少期の病気のせいで兵役に不適と判定されたこともあって、急に大人になることが不安になってしまうユスフ。
<Movie walkerより>

まず驚いたのが冒頭。
ユメか現実か分からないが、謎の儀式シーン、そして蛇。
本作のモチーフがまず提示されたということを後で知る。

このシーンの美しさとショッキングさを取っても、この監督が只者ではないことがわかった。
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大自然の中で暮らす中東~ヨーロッパの風景の中のドラマは映像美としか言いようが、そんな中、起きては本を読み詩を書く青年。母とのミルクを売る日々。

基本的に長回し。タルコフスキ的というか、絵画のような構図から、ゆったりと流れる時間の流れを感じる。

音楽は一切ない。ひたすら、絵画的風景の長回しで、台詞も少ない。
ワンシーンワンシーンに深い意図は感じつつも、あまりに難解で、連続して100分を観るのは普通の人は無理ではないかと。。。

はっきり言って、ここまで分からない映画はまれである。
ストーリーはあるようでないようなもの。
意味不明なシーンが多く、何度も観ないときっと意図が分からない。何度観ても分からないかもしれない。

だが本作は、映像美に満ちた、自伝的な、作家の生い立ちや複雑な信教を描いた点は素晴らしい。さらにそれ以上に、宗教的、神や霊などの世界を映し出しているものだと感じた。

ネタバレかもしれないが、
蛇というのは、恐らく人間に憑く悪霊のようなものであり、
郵便配達員が謎に転倒したり、
ユスフが気絶してバイクが転倒するシーンなど、「持病」という複線でもあるが、全般的に、神のお告げor悪魔の作用など、霊的な存在が現実社会に作用するものを示唆しているように思えてならない。

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イングマールベルイマン的なものもそうだが、映画監督というのは霊感が高く、神話のようなものを描き出す力を持っている

そういう目に見えない世界の話を前提にすると、冒頭の老人は恐らくシャーマンだ。除霊の儀式を行っていることが、ある種の本映画の始まりでもあり、結末でもある。筆者の仮説。

だが本当に分からなく、狩猟の男を追ってナマズを取るシーンなど、わからないことだらけである。それでも、なぜかこの映像世界はわたしの心に残っている。

個人的には、工場労働者の友達と、詩を見せ合い、カメラが足元へ向くシーンが素晴らしいと思った。カメラワークが絶妙であり、長回しでゆっくり流れるからこその、利点がすごく活かされているなと驚いた。2016-01-28_231246

それにしても、卵、ミルク、蜂蜜・・・すべてが物語の中で、布石というか、ユスフの人生の中で重要な存在として動いていることが分かる。

次、『蜂蜜』へつづく。

_PS
2011年に観た、カンヌパルムドール賞の作品、ブンミおじさんの森に匹敵する、久々に観た難解な映画かもしれない。

kojiroh

『ブラッド・ダイアモンド』(2006年、アメリカ)―75点。社会派スペクタクル・TIA&ダイヤモンドビジネス


『ブラッドダイアモンド』(2006年、アメリカ)―143min
監督:エドワード・ズウィック
脚本:チャールズ・リーヴィット
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジャイモン・フンスー、ジェニファー・コネリー・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 8.0点

2006年の作品。
監督は「ラスト サムライ」のエドワード・ズウィック。
アカデミー賞に5部門ノミネート。

レオナルド・ディカプリオ主演。アフリカのシエラレオネ共和国での内戦(1991年 – 2002年)を描いた、ダイヤモンド業界の暗部に光を当てた大作。

◎あらすじ
激しい内戦が続く90年代のアフリカ、シエラレオネ。愛する家族とつましくも満ち足りた生活を送る漁師ソロモン。しかしある日、反政府軍RUFが襲撃、ソロモンは家族と引き離され、ダイヤモンド採掘場で強制労働を強いられる。そんな中、彼は大粒のピンク・ダイヤを発見、その直後に起きた政府軍による来襲の混乱に紛れてダイヤを秘密の場所に隠すのだった。一方、ダイヤの密輸に手を染める元傭兵ダニーはある時、密輸に失敗し投獄される羽目に。すると、その刑務所にはソロモンも収容されていた。そして、彼が巨大ピンク・ダイヤを見つけ隠していることを耳にしたダニーは釈放後、ソロモンも出所させ、家族捜しに協力する代わりにダイヤの隠し場所を明かすよう迫る。また、アメリカ人女性ジャーナリスト、マディーに対しても、彼女が追っている武装組織の資金源“ブラッド・ダイヤモンド”の実態に関する情報をエサに、自分たちへの協力を取り付ける。こうして3人は、それぞれの思惑を胸に、ピンク・ダイヤを目指す危険な道へと進んで行くのだが…。
<allcinema>

ダニー・アーチャー、ソロモン、マディー。3人の熱演が光る。

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制作費1億ドルの大作。
その割には多くの社会問題がちりばめられ、メッセージ性の高い作品で驚いた。ダイヤビジネスの陰謀から、裏切り、偽善的なジャーナリズムも含め、最後までどう転ぶか読めない展開で、サスペンスアクションとして非常によくできていた。

ダイヤであったり、金に目がくらむようなものが、人間を闇へと誘っていく・・・その象徴としてのアフリカのダイアモンド。裏にある供給量を絞って価格を吊り上げる的なビジネス面も垣間見れて、興味深かった。

TIA―This is Africa

助演のジャイモン・フンスーの演技が特に光るが、みんないい。

それにしても、レオナルドディカプリオという俳優は、近年の重要な映画に驚くほど沢山出演しているなと。この2006年はディパーテッドで演技の新境地を見せたこともあり、記念すべき転換期だったのかもしれない。

タイタニックから始まり、アビエイター、インセプション、ウルフオブウォールストリート、ジャンゴ・・・レオ様はダーティーな役を演じ始めてからよくなった気がする。

さて、テーマ的な社会性や重さもあって、あまりもてはやされることもない一作だが、『ホテルルワンダ』に並んで、アフリカ系社会映画として再評価されるべき一作だと思いました。

kojiroh

『エリジウム』(2013年、アメリカ)―70点、第9地区に次ぐ、格差社会近未来SF


『エリジウム』(2013年、アメリカ)―102min
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ
出演:マット・デイモン、ジョディ・フォスター、シャールト・コプリー、ヴァグネル・モーラ、アリシー・ブラガ・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

『第九地区』で素晴らしいデビューをした、鬼才二ール・プロムカンプ監督による、1億1500万ドルの制作費をかけて、豪華キャストで映画化された一作。

絶賛する人とクソ映画だという人で分かれる作品、はたして筆者は・・・。

◎あらすじ
2154年。人口増加と環境破壊で荒廃が進む地球。その一方、一握りの富裕層だけは、400キロ上空に浮かぶスペース・コロニー“エリジウム”で何不自由ない暮らしを送っていた。そこには、どんな病気も一瞬で完治する特殊な医療ポッドがあり、美しく健康な人生を謳歌することが出来た。そんなエリジウムを頭上に臨みながら地上で暮らす男マックスは、ロボットの組み立て工場で過酷な労働に従事していた。ある時彼は、工場で事故に遭い、余命5日と宣告されてしまう。生き延びるためにはエリジウムで治療する以外に道はない。そこでマックスはレジスタンス組織と接触し、決死の覚悟でエリジウムへの潜入を図る。ところが、そんな彼の前に、一切の密入国を冷酷非情に取り締まる女防衛長官デラコートが立ちはだかる。
<allcinema>

百年以上後の未来。
世界全体がインドのようになったしまった近未来。
ロボットに管理される人間社会。
経費としてしか考えられない人命、富裕層に重要な株価・・・エンタメ映画であるが、第九地区に続き、メッセージ性感じて、個人的には楽しめました。

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前作で主人公ビンスを演じたシャールト・コプリーが、今回は悪役へ・・・なかなかいい味だしてたなと。ブロムカンブ監督との名コンビっぷりを感じる。
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こんな役どころでジョディーフォスターとか、豪華すぎて驚きました。ブロムカンプもすっかり巨匠っすね。
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これだけ予算をかけた娯楽映画であるが、メッセージ性が強い部分を筆者は評価したい。

・誰しも1つの使命を持って生まれてくる
・万能医療が確立した富裕層エリアがある近未来=高額医療社会であるアメリカの格差社会の象徴
・超格差社会をインドのような底辺社会の人間が革命を起こす

つまり、SF映画という枠を当して、アフリカ出身のブロムカンプ監督は、痛烈な皮肉としてメッセージを発信している点が、個人的に評価過ぎべき、見るべき映画として考えることができる。

冒頭からお告げのようなささやきをする女性、インドのような社会で荒んでゆく主人公、非人道的な労働と犯罪、ロボットによって管理される中でも、追い込まれて最後の挑戦でエリジウムへ――こうしたフローはメッセージ性があり秀逸だなと。

ある種、人類への警告としての映画とも見れて、時代はこのマットデイモンのような救世主が必要なのかもしれない。

ただ、完成度や奇抜な発想などの面で、『第9地区』には及びませんが、見る価値ある一作だと思いました。

kojiroh

『マージン・コール”Margin Call”』(2015年、米)―75点。金融”追証”映画


『マージン・コールMargin Call』(2015年、米)―108min
監督 J・C・チャンダー
脚本 J・C・チャンダー
出演:ケヴィン・スペイシー、ポール・ベタニー
ジェレミー・アイアンズ、ザカリー・クイント
ペン・バッジリー、サイモン・ベイカー
メアリー・マクドネル、デミ・ムーア
スタンリー・トゥッチ・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

2016年、年明けそうそう金融危機モードへと世界が展開しているので、それに関連してこの度、リーマンショックを舞台にした金融サスペンスで、以前から気になっていた、”マージンコール”を鑑賞した。

自主制作から始まり、サンダス映画祭にも上映され、アカデミー賞の脚本でもノミネート。日本での劇場公開がないのも不思議な、意外と地味な一作。

◎あらすじ
2008年、ニューヨーク・ウォール街にある投資銀行で、突然の大量解雇が発生。次々とスタッフが去っていく中、リスク管理部門の責任者エリックから「用心しろ」という言葉と共にUSBメモリを渡された部下のピーターは、そのデータを分析し、会社が大きな負債を抱えていることに気づく。上司のウィル、サムらに報告した結果、彼らは緊急役員会を招集。市場が混乱する前に、会社存続のため不良債権の処理を決断するのだが…。

<allcinema>

会社の中の、密室劇に近い、ごく狭い人間関係のみのドラマであるが、
リストラという予兆から始まる、危機モード、
そして深夜会議、重役が次々と集まり投売りが始まるその一連の仮定――合計で24hぐらいしか時間は経過してないだろうが、その金融系な緊張感が実に面白かった。

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ボラティリティ・・・迫り来る破産のとき。
そこで決断する冷酷な幹部陣、
しかし本作の重役のクールな態度はマージンコールが迫る前の、投売りのごとく、早く損切りして逃げる投資家の姿をかなりうまく描写しているようで、暴落するであろう相場の”損切り”を見る意味で、なかなか秀逸な作品かもしれない。

それでも、金が必要なのだ――各々、マネーの名言を発する。

それにしても最初に自主制作から始まった映画にしては、やたら出演人が豪華でびっくりする。ケヴィンスペイシーがいいですね、やはり。

本作の扱う題材、メッセージ性に惹かれてこんな豪華な俳優が出演したのかな?

ともかく、リーマン系の金融映画なら必見の一本でしょう。

Kojiroh

『カリフォルニアダウン』(2015年、米)―70点。大震災パニック系クソ映画


『カリフォルニアダウン』(2015年、米)―114min
監督:ブラッド・ペイトン
脚本:アラン・ローブ、カールトン・キューズ
ケイリー・ヘイズ、チャド・ヘイズ
アンドレ・ファブリツィオ、ジェレミー・パスモア
出演:ドウェイン・ジョンソン、カーラ・グギーノ、アレクサンドラ・ダダリオ、ポール・ジアマッティ・・・etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

San andreas――原題、その地層の大震災スペクタクル映画がやってきた!!

「ワイルド・スピード」シリーズのドウェイン・ジョンソンが主演、巨大地震と津波による未曽有の被害から人々を救う超大作!!

クソ映画の匂いがぷんぷするが、飛行機の中であったので、手軽にさくっと2時間で鑑賞。

◎あらすじ
米カリフォルニア州の太平洋岸に1300キロにわたってのびるサン・アンドレアス断層が横ずれし、巨大地震を引き起こした。ロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガスと大都市が相次いで壊滅するなか、ヘリコプターを使った高度上空での任務を専門とするレスキュー隊員が、愛する娘と被害にあった人々を救うため駆けめぐる。
<映画.comより>

スピーディーな展開で、レスキュー隊員とその家族をすくう話が基点となってえががれる。2015-10-30_1845312015-10-30_184747

しかし離婚予定の奥さんが不動産王と再婚するなど、なかなかめちゃくちゃな無理やりストーリーです。考えてみると。

美人の娘さんが、イギリスから就活に来た青年と助け合って脱出するシーンなんかも、まあ色々と笑うどころは多くて面白かったです。それにしてもいまどきはイギリスからアメリカへ出稼ぎ行く時代なんですねえ、本作は迫力よりも、その社会背景が面白かった。

そいえば教授の相方も、キムパク教授と、韓国人。

だが近年、ドナルドトランプのような不動産王が活躍しているアメリカにおいて、その崩壊を描くような大地震が襲来するというテーマそれ自体がなかなか興味深かった。

SFXで描かれた、震災シーンはなかなか見ものです。
東日本大震災どころの話ではない、こんな地震がアメリカに来るのか――しかし、昨今はシェールガスで、地震を誘発する説などがあったり、ある種の原題のアメリカ人の不安がこの映画にはあり、共感を呼んでいるのかもしれない。

 

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家族の絆と、危機化での出会い・・・一緒に共に協力して切り抜けて愛を深めたっ!感動したっ!!的なべたべたなクソ映画で楽しかったです。

余談ながら、乱気流でゆれまくる飛行機の中で鑑賞したので、無駄に迫力あり、スリル満点でした。揺れるって怖いですねえ、本当に。

kojiroh

『スティーブ・ジョブズ』(2013年、米)―75点。死後だからこそ描ける?秀逸起業映画


『スティーブ・ジョブズ』(2013年、米)―122min
監督:ジョシュア・マイケル・スターン
脚本:マット・ホワイトレイ
出演:アシュトン・カッチャー、ジョシュ・ギャッド、アーナ・オライリー、ダーモット・マローニー、マシュー・モディーン、J・K・シモンズ、ルーカス・ハース

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

2011年、56歳の若さでこの世を去ったアップル創業者スティーブ・ジョブズの波瀾万丈の人生の伝記ドラマ。

2年前の作品だが、レンタル屋で目に付き、今更ながら鑑賞。

◎あらすじ
大学を中退しゲームメーカーに就職したスティーブ・ジョブズは、たびたびトラブルを引き起こす厄介者だった。1976年、そんなジョブズは、自分と同じようなはみ出し者の友人たちを集めて“アップルコンピュータ”を設立する。その後アップル社はヒット商品を連発、わずか4年で株式の上場に成功する。しかし彼の独裁的な経営は多くの敵をつくり、ついには自分の会社から追い出されるという皮肉な結果を招いてしまうが…。
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さて、非常にスピーディーな展開で、無駄がなく、よくできていると感じた。
起業系の映画の中ではかなり秀逸な方じゃないかな?
とにかくスピード感が素晴らしい。
ねちっこい人間関係も含めて無駄なく描く。

ウルフオブウォールストリートもそうだが、最初30分の、ガレージからの起業シーン――アメリカンドリームな起業ドラマに非常に興奮した。

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個性豊かな仲間たちと、起業、出資者、そして一気に栄光へと駆け抜けるっ!

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しかし起業物語以上に、独裁者としてのスティーブジョブズの姿を赤裸々に描いていることが素晴らしいなと思った。

日本企業顔負けのパワハラのごとく社員をクビにする、完ぺき主義、理想主義者のジョブズの暴走をここまで描いていることが、彼の死後だからこそなのか、けっして彼を肯定した描いていない部分に、本作の魅力を感じる。

独裁者としてのカリスマ性を熱演しており、権力闘争から、人間としてクズの部分を前面に押し出し、会社から追放されるシーンに至るスピード感はいいですね。本当に。

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経営者にはサイコパスが多いとよく言われるが、まさにそれを象徴するかのような人物、スティーブジョブズ。天才だが、狂人。モラルがなく、障碍者スペースに駐車するシーンなどのディティールもいい。

ただ、スピード感を優先したのか、少し説明不足になっているのが残念なところ。

もっと、アイポッドではなく、アイフォンから、死に至るまでを見ていたかった。

人間としてのジョブズを嫌いになる要素満載ですが、起業系ドラマ好きには必須の秀逸な起業映画かなと思いました。

Stay foolish・・・彼だからたまたま成功できたってだけなんだろう、きっと。本当に彼の成功法則には再現性がないなとただただ思わされる。

kojiroh

『マラヴィータ』(2014年、米=フランス)―80点、巨匠のオマージュ満載のクライムコメディ


『マラヴィータ』(2014年、米=フランス)―111min
監督: リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン、マイケル・カレオ
原作者: トニーノ・ブナキスタ
製作:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、ディアナ・アグロン、トミー・リー・ジョーンズetc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

スコセッシの製作とリュック・ベッソン監督。
主演はロバートデニーロ。これ以上にない黄金コンビ。

希少なベッソンの監督作がでたこともまったく知らなかったので、友人から情報をキャッチしてレンタル屋へ足を急いで鑑賞した。

◎あらすじ
フランス・ノルマンディ地方の田舎町に引っ越してきたブレイク一家。一見ごく普通のアメリカ人家族と思いきや、主のフレッドはなんと元マフィアのボス。敵対するファミリーのボスを売ってFBIの保護証人プログラムを適用され、家族とともに世界各地を転々とする日々を送っていた。監視役のFBI捜査官スタンスフィールドから地元コミュニティに溶け込めと忠告されるも、ついつい悪目立ちしてしまうフレッド。おまけに妻と2人の子どもたちもかなりのトラブルメイカー。そんな彼らの潜伏場所が仇敵にバレるのは時間の問題。ほどなく一家のもとには、フレッドの首を狙う完全武装の殺し屋軍団が送り込まれてくるのだったが…。
<allcinema>

うーん、この組み合わせだけでもスコセッシの黄金時代の映画が好きな筆者は無条件に萌えるわけだが、黄金コンビは形だけでなく、コメディ映画としてもよくできていると思う。

アンタッチャブルだったデニーロがこんな引退生活とは、いや、とにかく色々ツボ。デニーロも演技が楽しそうだなあと感じる。

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しかし本当に過去のアメリカ映画へのオマージュがちりばめられ、かつアメリカ映画とは違ったフランスのセンスで描かれたコメディドラマである点が、なかなか切り口として斬新だと感じた。

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家族4人のキャラクター造形もいいですね、キャスティングも。それぞれのエピソードが耕作しつつも、監視役のトミーリージョーンズの渋い脇役陣もさえている。

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特に好きなのが、間違えて「グッドフェローズ」が流れるシーン。その後のスピーチ。いや、これはツボだった。古いファンから新しいファンまで、お約束のような場面がありつつも、クライムコメディとしてよくできているなあと。アメリカじゃなくてフランスが舞台だからこそですかね。

ラストへ向けての盛り上がりとクライマックスは個人的にかなりデキがいいと感じる。

演技陣から製作まで、とにかく楽しそうに作ってできた秀作でした。

kojiroh

 

 

 

『深夜食堂』(2015年、日本)―75点。中華圏での人気も納得のコミック映画


『深夜食堂』(2015年、日本)―119min
監督:松岡錠司
脚本:真辺克彦、小嶋健作、松岡錠司
出演:小林薫、高岡早紀、柄本時生、多部未華子、余貴美子、筒井道隆、菊池亜希子、田中裕子、不破万作、綾田俊樹、オダギリジョー etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点
*リアルタイム映画

香港や台湾でも人気のある映画・深夜食堂。
安倍夜郎の漫画が原作。小林薫主演の人気深夜TVドラマ初の劇場版。

別に日本ではぜんぜん知らなかったが、昨今ブームな孤独のグルメと並んで有名なドラマであり、その映画版が意外と面白いといううわさを聞き、ANAに乗ったら機内映画が用意されていたので鑑賞することにした。

◎あらすじ
夜も更けた頃に営業が始まるその店を、人は“深夜食堂”と呼ぶ。メニューは酒と豚汁定食だけ。それでも、客のリクエストがあれば、出来るものなら何でも作るのがマスターの流儀。そんな居心地の良さに、店はいつも常連客でにぎわっていた。ある日、店に誰かが置き忘れた骨壺が。どうしたものかと途方に暮れるマスター。そこへ、久々に顔を出したたまこ。愛人を亡くしたばかりの彼女は、新しいパトロンを物色中のようで…。上京したもののお金がなくなり、つい無銭飲食してしまったみちる。マスターの温情で住み込みで働かせてもらう。料理の腕もあり、常連客ともすぐに馴染んでいくが…。福島の被災地からやって来た謙三。福島で熱心にボランティア活動する店の常連あけみにすっかり夢中となり、彼女に会いたいと日参するが…。
<allcinema>

うーん、出来のいい深夜のコアなドラマってかんじだが、かなり見やすくポップな要素も内包していて面白かった。何か心に触れてくるものがある。
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独特な言葉遣いで淡々と料理を作る小林薫の姿には、なんというか硬派な男の姿を感じる。

いくつかのエピソードを2時間の枠につなげていて、編集というか脚色もなかなかよくできていると思った。

卵焼きが本当に美味しそうにできていて、まあこういう食堂があるなら言ってみたいなと思える。豚汁の料理シーンとか、うーん、この世界観はどこか病み付きになるものがある。2015-06-27_130225

常連客の脇役陣や警官など、サブキャラクターの造形がいいのかもしれない。

シンプルで単純な話で、深夜食堂の常連客と、たまに来るよそ者の抱えた悩みを食堂を通じて解決したりするだけなのだが、心の闇をどこか共有する場としてのこの食堂の存在そのものが興味深いのだよなあと。

震災や現代の貧困など、女性の視点が多いながらも今の日本の闇をライトに描いていて、そこが評価すべきところかもしれない。

まあ飛行機で見るレベルの映画では、これぐらいがベストだなと思いました。

でもやっぱり、音楽と夜の食堂の世界観がいいですね、ああ卵焼き食べたい。

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kojiroh

『闇金ウシジマくん』(2012年、日本)―70点、意外とよくできた人気コミック映画版


『闇金ウシジマくん』(2012年、日本)―129min
監督:山口雅俊
脚本:福間正浩、山口雅俊
原作:真鍋昌平
出演:山田孝之、大島優子、林遣都、 崎本大海、やべきょうすけ、片瀬那奈、岡田義徳、ムロツヨシ etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

ウシジマくんのような暗黒小説のような漫画が、コンビニコミックでも出回るブームになったのは、よく考えると2012年あたりの深夜ドラマ化と映画化だったなと思います。

さて、ツタヤに夜な夜なビデヲを借りに行ったら、ロングセラー的な場所に並んでいたのが映画版牛島くん。そいえば見てなかったので、手軽にドラマを見る感覚でレンタルしました。

○あらすじ
ウシジマは、10日で5割(トゴ)、1日3割(ヒサン)という法外な金利と情け容赦ない取り立てで知られる伝説の闇金。フリーターの鈴木未來(ミコ)は、パチンコ狂いの母親がウシジマから借金をしたばかりに、利息の肩代わりをするハメに。やがて高額バイトを求めて“出会いカフェ”に通い、客とのデートを重ねるようになる。一方、ミコの幼なじみでイベントサークルの代表を務めるチャラ男、小川純(ジュン)。野望に燃える彼は、一世一代のイベントを企画し、その資金調達のためにウシジマのもとを訪ねるが…。
<allcinema>

さて、所感、意外とよくできてて面白かったです。

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キャストが意外と豪華で楽しかったですねえ。
主演の山田もツボだし、AKBの大島とか、これが始めてまともに見たぐらいだったんですが、なかなか想像よりも真剣にやってる感じで、彼女が売れた理由も少し感じた。

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出会いカフェを映像化している意味で、現代っぽい社会現象を描いていて一見の価値あり。

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新井の肉マムシ役も快演ですが、はまってます。

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脚色がなかなか秀逸で、原作そのままの設定かと思ったら、2つほどのエピソードをうまくつなげていて関心しました。なんていうか、チカラが入ってますね。これは流行ります。

原作ほど暗黒ではなく、深夜ドラマもそうだが、うまく設定を女性キャラをいれ、やべきょうすけの役どころなどで基本はダークだが笑いを誘う。この微妙な空気感が商業映画としても成り立たせてますね。

冒頭の金持ちパーティーでの演出なんかは原作にないものだが、それっぽくてよくできてるなぁと。

「お金を楽に手に入れることで、その感謝の気持ちを失うこと、それと引き換えに金銭を得ている」・・・みたいな台詞とか、コマ回しもいいなと。

特にこれ以上書くことはないっすけど、原作が好きな人でも楽しめる内容でした。続編も見てもいいですが、評判悪いので多分見ないかなあ。

kojiroh