『グランドイリュージョン』(2013年、米=仏)―70点。マジシャン強盗4人組 VS FBI スタイリッシュなだましドンデン系映画


『グランドイリュージョン』(2013年、アメリカ=フランス)―116min
監督:ルイ・ルテリエ
脚本:エド・ソロモン、ボアズ・イェーキン、エドワード・リコート
原案:ボアズ・イェーキン
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、ウディ・ハレルソン、メラニー・ロラン、アイラ・フィッシャー、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点
※リアルタイム映画評

原題、Now you see me.
「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグが、天才マジシャン集団のリーダーを演じるエンタメ・クライム・サスペンス。

マーク・ラファロ、ウディ・ハレルソン、メラニー・ロラン、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン・・・豪華な共演者と引き連れて、フランスの映画監督ルイ・ルテリエが描く傑作・・・との友人からの推薦があって、筆者は劇場にて鑑賞した。
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●あらすじ
“フォー・ホースメン”を名乗る4人組のスーパー・イリュージョニスト・チームが、大観衆が見守るラスベガスのステージで前代未聞のイリュージョン・ショーを披露する。なんと、遠く離れたパリの銀行を襲い、その金庫から320万ユーロという大金を奪い取ってしまったのだ。一夜にして全米中にその名を轟かせたホースメンだったが、FBIとインターポールの合同捜査チームは、すぐさま強盗容疑で身柄を拘束する。しかしトリックを暴くことができず、証拠不十分のまま釈放を余儀なくされる。そこで捜査チームは、元マジシャンのサディアスに協力を要請し、ホースメンのさらなる犯行の阻止とその逮捕に全力で取り組むのだが…。
<allcinema>

さて非常にスタイリッシュで、マジックシーンはなかなか秀逸。
ラスベガスの町でマジック。ショーを展開する場面なんかは映画館で見ると非常に迫力がある。

相変わらず早口でまくし立てるように口と頭をフル回転させてるジェシー・アイゼンバーグ。
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彼の人生の中で、最もイケメンな役柄かなと。しかし本作では主演というより、主演の1人と、あまり存在は大きくない。ゾンビランドでのウディとの絡みなんかも、過去の作品を思う出させる。

本作はマジシャン集団とトリックを見破るモーガンフリーマン、そしてFBIの3つ巴の戦い。

だが残念ながら助演の存在感の方が大きくて、貫禄負けしてました。
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深いしわでトリックを見破る場面なんかは面白い。
特に前半のスピード感は非常にエキサイティングだった。

あとメラニー・ロレン。彼女がいい味だしていた。イングロリアス以来に見ましたが。
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マークラファロも主演レベルで目立ってます。
むしろ助演が秀逸すぎてそっちに感情輸入してしまった。

あれ?フォースメンが主役のはずでは・・・まあ面白かったからいいけど、しかし本作は最後がダメだった。

ネタバレぎりぎりのところで曖昧に結論を言うと、
本作は非常にベタでもあるタイプのどんでん返し系映画である。

しかし、そのどんでん返しさのこじつけ感、意表はつかれたがそれがあまりにも不自然で、矛盾っぽくて、非常にがっかりだった。
むしろこのどんでん返しなかった方が面白くて自然だったんじゃないかと。

てわけで前半1時間ちょっとは80点なデキだったが、最後がちょっとねえ・・・、「スティング」とか王道どころのドンデン返し映画に比べると不自然で違和感というか矛盾さえ感じる。昨今のドンデン系作品で言うと、「シャッターアイランド」の方がよくできてたし、「インセプション」ほど複雑に計算されて観客に謎を提示するような拘りもない。

しっかし最初からおかしいとおもってたんだよなあ。
三下の脇役だったはずのあの人が主演レベルで目立ってたし、
バカの振りして最後はMost intelligent!ってのは、こいつどんだけ役者なんだよwwwという、ちょっと無理がありますね、僕は納得できませんでした。

「計算されつくしただまし」にしてはあまりに安易なオチがちょっと残念です。
こりゃ、二重の意味でミスディレクションだぜよ!

そんなわけで、本作のスピード感や世界観やキャラやマジックのヴィジュアルイメージがよかったのでより勿体無かったかなと・・・誰が主演かよくわからない映画だが、アイゼンバーグより、フランスのメラニー・ロランが個人的には主役です。

いや、彼女のフレンチな美しい演技を見れただけでももちろん、満足なんです。

とりあえず昨今のスターが演技合戦してるので、見ごたえある一本ではありました。

kojiroh

『ホワイトハウス・ダウン』(2013年、アメリカ)―75点。米国テロ一大スペクタクル。クソ中のクソ映画

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『ホワイトハウス・ダウン』(2013年、アメリカ)―131min
監督:ローランド・エメリッヒ
脚本:ジェームズ・ヴァンダービルト
出演:チャニング・テイタム、ジェイミー・フォックス、マギー・ジレンホール、ジェイソン・クラーク、リチャード・ジェンキンス etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点
*リアルタイム映画評

製作費1.5億ドル。クソ映画ラッシュのこの夏、最も注目されている1本。
クソ映画の金字塔・「インデペンデンス・デイ」「2012」のローランド・エメリッヒ監督がテロリストに占拠されたホワイトハウスを舞台に贈る一大スペクタクル。

ホワイトハウステロという政治的なテーマも内包していそうな、陰謀系大スペクタクルかつ150億近い製作費でエメリッヒ監督が作っているのでかなり期待ができるなと、筆者はまたしても劇場に足を運んだ。

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◎あらすじ
議会警察官のジョン・ケイルは、娘エミリーが憧れるジェームズ・ソイヤー大統領のシークレットサービスになるべく面接に臨むも不採用に。しかしエミリーの悲しむ顔を見たくないケイルは、一緒にホワイトハウスの見学ツアーに参加する。ところがその時、突然の大爆発とともに謎の武装集団が乱入し、ホワイトハウスを占拠するのだった。この大混乱の中でエミリーと離ればなれとなってしまったケイル。娘を助け出したい一心の彼は、やがてソイヤー大統領の窮地を救うと、2人で協力しながらテロリストたちに立ち向かっていくのだが…。
<allcinema>

さて所管、盛大に笑った。
これぞまさにクソ映画中のクソ映画。主演はそんなイケメンでもなく冴えないが、突然目覚めたように危機を勇敢に乗り越える。さすがエメリッヒ監督。クソ映画を突き抜けることで笑わせてくれる。

主演のチャニング・テイタム。
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エメリッヒ監督の作品って絶対に主人公がさえないが、危機的状況になるとき急に目覚める系なキャラが多い気がする。『2012』しかし。最初はダメだなと思うのだが、クソ映画らしい主人公の無敵なベタさが、だんだんと愛らしく思えてくる。

150億円ものカネがかかってるからスペクタクルとしても迫力ある。
ジャンゴのジェイミーフォックスの大統領役もなかなか笑える。エアジョーダンで出陣する場面なんかはシュールで受けた。全般的にサスペンスというかギャグ映画だと思える。てかホワイトハウスが簡単に乗っ取られすぎて、警備がザルすぎだろとか、裏切り者多すぎだろと突っ込みたくもなる。
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テロ現場のニュース報道、特に娘のyoutubeシーンなんかも現代っぽいシチュエーションで、「もしもホワイトハウスで人質テロが起きたら?」をリアルな疑似体験できる作りになっている。こういうスタイルはエメリッヒ監督の真骨頂かもしれない。

まあクソ映画にしては130分もあり、やや中だるみもだるいが、個人個人のキャラが立っていて面白い。娘が国旗を振ったりするシーンも爆笑ものでかわいく思えてく来るし、ツアーガイドが最後奮起した場面なんかも爆笑。ハッカーもイカレっぷりが面白いし、最後は謎に爆破しちゃうし、エメリッヒ監督はわき役に感情輸入したくなる映画が多いなと。

ブラックホークダウンのごときヘリ墜落から飛行機墜落。パニック映画の18番をこれでもかと盛り込んでくれる。

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*へリの墜落シーン。撃ち落とされるヘリはもろ『ブラックホークダウン』。

それにしてもエメリッヒ監督は、というか本作は、アメリカの陰謀を描きたかったのかもしれない。

ここ2013年に「エンド・オブ・ホワイトハウス」と共に、ホワイトハウス・テロを題材にした作品が相次いで作られたことは、何か意味があったのではないかと思う。

2013年、ボストンテロ事件が起きた。これは犯人が逮捕されたが、陰謀説があり、テロ警戒することで軍事費を調達するための自作自演だったという説もある。テロ事件を起こすことで既得権益を守ろうとする闇の勢力の存在は否定できない。アラブを敵対するとうより、アラブを敵対するアメリカ軍に対する皮肉がこもっているようにも思う。

このホワイトハウステロ事件も、そうした軍需系の利権団体と何かしら関係している気がする。実は表には出てないが、テロ計画が実施されようとした過去があるのかもしれない。表にはでていないが。

そんなわけで、カネをかけた迫力シーンを楽しめ、盛大に笑える場面も多々あり、さらに陰謀をも感じる、クソ映画としては大満足なデキであった。

kojiroh

『ワールド・ウォーZ』(2013年、アメリカ)―75点。最強Zombi戦争、大スペクタクル傑作

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『ワールド・ウォー・Z』(2012年、アメリカ)―116min
監督:マーク・フォースター
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン、ドリュー・ゴダード、デイモン・リンデロフ
原作:マックス・ブルックス『WORLD WAR Z』
出演:ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、ダニエラ・ケルテス、ファナ・モコエナ etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点
*リアルタイム映画評

1996年、インディペンデンスデイ
2003年、宇宙戦争
2007年、クローバーフィールド
2011年、世界侵略LA決戦。
…そして2013年。今年もまた、クソ映画の季節がやってきた!

新たなる伝説を!新たなる1ページを胸に刻み込め!
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「007 慰めの報酬」「ネバーランド」のマーク・フォースター監督が、マックス・ブルックスのベストセラー小説を映画化した一大スペクタクル。ブラットピッド主演、世界中でヒットした原作をもとに、ファミリー向け映画としても見れる、超大作に仕上がっていそう。

製作費は2億ドル。これはクソ映画であることは間違いないが、迫力あるクソ中のクソ映画で、友人と一緒に鑑賞するには楽しい映画ではないか。映画人同盟の誘いもあり、筆者はクソ映画の聖地・新宿ミラノ座へ足を運んだ。

◎あらすじ
突如発生した謎のウィルスが瞬く間に世界中へと広がり、各国の政府や軍隊が崩壊状態に陥る。元国連捜査官で、伝染病の調査や紛争国での調停役を務めた経験をもつジェリーは、旧知の仲の国連事務次官ティエリーに呼び出され、ワクチン開発の情報収集のため各国をめぐる調査隊に同行するよう依頼される。ジェリーは妻と娘2人を安全な国連指揮艦の空母にかくまってもらうことを条件に依頼を引き受け、ウィルスの謎を解明するため混乱する世界へ旅立つ。
<映画.comより>

無駄な家族場面が極力なく、情を見せる場面が少なく、そこが宇宙戦争とは違い、手に汗握った。
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速攻で世界がキナ臭いにおいに包まれる。
予想通りのベタベタな大混乱が速攻でやってくる。
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とにかく冒頭10分でもう物語が動き出す、そのスピード感は素晴らしいと思った。

トラック衝突シーンはベタすぎてなかなか笑えた。もうフラグ立っちゃうんだ?w 宇宙戦争もそうだが、家族団らん、車の中で、その突然のパニックが起きる。

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2013-08-21_142312周りのことそっちのけで車で逃げだす主人公家族の自己中な感じもなんだかいい。宇宙戦争的。世界は無秩序と化す、10秒で「Z」になる。なるほど、World war Zはゾンビ世界大戦か。

全体的に、自分がPlanBで買い取って作っている映画だからか、全般的にブラピのイケメンっぷりがかなり目立つ。顔のアップのシーンとか大いし、とにかくキレ者すぎるジェリー・レイン。あの混乱の中、よくいろいろと観察いてゾンビの弱点、謎を解き明かせるなと感心するほど。そんなとこがクソ映画らしい。

ヒロインはいるようでいない。奥さんの存在感も薄すぎ、全般的に家族の存在感が薄くて、かなりドライ。でもそれが無駄がなくて、ゾンビ映画を楽しみたい人にはいい。

舞台設定も豪華。世界である。原作に比べると取り上げ方がしょぼくはあるが、韓国、そしてイスラエル。ゾンビの謎を解くべき、ブラピは飛び回り、相棒の女性を救う。感染を防ぐために切断するシーンも痛々しいが、全般的に過去のゾンビ映画へのオマージュ、というか既視感を感じさせる作り。

だがやはり製作費が200億近いこともあり、大画面で見るとかなり迫力がある。
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ゾンビが最強すぎるてチームワークもすごくて笑えるのだが、まさか壁を乗り越えるとは!笑えるぜこりゃ!

あと音楽もいい。現代的な重鎮なテクノ感がクールで作風に合っている。
クソ映画ではあるが、筆者は本作の規模のデカさと、センス、そしてスピード感を評価したい。

一緒に鑑賞した映画人・マルクス氏も、クソ映画特有の一瞬で終わるベタベタなスペクタクルシーンを、だらだらとやらずに、観客の飽きる前にスピーディーに終わらせ、また次の目玉シーンを何発も出し、飽きる前に映画を幕引きさせた点がよかったと曰く。

筆者も同感で、たとえば「世界侵略LA決戦」のヘリコプター墜落シーンのような目玉シーンに匹敵する場面を、非常にスピーディーにカットし、余計な余韻やベタな感動シーンや家族のだんらんを極力、カットし、家族愛がどうのこうのよりも、ゾンビ映画として迫力あるアクション、パニックシーンを次々と投入し、素早いカットで最後まで緊張感持って進めていった印象がある。

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飛行機にまで迫るゾンビ。無敵すぎる。一匹いたらもうGame Over

終わりにしても、中だるみしたり、中途半端な感動シーンは最小限で、ドキュメンタリーテイストですっきりと、かつ次回作を彷彿させる期待感と共に、まだまだ戦いは続く!Fin。と終わらせてくれて非常に後味がよかった。

まあ原作と比較すると色々とつっこみもあるのだろう。

さらに本作のゾンビは異常なほど強い。
筆者が見た過去のゾンビ映画と比較すると、おそらく過去最強レベルである。
この強さがかなり興ざめ感もあるが、まあ今までないほど強いものを表現したところを評価したいなと。今までにない映像体験と言うと褒めすぎだろうが、総括するとスピード感、センス、過去のゾンビ映画&パニック映画もろもろのいいとこ取りのようなシーンを乱射しつつ、一本で2時間以内に収めた本作は、個人的には傑作クソ映画であった。

PS_大傑作と称される原作。文庫版も登場していた。

kojiroh

『愛、アムール』(2012年、オーストリア=仏=独)―70点。シルバー向け欧州的芸術映画

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『愛、アムール』(2012年、オーストリア=フランス=ドイツ)―126min
監督:ミヒャエル・ハネケ
脚本:ミヒャエル・ハネケ
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リバ、イザベル・ユペール、アレクサンドル・タロー etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点
*リアルタイム映画評

映画が1000円の1日に、筆者はカンヌを二連覇した『愛アムール』を見ることにした。「ピアニスト」「白いリボン」の名匠ミヒャエル・ハネケ監督。初めて見る監督なので前知識なしで挑むことにした。

カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞だけでなく米国のアカデミー賞でも絶賛されたアムールとは一体どんな作品なのか・・・。
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あらすじ
パリの高級アパルトマンで悠々自適の老後を送る音楽家の夫婦、ジョルジュとアンヌ。ところがある朝、アンヌが突然の発作に見舞われ、夫婦の穏やかな日々は終わりを迎える。検査の結果、病気が発覚したアンヌは手術の失敗で半身に麻痺が残る事態に。“二度と病院には戻りたくない”とのアンヌの願いを聞き入れ、ジョルジュは自宅での介護を決意する。自らも老いた身でありながら、これまで通りの生活を貫こうとする妻を献身的に支えていくジョルジュだったが…。

<allcinemaより引用>

極めてシンプルなストーリーである。この内容で2時間以上引っ張る必要があったのかと疑問に思うほど……。なんというか、高齢者向きのシルバー映画という所感。室内劇で動きがなく、淡々としていて若者にはつらい――。

だがしかし、高齢者、障害者、そうした老いと病気に苦しむ姿を極限まで詩的に、かつ残酷に描いている。
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小話と食事のシーン。寡黙な沈黙と表情、そして言葉を交えて昔話を繰り広げたり、ともかく最小限の舞台で、観客の想像力を駆り立てる傑作であることは間違いなく、随所で心の琴線を揺さぶる場面が多々あった。

イザベル・ユペールの悲劇への叫びもなんだか痛々しい。
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特に印象的だったのは、かつての弟子であるアレクサンドルが訪問する場面。シーンの切り替えが少なく、椅子に座りながら婦人を待ち、感情を抑えながら言葉を選んで婦人の悲報を慰めるような。そしてシューベルトを奏でる。特に工夫がある場面でもないが、絶妙な間と、あと、とにかくシーンで語る。

見方によっては寡黙で退屈な部分も多いが、紛れもなく傑作だといわざるを得ない。窓から入るハトなど、小道具を色々とつながってゆく。

個人的には、「あまりにも無能だった……」と介護師を追い払い、780ユーロを渡すシーンが妙に印象に残っている。老いの残酷さだけでなく、人間社会の残酷さが浮かび上がってくるようで、さらには若年層雇用とも繋がっている気もした。

監督の才気を持って丁寧に描いた「老い」と「死」、そして「愛=アムール」。
80過ぎた二人の演技のパワーには驚かされた。
タルコフスキー的と言うか、イングマール・ベルイマンの『野いちご』的でもあり、傑作だが、観るのに体力が必要。とても一般受けするとは考えにくい。そんな本作がここまで高評価されているのは、単に映画界の審査員とか、中年以上の人にはずっしり響く一作だからなのかもしれない。

あと相対的にハネケ以外の作品のレベルが低く、それによってカンヌ2連覇となったのではないかと筆者は結論。

kojiroh

『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012年、アメリカ)―70点。蛇足だらけの新鋭?ウェスタン

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『ジャンゴ 繋がれざる者 DJANGO unchained』(2012年、アメリカ)―166min
監督:クエンティン・タランティーノ 
脚本:クエンティン・タランティーノ
出演:ジェイミー・フォックス、 クリストフ・ワルツ、レオナルド・ディカプリオ、ケリー・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点
*リアルタイム映画評

タランティーノ3年ぶりの新作。レオナルド・ディカプリオ出演。第85回アカデミー賞で作品賞ほか5部門にノミネートされ、助演男優賞(クリストフ・ワルツ)と脚本賞を受賞した、黒人奴隷の復讐映画。

パートナーはドイツ人のクリストファ・ヴォルツ。
もうこの設定だけでタランティーノファンならお腹一杯になりそうな設定である。『キルビル』と、セルジオ・レオーネ的マカロニウェスタン、そして『イングロリアス~』のヴォルツがカムバック!的な。さらにはアカデミー賞でも脚本賞と二度目の助演男優賞を受賞したこともあり、さらに期待が高まり劇場へ足を運んだのだが…。
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◎あらすじ
南北戦争直前の1858年、アメリカ南部。黒人奴隷として売りに出されたジャンゴは、元歯科医の賞金稼ぎでキング・シュルツと名乗るドイツ人に買われる。差別主義を嫌うシュルツはジャンゴに自由を与え、賞金稼ぎとしての生き方を教える。ジャンゴには生き別れになったブルームヒルダという妻がおり、2人は賞金を稼ぎながら彼女の行方を追うが、やがて残忍な領主として名高いカルビン・キャンディのもとにブルームヒルダがいるということがわかり……

<映画.comより>

さて、所感、期待はずれなようで期待以上だった。
なんとも評価しずらい「外れ値」のような映画である。
部分的には90点、その他50点とでも言おうか。
まず音楽の鳴り方も構成も、センスはいいけれども監督の趣味に走りすぎて、はっきり言って革新的を超えてめちゃくちゃに感じた。そして上映時間・B級西部劇にしては尺が長すぎる。タランティーノなのでまあ退屈こそしなかったが、イングロリアスほど巨大な陰謀や大きな話ではないにも関わらず、2時間40分は辛い。

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だが前半のオープニングのカッコよさや、様々な西部劇の名作のオマージュを感じる演出には思わずニヤリ。特にオープニングはセルジオレオーネ的な、主役の男のハードボイルドな知的さを見せ付けるかっこよさがある。ヴォルツ演じるDentist、Dr.キング・シュルツのカリスマ性は、『イングロリアス~』のハンスランダほどとは言わないが、惹き付けられる。

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「ジャンゴ」は名ばかりのモチーフのような脇役であり、黒人差別を嫌悪し、知的な法的知識を持ち出し賞金稼ぎをするシュルツの生き様にこそ、本作の本質がある。

それにしても、映画館で見て面白かった。シーンの遠近の付け方、急なズームアップや、ビールを注ぐ極端なアップシーンと、緩急つけたカメラワークはレオーネ的であり、タランティーノ的な迫力がある。

そして馬が倒れて足が折れたり、銃で撃たれたり、絶叫の声があまりにも過剰で驚くと同時に迫力がある。イカれたキャラクターが突然吼えるように叫ぶ――ディカプリオの演技がまさにそんな感じ。意表を突く演技が面白かった。あとサミュエル・L・ジャクソンの怪演も忘れられなくなる。
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絶叫する脇役、ヴォルツとディカプリオの駆け引きなど、本作はめちゃくちゃであるが見所は満載だである。それだけに、蛇足の多さが非常に残念にも思う一作であった。面白くするためだろうがストーリーにも強引さがあり、わたしは最後まで「握手に腹立ったぐらいで人を撃つか?w」と突っ込みどころが満載だった。

まとめると『ジャンゴ』は、伝統的な映画の軸というかフォーマットを大幅にそれた革新的な映画とも言えるが、革新的であることは裏を返せばめちゃくちゃでもある。

やっぱり前作『イングロリアス~』が素晴らしかったこともあり、タランティーノに調子に乗らせてやりたい放題映画を作らすと、フォーマットを無視しためちゃくちゃな一作をかますものだ。ファンには喜ばしいのかもしれないが、わたしは本作を観て、映画の最低限のフォーマットに沿うことが重要であるなと確信させられた。

それにしてもドイツ人・ヴォルツとタランティーノのタッグが生み出すキャラクターは、どうしてこうも共鳴し合うかのようなカリスマになるのか。それだけは偉業である。

アウフ・ウィーダーゼン!なんてね。

kojiroh

『キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け Arbitrage』(2012年、アメリカ)―70点。投資家リチャード・ギアの闇

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『キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け Arbitrage』(2012年、アメリカ)―107min
監督:ニコラス・ジャレッキー
脚本:ニコラス・ジャレッキー
出演:リチャード・ギア、スーザン・サランドン、ティム・ロス、ブリット・マーリング、レティシア・カスタ etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

原題、アービトラージ ARBITRAGE。
2012年度のサンダス映画祭出品作。
日本では今年の3月に上映予定の、リチャードギア主演のゴールデングローブ賞ミネート作品。アメリカの金融ビジネスマンを主軸に添えた現代ドラマの話題作。そんな公開予定作品を、なんと筆者は運よく飛行機のB747-400に乗車した際に鑑賞できたのでレビューを書くことにする。

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◎あらすじ
マネービジネスの成功者として全米に広く知られる投資家ロバート・ミラーは、ロシアの銅山への出資で失敗し、巨額の損失を出してしまう。監査から隠ぺいするため緊急に調達した4億ドルも返済期限が迫り、会社を売却して資金を作ろうとするが、なかなか事はうまく運ばない。そんな時、ロバートは不注意で交通事故を起こしてしまい、同乗していた愛人ジュリーが即死。ロバートは事故現場から逃げ去るが、その姿を目撃されていた・・・。<映画.com>

なにやら実話を下にしたかのようなリアリティある物語。投資家として知られていた上位1%のリッチマンがスキャンダルを揉み消すという話。

誕生日のオープニング。そして一気に破滅へのフラグが立ちはだかる。その落差が絶望的で観客の五感を刺激する。次から次へと問題が起こり、娘から刑事まで、八方塞になる緊張感がなんともいい。
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ティム・ロスの刑事役が最もハマリ役だった。渋い。

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事件の揉み消しに奔走するリチャードギア。そして黒人の彼。
最後までどう転がるかわからない展開にはエンドロールまで楽しめた。そして金持ちのチャリティーというのがもしかすると本作のような形で、裏の事情があってこその慈善活動なのかもしれないと思えて面白かった。

リチャードギアにしてはかなり汚れ役で、金持ちのダーティーさが滲み出る狡猾な配役がなかなか見所。なんだかライオンヘアの白髪、そして顔つきが政治家の小泉純一郎のようだった。不敵な笑みを受かべるが、冷徹な仮面を被ったような笑顔がなんとも腹黒い政治家っぽい。

しかしまあ、ポップなテイストはなく、ブラックなストーリーであり、豪華キャストを使って良作には仕上がっているが、多分あまりヒットしていなく、日本での公開もかなり遅れているのだろうなと想像がつく、少し商業的には残念な映画である。個人的にはわりと楽しめたので満足であるが。

かつての『ウォール街』が描いたような、投資家としての成功と栄光と不正に焦点を当てたわけでなく、投資家の不祥事と負債を隠すために奔走する姿は、それ以上に滑稽でもあり、かつ2010年以降の世界不況後の世界を描いており、リチャードギアがマイケル・ダグラスの存在感に並べた一作かもしれない。

とにかく色々と興味深い一本でした。

kojiroh

『アジョシ』(2010年、韓国)―7.5点。ウォンビン版『レオン』


『アジョシ』(2010年、韓国)―119min
監督:イ・ジョンボム
脚本:イ・ジョンボム
出演者:ウォンビン、キム・セロン、キム・ヒウォン、キム・ソンオ etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

『母なる証明』に次ぐ、ウォンビンの復帰作第二段。
韓国ではその年のNo.1ヒットを記録し、大鐘賞で主演男優賞を獲得したアクション映画。

不幸な少女を助けるために、わけありの強いおじさん(アジョシ)が立ち上がる…。

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●あらすじ
街の片隅で質屋を営み、人目を避けてひっそりと生きる孤独な男テシク。ところが隣の少女ソミは、そんなテシクを慕い、何かと店に入り浸っていた。迷惑がりながらも、クラブダンサーの母親に構ってもらえず孤独なソミを不憫に思い、冷たく突き放すことができないテシク。ある日、ソミの母親が犯罪組織から麻薬を盗み出したばかりに、母子は組織に狙われることに。組織の男たちは母親が預けたカバンを取り戻そうと質屋にやって来るが、テシクは驚異的な身のこなしで反撃する…。
<Allcinema>

とりあえずウォン・ビンはカッコイイし、最高にクールな映画だ。
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韓国版、いや、ウォンビン版『レオン』というデキ。
中年と幼い子供という組み合わせがなんともベタなようで、意外と目新しい韓国エンターテイメントに移った。臓器売買の密輸と児童の人身売買。テーマとしても、マフィア映画としても楽しめる。

なにより最初から最後までとにかくハードボイルド。激しいカットとスピーディーな展開。近年の映画で比較すると『ドライブ』に負けぬ男の美学が満載である。
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前半のスピード感・疾走間はとにかく圧巻だった。
カット割りもかなり早く、登場人物も多く、力技で一気に引き込まれた。

「アジョシー、アジョシー」と叫ぶキム・セロン。
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けっして、ナタリーポートマンのような美女ではない。キレイとは言えないが、愛くるしさがあり、なんだか可愛い。韓国の幼い女の顔つきの本質を感じる。

悪役もなかなか悪くて見応えあった。無駄に強いベトナム人がいたりと、雑魚からラスボスまで、そのへんはベタなアクション映画のフォーマットを辿っている。

さらには「アジョシ」=おじさん、という意味も理解でき、韓国理解が深まる映画でもあった。

とにかく、復帰したスター、ウォンビンのために作られたような映画でありつつも、韓国エンタメ映画としてもよくできた一作だと思った。

ま、この手のスピーディーな物語のわりには少し長くて、後半は失速感があり、くどい節もあった。がしかし、2部構成のような、ウォンビンが髪を切ってまで挑んだ痛快アクションのかっこよさに+0.5点ってとこ。

個人的にはウォンビンは髪が長めの方がクールだと思った上に、前半のスピード感がよかったので、ちょいおしい映画だったなと。

kojiroh

『運動靴と赤い金魚』(1997年、イラン)―7.5点。笑いあり涙あり、イラン庶民の生活


『運動靴と赤い金魚』(1997年、イラン)―88min
監督:マジッド・マジディ
脚本:マジッド・マジディ
出演:ミル=ファロク・ハシェミアン、バハレ・セッデキ、アミル・ナージ etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

イラン映画の存在感を世界に知らしめた代表的な一作と名高い、『運動靴と赤い金魚』。モントリオール世界映画祭でグランプリを含む4部門を受賞、第71回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート。ツタヤの良品発掘でも取り上げられていたのでレンタル鑑賞。

イランの庶民の貧しさと貴高い暖かさを感じる、なんというかハートウォーミングな物語。

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●あらすじ
少年アリは修理してもらったばかりの、妹ザーラの靴を買い物の途中でうっかり失くしてしまう。親にも言えず、兄の靴一足しかない兄妹は、それを共有することに。妹がまずアリの運動靴を履いて登校。下校途中で待ちあわせて、今度はアリが履いて登校するという具合。そんなある日、小学生のマラソン大会が行われることに。3等の賞品はなんと運動靴。アリは妹のために3等になろうと必死に走るのだった……。
<allcinema>

イランという国の理解を深められる映画。
なんというか、あらゆる部分で感情が揺さぶられた。
繊細な映像で庶民の貧しくも勤勉に勉強したり、新しい仕事に挑んで働いたり、ともかく頑張って奮起しようとする描写が多く、見ていて応援したくなる。

とにかく、兄弟ともによく走った。無垢な表情で一生懸命走る姿には胸を打たれる。
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学校で先生に向かって手を上げて質問したり、謝ったり、肌の色が黒く大きな目。日本人とはまるで違うが、その真面目さや一生懸命さはイラン人の本質であり、日本にも通じる部分があるのかもしれない。

兄弟愛の普遍的な形をまさかイラン映画が示すとは。
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靴音がなんだか忘れられないほど繊細だった。
運動靴をここまでうまくモチーフにできるとは。

時代はよくわからないが、近代とは思えぬ貧しさというか資本主義化していない未開の地ならではなの優しさが残っている。アラブの国でインドっぽいがやはり違う。そこまで饒舌でもなく、意外に真面目で勤勉な国民たちなのかなと思わされる。

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マラソン大会。
芝刈りの新規の仕事を求め自転車で駆け回ったり。とにかく、本作のイラン人の一生懸命さは笑えるし泣けた。貧しくも頑張っている人々の姿というのは国境を越え、無条件で胸に響くもんだ。

本作の普遍性と、イラン映画の質の高さを示した、非常に重要なイラン映画として歴史に刻まれている映画であることが十分、納得できた。

だが本作のタイトルがちょっと微妙だったように思える。
運動靴の物語であり、赤い金魚はさしたるモチーフでもなければ、どういう関連性があったのか、未だによく分からなく、「?」が残ったところ。

kojiroh

『デッドコースター Final distination2 』(2003年、アメリカ)―7.5点。進化版・人気ホラーコメディスプラッター


『デッドコースター Final distination2 』(2003年、アメリカ)―90min
監督:デイヴィッド・エリス
脚本:J・マッキー・グルーバー、エリック・ブレス
出演:: A・J・クック、アリ・ラーター、マイケル・ランデス、トニー・トッド etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆/ 7.5点

幸運にも大事故を逃れた生存者たちに死神の間の手が忍び寄る……。

そんなテロップと奇抜な死に方が独創的で面白い人気シリーズ『ファイナル・ディスティネーション』シリーズの第二作。

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原点的なのは第一作であるが、
死に方のグロさと面白さは、第一作からさらに進化した一作であった。
監督は後の第四作『ファイナルデッドサーキット』を手がけるD・エリス。

◎あらすじ
キンバリーはこの日、友人たちとドライブ旅行に出掛けた。しかし、キンバリーの運転する車がハイウェイに差し掛かった時、彼女は突然恐ろしい予知夢を見る。それは、ハイウェイ上を疾走する大型トラックの荷台から落ちた巨大な丸太が後続車に激突したのを皮切りに、周囲の車が次々と衝突、炎上、最後にはキンバリーたちもその犠牲に遭うという凄惨な連鎖事故だった。そして、我に返ったキンバリーは事故を未然に防ぐため、周りを顧みずに突然自分の車でハイウェイの入り口を封鎖するのだが…。<All cinemaより>

前作の180便の正式な続編とも呼べる。1年後を描き、かつ前作の話との関連性を描いている点がいい。クレアが生きていて一緒に奮闘する流れも前作のファンとしては嬉しい限り。

冒頭のカーアクション・クラッシュ・スプラッターシーンは飛行機の爆発よりも迫力がありよくできていると思う。丸太が顔面直撃する人体破壊シーンや、バイクが衝突したり、グロいけれども瞬時に惨殺され、さっぱりしている。そして悲惨すぎて笑える。

さて、何と言っても本作は主人公が可愛い。

A・J・クックの美人な主人公がグロテスクな映画でなんとか悲劇を回避しようと、刑事のマイケル・ランデス、さらには前作のクレアさんのアリラータと一緒に奔走する姿がなんとも可愛いのだ。2013-01-05_135807
こうしたグロ映画は主役がどれだけ可愛いかによって結構面白さが変わってくると思った。

あとトニー・ドットが出てこないと、やっぱり『ファイナルディスティネーション』って感じがしないよね。短時間しか出演しないが彼の宣告者的なポジションはB級で笑える。
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また他にも脇役というか死んでしまう運命にある人々もキャラが濃くて面白く、感情輸入できる。そんな彼らが残酷な死に方を細部まで描かれ、まあ残念だけど愉快でもはやコメディ的になる。

エレベーターで首チョンパのシーンなんかはもはや可哀想だけど笑えた。バイオハザードの映画を思い出すほどに。
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宝くじが当たった男エバンの死に方なんかもかなり笑える。水道の排水溝に手がはさまる間に状況がどんどんおかしくなり、じたばたして最終的にはうまく脱出できたと思いきや、『サンゲリア』を彷彿させるような目玉クラッシュ……。死に方のオチが全般的に秀逸だ。ひっかけ的な要素が多くて楽しめる。

まあ完全に一発ネタというかシチュエーション映画なので、この手のシリーズを何本も見ているとさすがに飽きてくる。

がしかし、スプラッターとホラーコメディとしての融合を成し、前作の流れを付け継ぐ本作は、シリーズの中でも屈指のデキだと思う。

_PS
あと音楽がいいね。ロックで、かつエレクトロニックな響きが、鑑賞後にもう一度聴きたくなりyoutubeを漁ってしまったとさ。

kojiroh

『マッハ!!!!!!!!』(2003年、タイ)―7.0点。驚愕のムエタイ・アクション映画


『マッハ!!!!!!!!』(2003年、タイ)―108min
監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
脚本:スパチャイ・シティアンポーンパン
出演:トニー・ジャー、ペットターイ・ウォンカムラオ、プマワーリー・ヨートガモン etc

【点数】 ★★★★★★★☆☆☆/ 7.0点

とりあえず一言。アクションすげええ!!

早回し、CGやワイヤー、スタントマンなどを一切使わずムエタイで培われた技術と肉体のみによって作られた驚愕のアクション映画。

主演のトニー・ジャーはタイのジャッキーチェンのような領分。

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◎あらすじ
敬虔な仏教徒たちが暮らすのどかなタイの田舎の村である日、村の信仰の象徴である仏像“オンバク”の首が切り落とされ、盗まれてしまう。犯人は、コム・タン率いるバンコクの密輸団と手を組むこの村出身のドンと判明。以来、村人たちは悲嘆に暮れ、災いの到来に怯える日々。そこで村の長老たちは、古式ムエタイを極めた最強の戦士・ティンに“オンバク”の首の奪還を要請した村の切実な希望を託されたティンは、さっそくドンの捜索にバンコクへと向かうのだが…。<Allcinemaより>

奪われた仏像を求めてバンコクへ。仏教国らしいストーリーが単純だけれど物珍しく感じる。
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大都会で金にまみれてイカサマを繰り返す昔の村人と、都会で汚れた心を田舎のティンが浄化するような単純明快な話だ。仏像を求める話ではあるが、田舎の修行僧の仙人のようなムエタイファイターが、拝金主義のバンコクを成敗するかのごとく、激しいノンスタントアクションでバンコクの街をマッハで駆け巡る。

タイでおなじみの乗り物・トゥクトゥクがアクションで使われて壮大にクラッシュするシーンなんかはタイ独自のもの。
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めちゃくちゃだがそれを超人的なアクションで押し切る。
とにかく力技。よくここまでできたなと驚きの連続であった。

まあ一言で言うと、98%トニー・ジャーの映画です。
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ぶっちゃけストーリーなんてあんまり面白くない。あるようでないようなもの。つまりアクションさえ楽しめればいいですって映画だ。

無駄に敵が最後までしぶとく、ハリウッド的なべたべたな展開でちょっとうっとおしくもある。

とにかく前代未聞のムエタイ・アクションを前編で見れて、タイのバンコクの町並みや文化を見れる点はタイ好きな筆者としては非常に満足のいく一作であった。

kojiroh