『スノーデン』(2016年、アメリカ)――80点。続・シティズンフォー、サイバーサスペンス映画


『スノーデン』(2016年、アメリカ)――135min
監督:オリバー・ストーン
脚本:キーラン・フィッツジェラルド、オリバー・ストーン
原作:ルーク・ハーディング『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実(英語版)』
アナトリー・クチェレナ(英語版)
『Time of the Octopus』
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、シャイリーン・ウッドリー、メリッサ・レオ、ザカリー・クイント・・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

※リアルタイム映画評

シティズンフォーに続き、見るべき映画としてようやく公開された、エドワード・スノーデンの物語。

ハリウッドを代表する社会派監督オリバー・ストーンが、アメリカ政府による個人情報監視の実態を暴いた実話を、ジョセフ・ゴードン=レビット主演で映画化。

◎あらすじ

2013年6月、イギリスのガーディアン誌が報じたスクープにより、アメリカ政府が秘密裏に構築した国際的監視プログラムの存在が発覚する。ガーディアン誌にその情報を提供したのは、アメリカ国家安全保障局NSAの職員である29歳の青年エドワード・スノーデンだった。国を愛する平凡な若者だったスノーデンが、なぜ輝かしいキャリアと幸せな人生を捨ててまで、世界最強の情報機関に反旗を翻すまでに至ったのか。テロリストのみならず全世界の個人情報が監視されている事実に危機感を募らせていく過程を、パートナーとしてスノーデンを支え続けたリンゼイ・ミルズとの関係も交えながら描き出す。
<映画.com>

スノーデンの物語は実によくできており、しかも実話であるからこそ驚くべきだと思う。

29歳の彼の人生そのものが、美しいドラマである点が、ドキュメンタリー・シティズンフォーでも感じたが、驚くべく、見るべき内容だと思う。

もちろん、諜報機関のビジネスを、生い立ちからジュネーブ、日本、ハワイ、最後は香港まで駆け抜けていくストーリーは圧巻です。うまくロケで勢いがありました。

サイバー世界での具体的な諜報システムのシーンなどは、実際の生活に照らし合わせると怖くなるほどリアルで、この怖さが本作を優れたサスペンス映画にしている。

トレードマークのルービックキューブも、本当に彼の立ち振る舞いそれ自体が映画的。

ともかく、オリバーストーンがこのような映画を作れて公開できたことが、世界がまだ守られている証拠のように感じられる。だが、警告として成り立つメッセージ性の強い映画だった。

オバマから、さらにトランプ大統領へのアメリカの言及もあり、日本での活動内容もあるので、面白いさ以上に見る価値のある映画だったと感じる次第。

ともかく、アメリカの政治と軍産という存在を強く理解させられる。

それにしても、唯一気になるのが、主演のジョセフゴードンやシャイリーンウッドリーよりも、実物の彼らの方が美男美女で絵になることでしょうか。こればかりは、事実は小説よりも奇なり、という言葉を思い出すばかりであります。

暫定、今年NO.1 社会的に見るべき映画でした。
kojiroh

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『セッション』(2014年、アメリカ)――85点。映画史を塗り替えた?音楽映画


『セッション』(2014年、アメリカ)――106min
監督:デミアン・チャゼル
脚本:デミアン・チャゼル
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ
出演:マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、ポール・ライザー、メリッサ・ブノワ、オースティン・ストウェル・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

ずっと前から名作と話題になっていたが、劇場で見るのを忘れていたセッションをようやく鑑賞。

一流のドラマーを目指し名門音楽大学に入学した青年がの音楽青春ドラマ。マイルズ・テラー、鬼気迫る演技でアカデミー助演男優賞をはじめ映画賞を総なめにしたJ・K・シモンズ。

監督は、長編2作目、若き天才映画監督、デイミアン・チャゼル。

◎あらすじ
偉大なジャズドラマーを夢見て全米屈指の名門、シェイファー音楽院に入学したニーマン。ある日、フレッチャー教授の目に止まり、彼のバンドにスカウトされる。そこで成功すれば、偉大な音楽家になるという夢は叶ったも同然。自信と期待を胸に練習に参加したニーマンだったが、そんな彼を待っていたのは、わずかなテンポのずれも許さないフレッチャーの狂気のレッスンだった。それでも頂点を目指すためと、罵声や理不尽な仕打ちに耐え、フレッチャーのイジメのごとき指導に必死で食らいついていくニーマンだったが…。
<allcinema>

薄暗く、泥臭いほど血の匂いがしそうなドラム練習室でのシーンはデビッドフィンチャー映画のような迫力がある。

出演者全員が実際に演奏をしており、音楽経験者がそろっていることもあり、ジャズの演奏シーンは本当に迫力があり、監督自身もよく音楽をわかっている人なのだなと実感できました。

主演もいいですが、なんといっても本作は助演のフレッチャー教授が圧巻。

オスカーも納得。こんないい助演男優賞は、イングロリアスバスターズのクリストファ・ボルツ以来じゃないかなと。

狂気と殺意の中で、理想の音楽を目指す2人の姿には、同じく音楽をやっている筆者の共感を誘い、心の深い部分に入ってくる映画でした。

人を殺すような気持ちで音楽をやることが、音楽の発展へとつながり、それが次なるチャーリーパーカーを生むのかもしれない。

今の時代は甘すぎる、ジャズが死んでしまう、無能はロックをやればいい・・・ところどころ散りばめられる、音楽をやっていた監督が訴えかけたいようなメッセージがひしひしと伝わってくる。

音楽という夢を追う若者のストイックさに、とにかく胸を打たれる映画です。

ひたすらひたすら練習、練習、そして練習。マイルスデイビスの言葉を彷彿させる、憧れの職業、ミュージシャンの本質がここには表現されている。

 

ただそれ以上に、フレッチャーの狂気が蔓延して、もはやホラー映画とも思える怖さを感じてしまった。

結論をいうと、本作は映画史に残る、サイコパス映画だと言えよう。

近年のサイコパスが主役の映画では、ゴーンガールなどもあったが、本作はオスカー受賞したJKシモンズのフレッチャー役のインパクトがすさまじい。実際に見た後、夢に出てくるほど、トラウマになるほど強烈である。

まったく善人でもなければ理想は高く、理解されないほどの音楽への情熱は持っているが、やっていることは犯罪者のような、冷酷非道。いわばサイコパスだが社会的に成功しうる人物の特徴を見事にとらえていると思う。

社会的に成功しているサイコパス映画でウォール街などがあげられるが、それもはるかに上をいくほど、鬼気迫る迫力のサイコパスが、フレッチャー教授だと思う。

最後の9分は映画の歴史に残ったと言われるが、4分間のピアニストなどの例もあり、確かに素晴らしいエンディングで衝撃的で、見るべく人が見れば映画史の事件だろう。

106分、スピーディーかつ情熱的、危機迫る内容で無駄は一切なく、完璧な映画、古臭いテーマなようで現代チックで音楽の選曲も素晴らしく、90点以上に値する映画だと思うが。

ただ、やはりサイコパスなフレッチャー教授がトラウマになりそうな映画で、何度も見たいとは思えず、85点映画にしました。でも音楽映画でここまで完璧な映画はまれだと、4分間のピアニスト以来の秀作だと思います。

kojiroh

『沈黙 サイレンス』(2016年、アメリカ)――80点。スコセッシ新作、宗教とグローバリゼーション

『沈黙 サイレンス』(2016年、アメリカ)――162min
監督:マーティン・スコセッシ
原作:遠藤周作
脚本:ジェイ・コックス、マーティン・スコセッシ
撮影:ロドリゴ・プリエト
出演:アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライバー、浅野忠信、キアラン・ハインズ、リーアム・ニーソン、窪塚洋介、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

※リアルタイム映画評

スコセッシが長年、構想してきて、映画化されるという噂は耳にしてたが何年も待っていてすっかり忘れてた時期、2017年ようやく公開ということで、見に行きました。劇場。

遠藤周作の小説「沈黙」を、「ディパーテッド」「タクシードライバー」の巨匠マーティン・スコセッシが映画化。オール台湾ロケによる17世紀の日本の映像。アンドリュー・ガーフィールドをはじめ、キチジロー役の窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシといった豪華日本人キャストが集結。

◎あらすじ
キリシタンの弾圧が行われていた江戸初期の日本に渡ってきたポルトガル人宣教師の目を通し、人間にとって大切なものか、人間の弱さとは何かを描き出した。17世紀、キリスト教が禁じられた日本で棄教したとされる師の真相を確かめるため、日本を目指す若き宣教師のロドリゴとガルペ。2人は旅の途上のマカオで出会ったキチジローという日本人を案内役に、やがて長崎へとたどり着き、厳しい弾圧を受けながら自らの信仰心と向き合っていく。
<映画com>

BGMがあった記憶がない、静かで幽玄な自然美の映画であったが、突然始まる虐殺などの暴力シーンとのギャップに衝撃を受ける。

音楽はほとんどなくおとなしい、まさに沈黙の映画だが、2時間半という長さを感じないほど、寡黙だが強烈な暴力シーンが刺激的であり、言葉や演技、自然美の力を感じる。

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ポルトガルからマカオ、そして日本へ。奴隷貿易等の歴史がある、日本マカオのキリシタン時代を思い出す。

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主演のガ―フィールドも力のあるいい演技をしているのだが、なんだかんだで本作は日本人役者が西洋役者を食っているように感じる。グッドフェローズのレイリオッタみたいなもの。

強烈な個性と狂言役者的な立ち回りをする窪塚洋介。

「パードレ」という言葉の響きがなんとも強烈で、頭に残っている。

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2017-03-05_173319特に迫力があったのが、井上様役のイッセー尾形。全然知らなかったが、本作で最もいい演技してて、ものすごく迫力ある貫禄の役どころだったと思います。

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ヒール役ではあるが、知的で、かつ迫力がある。その他の役者も豪華なラインナップで、日本映画の顔が揃っているなと。

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テーマとしては非常に深く、信仰と大衆支配、神と救いであったり、政治と宗教、そしてグローバリゼーションという領域まで本作が問いかけるトピックは広がっており、原作の良さもあるが、17世紀を舞台に宗教とグローバリゼーションに大きな問いかけをしているようにも思えてくる。BREXITやトランプ大統領時代の反グローバリゼーションがトレンドになりつつある今の時代において、本作が上映されたことは、ある意味ではぴったりなテーマ&メッセージかもしれない。

それにしても高齢のスコセッシのエネルギーには圧倒されます。

もう80~90点クラスの映画を何本も作ってるのに、強欲な男たちを描いたウルフオブウォールストリートに次いで、次は180度変わって宗教テーマの寡黙で残酷な一作品。

日本人俳優もうまく使っており、彼が敬愛してる黒澤の域にはすでに到達している気がしました。

それにしても、金融の時代から一気に宗教の時代へ転換してきたスコセッシ監督の歴史自体が興味深い一本でした。

kojiroh

『ザ・コンサルタント』(2016年、アメリカ)――85点。ニュータイプのアンチヒーローストーリー

『ザコンサルタント』(2016年、アメリカ)――128min
監督:ギャヴィン・オコナー
脚本:ビル・ドゥビューク
製作:マーク・ウィリアムズ、リネット・ハウエル・テイラー
出演:ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、J・K・シモンズ、ジョン・バーンサル・・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

※リアルタイム映画評

The Accountant

ザコンサルタントという今風な題名と、ベンアフレック主演というテーマに引かれて鑑賞。

ハリウッドありがちなクソ映画だと思って観ましたが、ずばり、想像以上に面白くてびっくりしました。

◎あらすじ
田舎町のしがない会計士クリスチャン・ウルフには、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切り、年収10億円を稼ぎ出す命中率100%のスナイパーというもう一つの顔があった。そんなウルフにある日、大企業からの財務調査の依頼が舞い込んだ。ウルフは重大な不正を見つけるが、その依頼はなぜか一方的に打ち切られ、その日からウルフは何者かに命を狙われるようになる。
<映画.com>

王道のハリウッド路線で進むが、何か普通とちがう。
重苦しく、デビットフンチャー監督のようなダークな映像に、寡黙で神経質な主人公の異様なライフスタイルなど、アスペルがー的な人間としての共感を誘える部分もある。

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ベンアフレックというと、ユダヤ系で、自分自身もブラックジャックでカウンティングできることで有名なカジノプレイヤーであえるが、そんな彼の超ハマリ役でしょう。

数学の天才。自閉症・・・殺しのプロ。会計術もすぐれており、ガラスを使ってマーカーで計算するシーンのかっこよさは異常でした。こんなアンチヒーロー像をわれわれは待っていたのかもしれない。

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月曜日に生まれて、
火曜日に洗礼を受け、
水曜日に結婚して嫁をもらい、
木曜日に病気になった
金曜日に病気が悪くなり危篤
土曜日に死んだ
日曜日には埋められて・・・

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ところどころで散りばめられる呪詛のようなキーワードが、主人公の存在を大きくするフラグになっており、正直、すごくよくできた、サスペンスアクションだと思います。

終わり方はかなり雑な気がするのですが、展開のスピード感はかなり興奮しました。

各々の節税・不正会計スキームも、そういう金融な話が好みなわたしにとってはツボ。

また、The会計士シリーズで続編を待望したくなるほど、ベンアフレックの会計士、面白かったです。

kojiroh

『君の名は。』(2016年、日本)――80点。青春×SFサスペンス、新感覚アニメ映画

2017-01-04_214833監督:新海誠
脚本:新海誠
原作:新海誠
製作:川村元気、武井克弘、伊藤耕一郎
音楽 RADWIMPS
出演者:神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみ、市原悦子・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

※リアルタイム映画評

日本のみならず、世界中で大ヒットと大絶賛を記録している、Your name

劇場には足を運ぶことのなかった筆者であえるが、このたび、飛行機の中で視聴することが出来たので、レビューを書きます。

○あらすじ
。1000年ぶりという彗星の接近が1カ月後に迫ったある日、山深い田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉は、自分が東京の男子高校生になった夢を見る。日頃から田舎の小さな町に窮屈し、都会に憧れを抱いていた三葉は、夢の中で都会を満喫する。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていた。心と身体が入れ替わる現象が続き、互いの存在を知った瀧と三葉だったが、やがて彼らは意外な真実を知ることになる。
<映画Com>

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ずばり、文句なく面白い!!
そしてキャラクターがみんな愛らしく、感情輸入でき、とにかく可愛いです。

男も女も、うごきやしぐさ、日常的な何気ない仕草が本当に可愛いなと、昨今の日本アニメのクオリティの高さに関心しました。

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ぶっちゃけ、キャラはかわいいけど、主人公が入れ替わる日常が繰り返されて、日本の首都圏一極化と過疎化を象徴するような現代テイストな入れ替わりモノかなと思っただけで、興味深さを感じつつも、少し陳腐だとも思っていました。

しかし、後半です。

すべては後半の、青春ドラマから一気にSFサスペンス路線へ進むストーリー展開は圧巻でした。

深海監督がアニメ会のタランティーノだと賞賛される理由もうなずける。

ぶっちゃけ、青春ドラマとサスペンスを融合させて、絶妙な温度感でコラボしており、めちゃくちゃ面白かったです。

10年に一本ぐらいの傑作かもしれない。

個人的に奥崎先輩のキャラが萌えました。

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そうした青春ドラマの萌え要素ありつつ、一気にサスペンス路線へ駆け抜ける展開が圧巻で、かつソウルメイト的な、人間の魂の存在や輪廻転生を訴えかける、過疎化に便乗して伝統的な仏教的価値観のようなシャーマニズムというか、とにかく人間の魂の存在を伝えようとする熱があり、素直に感動しました。

といっても、筆者はアニメ映画ぜんぜん趣味ではないので、まあ、83点ってとこです。

あと、うるさくポップに鳴り響く RADWIMPSの音楽が個人的には安っぽくて致命的に嫌な点でした。アニメアートになりそうな作品だったのが、急に安っぽくさせている気がしてしょうがない。

けど、だれもが一見の価値ある太鼓判アニメ映画です。シンゴジラみるよりこっちですね。

ともかく、2016年は面白い映画がありすぎました。

kojiroh

『シンゴジラ』(2016年、日本)――80点。12年ぶり、新感覚・ゴジラ映画


『シンゴジラ』(2016年、日本)――114min
監督:庵野秀明(総監督)、樋口真嗣(監督・特技監督)
脚本:庵野秀明
音楽:鷺巣詩郎、伊福部昭
出演者:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、市川実日子、高橋一生・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

※リアルタイム映画評

『シン・ゴジラ』・・・2016年7月29日公開の日本映画で、ゴジラシリーズの第29作、『ゴジラ FINAL WARS』以来約12年ぶりの日本製作のゴジラシリーズ。

さて、豊作映画が多い筆者はよく劇場へ行くが、予告編を見て是非見たいと思った映画の1つでもある、シンゴジラが評判がいいので、ポケモンGO→シンゴジラ、というブームの流れを感じ、さっそく劇場で鑑賞した。

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◎あらすじ
2016年日本映画。ある日突然東京湾で水蒸気爆発が起きた。すぐに総理の耳にも入り慌ただしく動く日本政府。その原因は海の中に潜む巨大な生物ゴジラだった。目的も正体も分からないその生物ゴジラに翻弄される日本。そんな中内閣官房副長官を務める矢口はその存在に対抗する術を見つける。しかし遠くの国の人間は核を使い街もろとも破壊しようと考えていた
<映画ウォッチより>

まず、こんな怪獣映画、観たことがない、という衝撃があった。

ゴジラシリーズなのに、妙にグロテスクで、巨大生物を会議~メディア報道で真実を解明してゆき、その解決策をさぐるという流れなのだが、国際社会を舞台にして、妙にリアルでありつつ、シュールに物事が完了の会議と共に進んでゆく。2016-08-05_140917

これはゴジラという大スペクタクルを舞台にしつつ、会議映画であり、人間ドラマにもなっている。

今風なオタクで早口なキャラも登場し、頭の回転が速い系のストーリー進行になり、とにかくスピーディーで盛り沢山だった。

登場人物もすごく豪華で、日本映画の名わき役といえるような俳優がここぞとばかり出演している。

柄本明、大杉漣、國村隼、ピエール瀧、さらにどこで出てたか分からないところで、KREVAとかいるし、シンゴジラはすごい映画プロジェクトだったんだなと関心。

 

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ハードワークに危機に対して仕事を進める中でこんなせりふを言う。

「日本はまだまだやれる。捨てたもんじゃない」

この映画を見て、わたしは邦画を馬鹿にしている人間であるが、同じような感想を抱いた。日本でこんな面白い実写映画が作れるのだなと。

ただキーマンは、アニメ出身の記載の庵野監督のセンスが全てだろうと思う。

キレのフォントを駆使しつつスピーディーに物語が進み、グロテスクな怪物が進化してゆく中での人間ドラマは、エヴァ的だなあと本当に関心しました。2016-08-05_141311

ものすごい制作費をかけていそうだが、なんと15億円で作った模様。

実写映画の邦画は基本的にGOMIばかりだと思っているが、アニメや漫画畑出身の鬼才が実写を作るとなかなか傑作が生まれるものだなと。

今後も庵野監督の実写映画に期待したいと思います。

原発事故の当時のニュースを思い出させらるようなシーンも。2016-08-05_1412132016-08-05_141111

それにしても、目が丸出しのグロテスクなゴジラが大田区を進行して瓦礫まみれになる光景なんかは、311など大地震を彷彿させるデキバエで、劇場で見てよかったなと思える一作でした。

 

追記、尚、モノのクローズショットなど、商業映画とは思えない芸術的な表現も散りばめられていて、EVAを作った監督だからこそ、実写でもその芸術性を活かしている点が素晴らしいと思いました。

kojiroh

『ディパーテッド』(2006年、アメリカ)―85点、リメイク元を知らなければ超傑作クライム映画


『ディパーテッド』(2006年、アメリカ)―150min
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ウィリアム・モナハン
原作:オリジナル脚本(アラン・マック、フェリックス・チョン)
出演:レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォルバーグ、マーティン・シーン、レイ・ウィンストン、ヴェラ・ファーミガ、アレック・ボールドウィン・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

第79回アカデミー賞作品賞受賞作品(外国映画のリメイク作品としては史上初)。
原題「The Departed」 =「分かたれたもの」転じて「体から離れた死者の魂」の意。

さて、数年前に見て、インファナルをあえてコピーする意味がないやんと思って、70点ぐらいの気持ちで留めておいたスコセッシ映画『ディパーテッド』。彼が始めてオスカーを取った記念作品。

ただ、昨今FBIを描いた『ブラックスキャンダル』が後悔されて、本作を思い出して鑑賞し直したら、非常によくできたリメイクかつ、演技陣も演出もキレがあって面白くて再評価するべく投稿。

◎あらすじ
 マサチューセッツ州ボストン。犯罪組織との繋がりを持つ自らの生い立ちと決別すべく警察官を志したビリー・コスティガン。一方、マフィアのボス、コステロによって育てられ、スパイとなるべく警察に送り込まれたコリン・サリバン。同じ警察学校に学んだ2人は、互いの存在を知らぬまま、共に優秀な成績で卒業する。やがて、コリンはマフィア撲滅の最前線に立つ特別捜査班に抜擢され、コステロを標的とした捜査活動に加わる。一方ビリーは、その優秀さを買われ、マフィアを内部から突き崩すべくコステロのもとへ潜入するという極秘任務を命じられるのだった。こうして、それぞれに緊張の二重生活を送るビリーとコリンだったが、ついに警察、マフィア双方ともに内通者の存在をかぎつけ、いよいよ2人は窮地に追い込まれていく…。
<allcinema>

スコセッシの描くマフィア映画の中では一番好きかな。グッドフェローズよりも個人的には傑作です。

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ディカプリオの熱演ももちろんいいが、注目すべきはジャック・ニコルソンとマークウォルバーグでしょう。

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マザーファっカーやカックサッカー等の言葉が汚いほど出る。ここまで「Fuck」に拘る理由がなんだろう、スコセッシが年配の大御所監督になればなるほどFuck映画を作っているというのが興味深い。

人間設定もアメリカ人流になっており、徹底的な合理主義の中で人間関係を広げてゆくさまが面白い。インファナルと違う映画としてみると、ものすごく面白い。

特にマッドデイモンの、泥臭い情というものがまるでなく、自分の利益をひたすら追求して狡賢く動く様がいいのだ。『アウトレイジ』でいうところの小日向と武のような。

突然始まる痛々しい暴力描写も多く、FBIという点で繋がってくるあたり、『ブラックスキャンダル』よりずっと先に描かれていただけで、元祖なのだなと。

特に、クイーナン警部の落下シーンなど、クライマックスに向けた盛り上がりは、インファナルとは違った形で展開されるが、脚色がよくできており、こちらも忘れられない印象的なシーンだ。

ヴェラファミーガの美しさも冴えており、インファナルよりも、女が1人に集約されており、その点はこの脚本はなかなかいいなと。

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***ネタバレ***

最後のどんでん返しのディグナムによりラストは、恐らくコスティガンが託したレターに意味があるのだろう。

自分の身にもしものことがあったとき、ディグナムに事の真相がすべてわたるように。

だから最後の告別式で、ビリーだけでなく、二人の男の行く末を分かっていてマドリンは悲壮な顔を浮かべていたのでは、と考えるのが妥当かなという、個人的な解釈です。

「続編は作りたくない」というスコセッシ監督が意図が合ったらしいが、インセプション的などんでん返しと、その解釈を鑑賞後に楽しめる、傑作です。もちろん、元祖インファナルの方が傑作ですが。(元祖を見た1年後ぐらいに見ると、きっと違った意味でのよさが再確認できるなと。連ちゃんして見るとコピーにしか見えなくなりがち)

kojiroh