『龍三と七人の子分たち』(2015年、日本)―70点。前代未聞の高齢者コメディ


『龍三と七人の子分たち』(2015年、日本)―111min
監督:北野武
脚本:北野武
音楽:鈴木慶一
編集:北野武
出演:藤竜也、近藤正臣、中尾彬、品川徹、樋浦勉、伊藤幸純、吉澤健、小野寺昭etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

※リアルタイム映画評

「アウトレイジ ビヨンド」以来の北野武監督の最新作!
久々であり、監督ばんざい以来のコメディ映画ということで、かつ高齢化社会の現代をテーマにしているので、予告をみて待ちに待った一作を満を持して劇場へ向かった。

あらすじ
70歳になる高橋龍三は、かつては“鬼の龍三”と呼ばれて誰もが恐れた元ヤクザ。しかし引退した今は、息子家族のもとで肩身の狭い思いをしていた。そんなある日、オレオレ詐欺に引っかかった龍三。元暴走族の西が若い連中を束ねて“京浜連合”を名乗り、詐欺や悪徳商法で荒稼ぎしていると知っては、もはや黙ってはいられない。そこで龍三は、それぞれにわびしい老後を送る昔の仲間7人を呼び集め、“一龍会”を結成して京浜連合成敗に立ち上がるのだったが…。
<allcinema>

冒頭から70歳を超えるじじいのアップから幕を開ける。
しがれた声とスローな会話、子供みたいに感情が激しく、うーん、ジジイって先がないから最強であるが、本当に最低だなと、老いの醜さと滑稽さをここまで前面に押し出した映画は、かなりの前衛的というか実験的な一作だ。

2015-05-12_133438

もちろん、コメディであり、漫才であり、狂言役者のようなジジイたちの姿には何度も笑わせられた。

やることがなくて暇をもてあます高齢者が、飲食店で賭け事に興じたり、競馬場で絶叫して書けたりするギャンブルシーンがあったり、右翼団体の活動したりと、これはコメディを超えて高齢者のむなしい現実をある意味で露骨に描いている。

2015-05-12_133505

またそんな虚しい高齢者から搾取しようとする、水道除菌や羽毛布団の詐欺っぽいビジネスだったり、そんなものを新興詐欺集団と絡めて描いていて、興味深かった。

オレオレ詐欺から始まり、デモ鎮圧、闇金の取立てから、暴対法によってやくざがいなくなり、取締りの難しい現代の新ヤクザ集団の暴走などを、コメディとしてではなく、メッセージ性を持ってドキュメンタリーのように描いたような意図さえ感じる。

2015-05-12_133518

2015-05-12_133544

2015-05-12_133609
個人的には寸借詐欺師の中尾彬がいいですね。
前作アウトレイジビヨンドからそうだが、北野映画で滑稽な役回りを演じるには冴えている。

全般的にだが、やはり世界の北野は本当に役者を使うのがうまい。男限定で、本作も女はぜんぜん登場しないし水商売の安っぽい女ばかりしか描かない(けない)のが北野武という監督なのだが、それはそれでひたすら男を描けばいいのかなといつも思う。

みんな生き生きと迫力ある演技をしていて、言葉の掛け合い一つ一つにしても、じいいVS京浜連合の柄の悪い男たちとコントのような「コノヤロー」「バカヤロー」なまじな掛け合いをしていて、相変わらずその罵倒し合う口論シーンの迫力は北野映画ならではだなと。

特に初めて起用した安田ケンがピカイチっすね。

こんな悪い役をやってるような人じゃないので、意外な起用だったが、こんな生き生きした悪い演技が冴えていたなと。むさくるしいジジイより、もっと彼の登場シーンを増やして欲しかった。

本作はちょっとじじいが2時間も暴走している映画なので、
はっきりいって面白かったが、もうしばらく高齢者を見たくなくなるほどの「老い」の醜さを感じてしまった。

同窓会で、よぼよぼの100歳の先生と70歳の生徒が集まるシーンなんかは爆笑もので、上も下も高齢者になってるこの日本の姿は笑えたが、いくらなんでも偶然鉢合わせが多すぎて不自然に感じたりも。

あと脚本もちょっとホステスと龍三と詐欺集団がマンションではちあわせするシーンなんかはちょっと無理あるなと興ざめしたところ。

もっと無駄なシーンなくしてシンプルに90分にすればかなりいい映画だったなという所感。60点ぐらいですが、この挑戦心には+10点です。

高齢化社会の現代、見る価値ある映画だったが、じじいの姿はしばらく見たくありません笑 若いってすばらしいっ!

kojiroh

『イディオッツ』(1998年、デンマーク)―75点。ドグマ95+マジキチな障碍者ごっこ映画


『イディオッツ』(1998年、デンマーク)―117min
監督:ラース・フォン・トリアー
脚本:ラース・フォン・トリアー
出演:ボディル・ヨルゲンセン、イェンス・アルビヌス、アンヌ・ルイーセ・ハシング、トレルス・ルビュー、ニコライ・リー・コース、ヘンリク・プリップ、ルイス・メソネオ etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

ニンフォマニアックを見る前に、トリアー監督の問題作であるイディオッツをレンタルで鑑賞した。

●あらすじ
「奇跡の海」「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラース・フォン・トリアー監督作品。本作は、すべてロケのみで行われ、カメラは手持ち、人工的な照明は禁止といった条件で撮影する“ドグマ95”という映画監督集団による実験的プロジェクトの第2弾作品として作られた。カレンは立ち寄ったレストランで奇妙な一団と出会う。口からよだれを垂らし、訳のわからない事を叫ぶ人々。レストランから追い出されそうになる彼らをかばうカレンだが、これはすべて白痴を真似たデモンストレーションだった……。

<Allcinemaより>

もうあれです、「障碍者のふりをした健常者のサークル」ってプロットだけで惹かれました。

トリアー監督特有の、いやらしいもの、描きたくないいやらしいものを露骨に描いてしまうセンスがもっとも凝縮されている映画かもしれない。彼のエッセンスがある。

ドグマ95に則った、自然光ロケ撮影、すべて手取り。

この手取りでゆれる映像っていうのはやはりドキュメンタリーを描くようですばらしいなと思う反面、強引にカットで乗り切るシーンもあったり、諸刃だなとは感じる。

だが全般的にドキュメンタリーを思わせるような構成は、完成度が低く荒削りなようでよくできているなと。(とは言ってもドグマ95を徹底したがゆえにぐだぐだな部分もあるけど)
2015-05-10_204541

2015-05-10_204607

2015-05-10_204724

2015-05-10_204748

それにしてもイデオッツ――愚であることは素晴らしいと思わせ自らを正当化する、サイコパスのような健常者の擬似家族っぷりはめちゃくちゃだが、メッセージ性はすごく感じる。

ものすごく不謹慎な障碍者ごっこによって人間の偽善を暴く――そんな建前はあるにしても、結局は心を病んだメンヘラ集団が自己満足と快楽のためにめちゃくちゃ不謹慎なことをやりまくる映画というだけ。

そんなことを描いちゃダメだよ!!とモラルある人ならツッコみたくなる出来事を容赦なく描いて、不快感は感じつつもやはり引き込まれる。マジキチですけどね。

だがある種、本作品はブラックコメディとして成立している。この映画の人々のマジキチっぷりは呆れたを通り越して笑えた。

精神病の少女と内気な彼とのベットシーンなんかは舌を巻くほど生々しくて、この迫力はドグマ95の撮影手法ならではだなと。

それにしてもパッケージになっているこの3つの全裸ケツ画像が印象的であるが、トリアー監督の男の裸ケツのカットはフェチなのかと思うほど秀逸である。

こんな映画作っちゃいけないと思いつつも、あの独特な音楽とドグマ95のゆれる映像は中毒性がある、実験的だがすごい衝動ある映画でした。

kojiroh

『イコライザー』(2014年、アメリカ)―70点。アメリカ最新のプロパガンダ映画


『イコライザー』(2014年、アメリカ)―132min
監督:アントワーン・フークア
脚本:リチャード・ウェンク
原作:キャラクター創造マイケル・スローン、リチャード・リンドハイム
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:デンゼル・ワシントン、マートン・ソーカス、クロエ・グレース・モレッツ、デヴィッド・ハーバー(英語版) etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

デンゼル・ワシントンとアントワーン・フークア監督が再びタッグを組み、80年代後半のカルトTVシリーズ「ザ・シークレット・ハンター」を映画化したクライム・アクション。共演は「キック・アス」「モールス」のクロエ・グレース・モレッツ。

超B級映画の雰囲気満載だが、予告編を見ていると面白そうだしクチコミの評判もいいのでネットでレンタルして干渉。

●あらすじ
ホームセンターの真面目な従業員、ロバート・マッコール。かつては、CIAの凄腕エージェントだった彼だが、引退した今は、自らの過去を消して静かな生活を送っていた。そんなある日、行きつけのカフェで知り合った少女娼婦テリーが、ロシアン・マフィアから残酷な扱いを受けていることを知る。見過ごすことが出来ず、ついに封印していた正義の怒りが爆発するマッコール。単身で敵のアジトに乗り込むや、悪党どもをあっという間に退治してしまう。これに危機感を抱いたロシアン・マフィア側は、すぐさま最強の殺し屋を送り込んでくるのだったが…。
<allcinema>

とりあえず、この映画はトレーラーが一番面白かった。
本作のできもまあまあだけど、予告編以上の面白さはないですね。

だがとにかくアメリカンチックな雰囲気が楽しめる。
深夜の喫茶店と読書と、娼婦。平凡なホームセンターの日常。
実は彼はスーパーマンだった!
2015-04-13_215442

2015-04-13_215546

2015-04-13_215645

時計でカウントしつつ、スローモーションでイコライズするシーンの緊張感はすごい。

そこにトレントレズナーのような音楽が流れて、カッケーなと思っちゃいました。BGMとヴィジュアルイメージはかなり秀逸。

でも最初の1時間ですかね、面白かったのは。あとは主人公が強すぎて、わりと興ざめする部分がありました。娼婦のクロエちゃんもあんま登場してこないし・・・。

しかしキックアスの少女だったグロエちゃんがもうこんな娼婦役できるまで大人になったことが意外と驚き。

2015-04-13_215526
いかにもいまどきのハリウッドアクションっぽくて、ナウさがあって、こういう映画を見るのは悪くないなと思った。

近い路線では『処刑人』シリーズみたいなとこかな。見ていてとにかく痛快。善悪がはっきりしているので。無駄に主人公が最強すぎるし。

だがロシアVSアメリカの構造が垣間見える映画として、たとえば「ソルト」とか。流行のアメリカとロシアがバトってる映画って、結構なプロパガンタだったりする。

今回、アメリカ側の昔の人間が無敵な感じで残虐非道なロシアをぶっつぶしちゃう感じなので、相変わらず現状の米露関係は悪いんだろうなと。

ロシア人をぶっ殺せ!!みたいな。

逆に今はCIAが人材削減で色んなとこから撤退しているし、CIAだったスノーデンは二重スパイだったくさいし、アメリカの覇権はロシアに馬鹿にされている現状を感じるが、この映画ではやはりCIA最強ってノリっすね。元CIAだけど。現在が駄目だから、過去のCIA職員を活躍させてるのかな?・・・色んな政治的な意図を考えさせられます。

むしろアメリカからロシアを撤退させようとする意図みたいなものかなあ。

しかし、個人的にはあまりに強すぎる主人公が、最後は残忍非道に思えてくる。
映画としての雰囲気はすごくいいけど、強さの設定が滅茶苦茶だなと。

ある種の特殊能力者が、普通の人間をずたずたにしちゃうところが、偽善的でもあり、イコライザーはヒーローでもなんでもなく、もはや大量殺人犯ですかね。アメリカンスナイパーと同じく。

ただ完全に英雄のヒーローものである本作とはスタンスが逆ですが、アメリカンスナイパーと並んで、最新のアメリカのトレンドを知るにはいい映画かもしれない。

kojiroh

『アウトブレイク』(1995年、アメリカ)―70点。感染系映画の王道、エボラの勉強にでも観賞価値ある一作。


『アウトブレイク』(1995年、アメリカ)―127min
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
脚本:ローレンス・ドゥウォレット、ロバート・ロイ・プール
出演:ダスティン・ホフマン、レネ・ルッソetc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

2014年、エボラ出欠熱の脅威が世界的に危機を煽っている昨今、同胞のクソ映画人仲間からの強いレコメンドを受けて、「感染系」映画として王道の映画「アウトブレイク」を鑑賞した。

案の定、みんなエボラに危機を覚えているようでレンタル屋で人気が再燃しているので、HULUにて筆者は鑑賞した。

●あらすじ
アフリカ奥地で発生した未知の伝染病がアメリカに接近。厳戒の防護措置が取られるもウィルスはとある地方都市に侵入! 街は完全に隔離され、米陸軍伝染病研究所はウィルスの謎を懸命に解き明かそうとするが……。
<allcinema>

さて、日本ではあまり有名ではないこの出血熱、その爆発するように血が吹き出てくるような、その病状をリアルに再現したことが一つ、この映画の大きな功績であろう。

飛行機の中での感染発症の予兆なシーンは、リアリティだけでなく、そのシチュエーションの再現が素晴らしいなと思った。個人的に。

2014-10-27_125721

2014-10-27_130219

サルから人へ。その感染経路の再現も面白い。
この映画のサルは本当にいい演技をしていると思った。

2014-10-27_125846

2014-10-27_130335

しかし映画としてはかなり陳腐であり、
新種のウイルスと巨大な陰謀を絡めたスペクタクルなのだが、
あまりにも主人公が無敵というか、運がよすぎて、どうも興ざめっていうか、この巻き返し方はリアリティないなと思った。

人類がこれで滅亡するほうがリアリティあります。
あんな小さいサルをあんなに迅速に再発見するなんて、いや、まじでありえないでしょ(笑

それにしても本作ではヘリコプターが大活躍であった。

2014-10-27_130112

まあアメリカチックな家族と妻との絆とか出てくるが、このリアルというか、飛行機の中から映画館まで、その「感染」が広がってゆく描写の演出意外とははっきり言って特に見所はない映画だと思います。

しかしその演出がよく、さらに今のエボラ危機な昨今、見たからこそ、70点です。
たぶん、2~3年前に見たら単なるクソ映画だったなで終わっていたと思います(笑

kojiroh

『Some Kind Of Monster(邦題―メタリカ:真実の瞬間)』(2004年、アメリカ)―75点。世界的ロックバンドの歴史的瞬間


『Some Kind Of Monster(邦題―メタリカ:真実の瞬間)』』(2004年、アメリカ)―123min
監督:ジョー・バーリンジャー, ブルース・シノフスキー
出演:ジェームス・ヘットフィールド, ラーズ・ウルリッヒ, カーク・ハメット, ロバート・トゥルージロ etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

サムカインドオブモンスター。


2002年のセイントアンガーを高校生のときにリアルタイムで購入して愛聴していたメタリカファンの筆者としては、非常に安着のある名曲の1つ。

そのタイトルで発表されたドキュメンタリーも、大学時代に購入して保有していた。すっかり忘れていたが、久しぶりに鑑賞したら改めて面白かったのでレビューを。

●あらすじ
2001年、ヘヴィメタル・バンド“メタリカ”は、かつてない危機に直面していた。メンバー同士の人間関係は最悪の状態で、15年間共に活動してきたベースのジェイソン・ニューステッドが脱退する非常事態に、ファンやマスコミからもその将来を悲観する声が出始めていた。そんな状態で開始されたニューアルバムのレコーディングには、分裂回避のためセラピストが参加するという前代未聞の手段が採られた。しかし間もなく、今度はボーカルのジェームズ・ヘットフィールドがアルコール依存症のリハビリのため入院してしまうのだった…。
<tSUTAYAより引用>

このドキュメンタリーに、メタリカの歴史が濃縮されているとも言える。
過去のクリフバートンの死、そこからの世界的セールス、ブラックアルバムでのカークハメットなど、大成功から衝撃的な脱退、ニュースにまで取り上げられ、メタリカは終わったといわれる・・・そこからまるで自問自答のようなバンドの日々が始める。

脱退と、ジェームスの病気からはじまり、もっともメタリカが苦しんだ日々が描かれる。

メタリカは、世界的なバンドにして奇跡のバンドでもあると思う。メンバーが全員強烈なキャラクターを持ちつつ、調和してヒットしたバンドだからだ。

2014-09-24_143425

2014-09-24_143445

ジェームス、カーク、ジェイソンへの未練というか、今までのバンドを支えていたものの崩壊を直面し、長年付き添ってきたプロデューサーらと自問自答のような日々を送り、初めてジャムでセッションしたような、新感覚でのアルバムに取り組む。それが、あの賛否両論なセイントアンガーだったとは・・・。

 

アンヴィルにも登場していたが、ラーズウルリッヒがとにかくいいねえ。

2014-09-24_143406

高級車を乗り回し、美人の奥さんと暮らし、子供もいて、そしてバンドの転換期みたいな時期に、海外をオークションに売るシーンなんて本当に印象的だった。メタルバンド出身の億万長者の暮らしが垣間見れる。

彼自身、この映画を撮ったことを後悔しているほど、内部事情がぶっちゃけで描かれている。

メタリカというのはとにかく、ドラムのラーズがリーダーとして中心的人物として運営されている。ある意味、ビジネスとしての視点も交えて、新しいベーシストのオーディションをを進めたり。

あのモンスターのような南米系のロバートトゥルージロというベーシストがオーディションを経て、バンドに参入するそのプロセスが一番好きだ。

2014-09-24_1436472014-09-24_143752

「バッテリー?あの速さを指で?」
「他のベーシストは120%を出してきた。それ以下でやれたのは彼だけだった」

世界的バンドがどのようなプロセスを経て新規にベーシストを入れるか? しかも息がぴったりで、現役で今も続いているような最高のメンバーを入れるその瞬間をリアルタイムでフィルムに収めたことは、本作のひとつの功績であろう。

総括すると、メタリカという世界的なバンドの奇跡の瞬間を収めることができ。過去のクリフとの悲劇やドラマを描けたことは。多くのリスナーをうならせる、ある意味で歴史的なドキュメンタリーになったと思う。

しかしやはりロックのドキュメンタリーでは「アンヴィル」が最高傑作で、こちらは成功者の苦闘にすぎない。でもしかし、アンヴィルがメタリカになれなかった理由がよくわかる。それぐらい、メタリカの世界はシヴィアな、仕事人としても偉業をなし続けられる理由がここにはあった。

KOJIROH

『ラスベガスをぶっつぶせ』(2008年、アメリカ)―75点。ブラックジャックカジノ映画の最新版


『ラスベガスをぶっつぶせ』(2008年、アメリカ)―123min
監督:ロバート・ルケティック
脚本:ピーター・スタインフェルド、アラン・ローブ
原作:ベン・メズリック『ラス・ヴェガスをブッつぶせ!』
出演者:ジム・スタージェス、ケイト・ボスワース、ケヴィン・スペイシー etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

原題:”21″。
カジノが好きな私がちょっと興味を持っているギャンブル、それはブラックジャック!
トランプを駆使して「21」をめぐるゲームである。このゲームは必勝法があることで有名で、その必勝法と数学的な考えや記憶によって導いて数百万ドルを荒稼ぎするという、なんとノンフィクションをベースにした物語。

ラスベガスをやっつけろにもタイトル的にかぶるが、全然新感覚なスタイリッシュなノリ。

個人的にブラックジャックと、そしてカウンティングに興味があったのでその勉強がてら見てみると意外に楽しめた。2014-08-17_194817

◎あらすじ
理系大学の最高峰MIT(マサチューセッツ工科大学)の学生ベン・キャンベル。医者を目指している彼にとって目下の悩みは、そのあまりにも巨額な学費。そんなある日、ベンの頭脳に目を付けたミッキー・ローザ教授が彼を自分の研究チームに勧誘する。その研究テーマは、“カード・カウンティング”という手法を用いてブラックジャックで必勝するためのテクニックとチームプレイを習得するというものだった。一度はためらうベンだったが、チーム内に憧れの美女ジルがいたことも手伝って、学費のためと割り切り参加する。やがてトレーニングを積んだチームは、満を持してラスベガスへと乗り込むと、みごと作戦通り大金を手にすることに成功するのだが…。

<allcinema>

MITの優秀な頭脳が集まって、ブラックジャックビジネス!

2014-08-17_194640

2014-08-17_194713

まず、数学的な知識を使ってブラックジャックをチームプレーで勝つというその流れ・プロットが面白い。まあほぼプロットで終わっているともいえるが、ラスベガスのセレブな舞台でその感覚を再現しているところにひとつ魅力を感じる。

2014-08-17_194900

いかに店にばれないようにチームで連携して金を稼ぐか、その手法が見てて爽快。

そして大金を得た若者の姿も、非常に共感できるものがあった。

「人生で初めて人生に余裕ができた。お金のことを心配する必要がなくなった」

主人公は成功し、そして・・・・。
それにしても医学部の高額な学費に苦しんでこのようないかがわしいサイドビジネスをする感じは昨今のアメリカっぽくていいなと。

優秀な成績で学校を卒業しても、いい会社や職業にありつけないと厳しいアメリカの現状がある意味で描写されているからこそ、本作はヒットしたのかもしれない。夢がありますよね、ベンチャーやってもいいような頭のいい学生が、それ以上にカジノで大勝ち!

まあ本作はそのプロットがすべてなんで、特にそれ以上深みはありませんが。楽しめたから問題なし。

ケビンスペイシーの演技が貫禄ありましたね。2014-08-17_194726

なんか世界観的にすこし『グランドイリュージョン』っぽいものも感じる。

だましあいとトリックや手品のような手法やどんでん返し、みたいな。

というわけで数学とブラックジャックが好きな筆者としては面白かった。でもあまりゲーム自体に関心のない人でも楽しめるエンタメなつくりになってて、コアなカジノファンからするともっとディティールを描いて欲しかったと思うかもしれない。

しかしこういう映画がリリースして大ヒットした時点で、もうカウンティングなんてものは時代遅れなものになっている気がする次第であった。

kojiroh

『GODZILLA ゴジラ』(2014年、アメリカ)―70点。歴代最高スペクタクル・ゴジラ


『GODZILLA ゴジラ』(2014年、アメリカ)―123min
監督:ギャレス・エドワーズ
脚本:マックス・ボレンスタイン、フランク・ダラボン、デヴィッド・キャラハム、ドリュー・ピアース、デヴィッド・S・ゴイヤー
原案:デヴィッド・キャラハム(ストーリー)
原作:東宝株式会社
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:アーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ビノシュ、サリー・ホーキンス、デヴィッド・ストラザーン、ブライアン・クランストン etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

2014年夏。今年最もアツいクソ映画がやってきたっ!

2014-08-05_171137

ゴジラ、ハリウッドによる二度目のリメイク。今回は前回のローランドエメリッヒとは違い、かなり正統派なつくりになり、ある人は「1954年版以来最高のゴジラ映画だ」と称賛しているほど、大ヒットを記録し、さらに批評家の意見も上々で、このヒットを受けて続編かも計画されている。

出演は「キック・アス」のアーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙。監督は低予算SF「モンスターズ/地球外生命体」のギャレス・エドワーズ。さらにブライアンクラインストンまで豪華なキャストで埋め尽くされている。

「去年のパシフィックリムを越える衝撃はあるかっ!」・・・ 期待を胸に、2014年ゴジラを映画人スタッフらと鑑賞しに池袋へ足を運んだ。


●あらすじ
1999年、フィリピン。採掘現場の調査にやって来た芹沢博士とグレアム博士が謎の巨大生物の痕跡を発見する。同じ頃、科学者のジョーとその妻サンドラが働く日本の原子力発電所が謎の大振動に見舞われ、深刻な放射能事故が引き起こされてしまう。15年後。ジョーの息子フォードは米海軍に所属し、妻と息子とサンフランシスコで幸せに暮らしていた。そんなある日、ジョーが立入禁止区域に侵入して逮捕されたとの知らせを受け、急ぎ日本へと向かうフォード。ジョーは、いまも原発事故の謎に取り憑かれていたのだ。彼は真相解明のためにはかつての実家に残る15年前のデータがどうしても必要だとフォードを説得し、2人で再び立入禁止区域への侵入を図るが…。
<allcinema>

フィリピン、日本、ハワイ、サンフランシスコ。転々とする舞台設定は、去年のワールドウォーZを彷彿させる大スペクタクル。予算が180億近い映画なので、それ相応のスペクタクルを展開してくれる。このクソ映画な雰囲気いいです。「ゴジラFinal Wars」も世界各国が舞台になっていたが、予算なさすぎとチャチな表現力でクソを超えてゴミだったが、このゴジラ2014年は徹底してて、映画館で見ると迫力がすばらしい。

てか、今回のゴジラはマジででかい。巨大。過去最大レベルじゃね?

2014-08-05_165916

「Breaking bad」のブライアンクラインストンが、マジキチっぽい陰謀を追いかける頑固な親父役で、すばらしかったです。

地震と怪獣、そして大地震による被害と電力会社(原発)の隠蔽をからめて脚本されていたので、311の震災を彷彿させる陰謀があって、それが個人的にシニカルでツボだった。

そして・・・われらがケンワタナベ!芹沢博士だあ!!! 2014-08-05_165936
てかオキシジェンDestroyer関係ねえ!

でもいいんだ、ケンワタナベが画面にいるだけで、ハリウッド映画で助演レベルで出演しているだけで、わが国の誇りですからっ!

・・・とまあ、序盤は陰謀の話とマジキチな研究者との闘争があって面白かった。
最初は本当に勢いと迫力があったが、だんだんと「ガメラ」のような怪獣大決戦みたいな方向へ話が進んでなんかすごい子供っぽい映画になっていった。

初期のゴジラのような反核みたいなテーマは影を潜めたように思えた。
そしてアメリカ糞映画特有の、家族。
2014-08-05_170717
ゴジラと軍隊ものと、「宇宙戦争」なテーマをごちゃまぜにしちゃったかんじ。なんとも詰め込みすぎ? てか芹沢博士いなくてもよくね?w と突っ込める内容。

主役のアーロン・テイラー=ジョンソンがどうもイマイチ。魅力がないというか、この人中心で話を作った方向性がなんとも微妙。存在感としてもクラインストンやケンワタナベの方をもっと中心としてほしかった。

つまり、本作は研究者視点ではなく、アメリカの市民(軍隊)の視点で、怪獣とそれによって荒れ狂い破壊されるアメリカを描いていて、迫力あり映画館で見るには素晴らしい作品であったが、終わってみると子供だまし的でもあったかなと。

2014-08-05_171301

でも迫りくる津波や、電力会社など、311を彷彿させる、日本的なキーワードが無数にちりばめられたゴジラ映画だった。

日本ではこんな映画は作れないが、日本の先代が残したものがあるからできた映画で、それはパシフィックリムと同様。(あっちの方が革命的だったが)

ゴジラ2014年・・・うーん、これ以上特に言うべきこともなく、
鑑賞後は何も残らないけど、
今年最高のクソ映画だったぜ!ご・じ・ら!!

ケンワタナベが日本的な発音でドヤ顔でしゃべるシーンが今年MVPです、はい。クソ映画としては98点。

kojiroh

『ソラニン』(2010年、日本)―75点。モラトリアムな現代の若者の心を揺さぶる名作コミック映画化


『ソラニン』(2010年、日本)―126min
監督:三木孝浩
脚本:高橋泉
原作:浅野いにお『ソラニン』
出演:宮崎あおい、高良健吾、桐谷健太、近藤洋一、伊藤歩 etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

人気漫画家・浅野いにおの同名傑作コミックの映画化『ソラニン』。
宮崎あおいの主演と、これまで数多くのPVを手掛け、本作が長編映画初メガホンとなる三木孝浩が描く、自分探し系&音楽映画。

ひょんなことから見たら意外に傑作。話題性あって、漫画はちょっと立ち読みした程度でしか知らなかったが、軽音楽部にいたことがある筆者としては共感性の高い一作だった。

●あらすじ
都内の会社に勤めるOL2年目の芽衣子とフリーターでバンドマンの種田。大学時代に軽音サークルで知り合い、付き合って6年になる2人は、多摩川沿いの小さなアパートで一緒に暮らしていた。そんなある日、芽衣子は種田に背中を押してもらう形で、嫌気の差していた仕事を辞めることに。一方、種田はサークル時代の仲間とバンド“ロッチ”の活動を続けるものの、将来の不安と焦りから音楽への思いを押さえ込んでバイトに励むようになっていた。だが、芽衣子にそのことを指摘された結果、バイトを辞めてレコーディングに集中し、デモCDを完成させ、今回のチャンスを掴めなければバンドを解散することを決意。しかし、厳しい現実を突きつけられた種田は、ある日突然、芽衣子に別れを切り出す…。
<allcinema>

さて、別になんともない、自由を求めて会社を辞める、自分のやりたいことをやる、しかし現実は厳しかったという、自分探し系なよくありそうなお話。
しかし、こんなに感受性を揺さぶられるのはなぜだろうっ!

2014-04-03_122251

個人的にこのソラニンの世界はかなり救いのない話で、凡人が自由になりたくて会社を辞めたり仕事をやめたりしても、結局は救いはなく、単調な日常が繰り返されていくだけだ。

しかし日本の会社社会の閉塞感、満員電車、パワハラ、粘着質でウチソト文化な日本の会社社会の描写がうんざりするほどリアル。わびしいアパートでの自由だが不安定な生活なんてのも、下北っぽい。若者の不安を象徴しているかのよう。

まあ人生の限界というか、特に陰湿なサラリーマン業ばかりのこの日本において、本作の主人公のような感情になる人間が多くて共感できるということだろうか。

しかし原作が秀逸である。何よりこれ。

そしてバンド系映画にしては、みんな本当に演奏しているところが一番魅力。バンド音楽の迫力が伝わってくる映像はまさにPV的。

宮崎あおいもNANA以上にハマッてるし、桐谷健太がいい。本当にドラムを叩くからこそ、この世界にハマッてる。サンボマスターの近藤洋一も、これは名演だと思った。

6年間大学生やってる加藤に対して、「だって加藤は普通の奴だもん。これから長くて退屈な人生が待ってるってアイツわかってるし。だからギリギリまで遊ばせてやろうとはおもってるんだよね。」という言葉がすごく本質的に思えた。2014-04-03_1227562014-04-03_122813

本当に音楽をやっている人間だからこそ、このソラニンの世界が分かるのだ。
そしてわたしも音楽やってる人間だからこそ、この世界が分かる。共感できる。軽音楽部の人間の末路はリアルでこんな感じだったりする。まあ面白かった理由はそれだけかもしれないが。

自分の幸せを割り切ろうとして突っ走る種田のシーンは正直、かなり感情を揺さぶられた。

しかしその後、背負うものができた仲間たちの疾走も勇気をもらえるというかなんというか・・・本作を見て思ったことは、自由で背負うものがない無目的な生活よりも、何かを背負って生きてゆく方が素敵だってことだろうか。

まあ、どっちにしても救いはないのだけれど・・・なかなか文学的な一作だなあと、『ソラニン』、意外と楽しめた。2014-04-03_123528

豪華キャストが本気で演奏しているシーンを見るPVとしても魅力的かなと。

kojiroh

『謝罪の王様』(2013年、日本)―70点。豪華キャストで送る、前代未聞の謝罪コメディ映画


『謝罪の王様』(2013年、日本)―128min
監督:水田伸生
脚本:宮藤官九郎
出演者:阿部サダヲ、井上真央、竹野内豊、高橋克実、松雪泰子 etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

「舞妓 Haaaan!!!」「なくもんか」を手がけた主演・阿部サダヲ、脚本・宮藤官九郎、監督・水田伸生のトリオが再びタッグを組み、架空の職業“謝罪師”を主人公に描くコメディ。

名わき役として名高い俳優もパロディのように登場し、竹之内豊から松雪泰子まで登場するというバラエティに富んだ豪華キャスト。オムニバス・タッチの構成で描き出す、怪演謝罪映画。

●あらすじ
ヤクザな男の車相手に追突事故を起こしてしまった帰国子女の倉持典子。欧米の習慣が災いして、うまく謝罪できず泥沼に。そんな彼女が頼ったのは、“謝罪のプロ”を自任する東京謝罪センター所長、黒島譲だった。そして、黒島の見事な“謝罪”でどうにか窮地を脱した典子は、そのまま黒島のアシスタントとして働くハメに。やがて2人の前には、一筋縄ではいかない大小様々な難題を抱えた、ひと癖もふた癖もある依頼者たちが次々と現われるのだったが…。
<allcinema>

さて、結論からいうと、意外に面白かった!

まさか「ごめんなさい」をここまで面白おかしく描くなんて、その発想&アイディアが個人的にはわりとツボでした。2014-03-08_223632

あまり評価高くないけど、2時間は余裕で楽しめました。
まあ深夜ドラマレベルな内容ではあるが、謝罪代行会社の社長の黒島が、カフェをオフィスのように使って仕事を展開しているあたりが流行のノマドワーカーっぽくて共感できた。2014-03-08_223502

2014-03-08_224452

井上真央ってあまり知らなかったけど、とぼけた演技が意外にいいなと。阿部との名コンビっぷりが、新感覚探偵物語みたいな。オムニバス形式にしてるのも手軽に見れていいっすね。

高橋克美もぼけてて笑える。しかしすべてに何か下ネタがあるかんじがパロディ的でいいですね。マンタンなんかももろブータンで、しかしある意味、これはブータンをバカにしすぎで不謹慎な気もする。

日本に遊びに来る海外の王子とかも、北朝鮮っぽくて、実際にありえそうなところもなんかブラック。まあこの国の話はなくてもよかった気もするほど馬鹿馬鹿しいですけど、完全にギャグ映画として見るなら個人的にはありですね。

2014-03-08_223724

もろもろ日本映画の脇役の「顔」みたいな人々がたくさん出演してて笑えました。

竹之内がかっこいいし、こんなコメディ映画に出るなんて、それが豪華すぎてびっくり。2014-03-08_223426

役柄がもろアウトレイジと一緒の中野英雄とかもよかったですね、笑えた意味で。パロディにあふれてます。風刺的。

しかし映画じゃなくてもテレビドラマでよかったのではと思えるレベルの内容ではあるが、ANAの機内という暇つぶしにはもってこいの場所で見たからか、結構面白くて楽しめたというだけかもしれないが。

まとめとしては、くだらない映画の割にはよくできててオチもあって、出演者の息があってる感じのノリが予想外によかったなという次第でした。劇場で見る映画じゃないとは思いますが。

kojiroh

『アリラン』(2011年、韓国)―75点。天才監督の究極の自問自答自作自演ドキュメンタリードラマ

   
『アリラン』(2011年、韓国)―91min
監督:キム・ギドク
脚本:キム・ギドク
出演:キム・ギドク
【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

映画が取れなくなった、韓国映画の鬼才、キム・ギドク。
山奥に篭って一人作った究極の自問自答ドキュメンタリー『アリラン』。
カンヌ映画祭で「ある視点」部門を受賞した異色の話題作・・・ギドクの復活を告げる傑作とのことで、ようやくレンタルされ始めたので鑑賞した。

○あらすじ
ほぼ1年に1本のペースで新作を撮り続けていた韓国の鬼才キム・ギドクが、「悲夢」(2008)以来、映画界から遠ざかり、山中の一軒家で隠遁生活を送っていた自らの姿を捉えたセルフドキュメンタリー。カンヌ、ベルリン、ベネチアの世界3大映画祭でそれぞれ受賞を成し遂げたギドク監督が、国内での低い評価とのギャップや、仲間から受けた裏切りについてなど、内に秘めていた心情を吐露。「自らに疑問を投げかける自分」「それに答える自分」「それらを客観的に分析する自分」と3人の自分を演じながら心の内をさらけ出していく。

<映画.comより引用>

「レディ、アクション!」
すべてはここから始まり、ここから終わる。
究極の自問自答ドキュメンタリー。2014-01-15_193704

いや、ドキュメンタリーでもあり映画だ。キムギドクの天才っぷりが最も現れているのが本作かもしれない。
「本作はドキュメンタリーでもあり、ドラマでもあり、ファンタジーでもある」
POV的なのだが、それ以上に本物のドキュメンタリーの要素も含む。
完全な独白、第二・第三の自分がインタビュー質問を投げかける。
映画とは?国家とは?なぜ作るのをやめた?お前は一体、何をしたいのだ?
芸術系の映画監督という職業の孤独が伝わってくる。インタビューだけでもかなり魅力的で、貪欲な食欲でキムチとご飯とラーメンをかき込むように食べるギドク監督の姿も非常にユニーク。彼の生活と、命が吹き込まれている。2014-01-15_194020

それにしても、まさか自問自答を映画にするとは。
ある意味、ブレアウィッチプロジェクト以上の衝撃だ。
低予算で、自分でも作れるかもしれない・・・そう思わせるほどカラクリは単純であるが、随所に見られるギドク流のアイディアがすごいのだ。髪型を変えた自分自身、そして影。なるほど、この手があったのか!本当にギドク1人だが、2重3重の人格で、とても一人の人間しか登場していないと思えない。

2014-01-15_193743天才と呼ばれる映画監督・・・彼らは例外なくアイディアマンだ。
こんな映像遊びの手があったのかと驚かされる。

ある意味、本作はドキュメンタリードラマの革命かもしれない。
1人で山小屋に篭って、映画が撮れないことを映画にした3年間。
ブレア・ウィッチプロジェクト以上に低予算で、それでいて映画として完成されていて、芸術的なのだ。2014-01-15_193832

山小屋での自問自答の生活、仲間の裏切り、怒りを爆発させるように酒を煽って暴飲暴食、「アリラン」を歌い恨みぶし、人生の悟り、そして・・・ なんというか『タクシードライバー』の自問自答をも思い出すほど、普遍的な孤独がある。

自分もこういうアイディア映画を作ってみようかと創作意欲を刺激された一作だった。

kojiroh