『シンゴジラ』(2016年、日本)――80点。12年ぶり、新感覚・ゴジラ映画


『シンゴジラ』(2016年、日本)――114min
監督:庵野秀明(総監督)、樋口真嗣(監督・特技監督)
脚本:庵野秀明
音楽:鷺巣詩郎、伊福部昭
出演者:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、市川実日子、高橋一生・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

※リアルタイム映画評

『シン・ゴジラ』・・・2016年7月29日公開の日本映画で、ゴジラシリーズの第29作、『ゴジラ FINAL WARS』以来約12年ぶりの日本製作のゴジラシリーズ。

さて、豊作映画が多い筆者はよく劇場へ行くが、予告編を見て是非見たいと思った映画の1つでもある、シンゴジラが評判がいいので、ポケモンGO→シンゴジラ、というブームの流れを感じ、さっそく劇場で鑑賞した。

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◎あらすじ
2016年日本映画。ある日突然東京湾で水蒸気爆発が起きた。すぐに総理の耳にも入り慌ただしく動く日本政府。その原因は海の中に潜む巨大な生物ゴジラだった。目的も正体も分からないその生物ゴジラに翻弄される日本。そんな中内閣官房副長官を務める矢口はその存在に対抗する術を見つける。しかし遠くの国の人間は核を使い街もろとも破壊しようと考えていた
<映画ウォッチより>

まず、こんな怪獣映画、観たことがない、という衝撃があった。

ゴジラシリーズなのに、妙にグロテスクで、巨大生物を会議~メディア報道で真実を解明してゆき、その解決策をさぐるという流れなのだが、国際社会を舞台にして、妙にリアルでありつつ、シュールに物事が完了の会議と共に進んでゆく。2016-08-05_140917

これはゴジラという大スペクタクルを舞台にしつつ、会議映画であり、人間ドラマにもなっている。

今風なオタクで早口なキャラも登場し、頭の回転が速い系のストーリー進行になり、とにかくスピーディーで盛り沢山だった。

登場人物もすごく豪華で、日本映画の名わき役といえるような俳優がここぞとばかり出演している。

柄本明、大杉漣、國村隼、ピエール瀧、さらにどこで出てたか分からないところで、KREVAとかいるし、シンゴジラはすごい映画プロジェクトだったんだなと関心。

 

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ハードワークに危機に対して仕事を進める中でこんなせりふを言う。

「日本はまだまだやれる。捨てたもんじゃない」

この映画を見て、わたしは邦画を馬鹿にしている人間であるが、同じような感想を抱いた。日本でこんな面白い実写映画が作れるのだなと。

ただキーマンは、アニメ出身の記載の庵野監督のセンスが全てだろうと思う。

キレのフォントを駆使しつつスピーディーに物語が進み、グロテスクな怪物が進化してゆく中での人間ドラマは、エヴァ的だなあと本当に関心しました。2016-08-05_141311

ものすごい制作費をかけていそうだが、なんと15億円で作った模様。

実写映画の邦画は基本的にGOMIばかりだと思っているが、アニメや漫画畑出身の鬼才が実写を作るとなかなか傑作が生まれるものだなと。

今後も庵野監督の実写映画に期待したいと思います。

原発事故の当時のニュースを思い出させらるようなシーンも。2016-08-05_1412132016-08-05_141111

それにしても、目が丸出しのグロテスクなゴジラが大田区を進行して瓦礫まみれになる光景なんかは、311など大地震を彷彿させるデキバエで、劇場で見てよかったなと思える一作でした。

 

追記、尚、モノのクローズショットなど、商業映画とは思えない芸術的な表現も散りばめられていて、EVAを作った監督だからこそ、実写でもその芸術性を活かしている点が素晴らしいと思いました。

kojiroh

『ディパーテッド』(2006年、アメリカ)―85点、リメイク元を知らなければ超傑作クライム映画


『ディパーテッド』(2006年、アメリカ)―150min
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ウィリアム・モナハン
原作:オリジナル脚本(アラン・マック、フェリックス・チョン)
出演:レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソン、マーク・ウォルバーグ、マーティン・シーン、レイ・ウィンストン、ヴェラ・ファーミガ、アレック・ボールドウィン・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

第79回アカデミー賞作品賞受賞作品(外国映画のリメイク作品としては史上初)。
原題「The Departed」 =「分かたれたもの」転じて「体から離れた死者の魂」の意。

さて、数年前に見て、インファナルをあえてコピーする意味がないやんと思って、70点ぐらいの気持ちで留めておいたスコセッシ映画『ディパーテッド』。彼が始めてオスカーを取った記念作品。

ただ、昨今FBIを描いた『ブラックスキャンダル』が後悔されて、本作を思い出して鑑賞し直したら、非常によくできたリメイクかつ、演技陣も演出もキレがあって面白くて再評価するべく投稿。

◎あらすじ
 マサチューセッツ州ボストン。犯罪組織との繋がりを持つ自らの生い立ちと決別すべく警察官を志したビリー・コスティガン。一方、マフィアのボス、コステロによって育てられ、スパイとなるべく警察に送り込まれたコリン・サリバン。同じ警察学校に学んだ2人は、互いの存在を知らぬまま、共に優秀な成績で卒業する。やがて、コリンはマフィア撲滅の最前線に立つ特別捜査班に抜擢され、コステロを標的とした捜査活動に加わる。一方ビリーは、その優秀さを買われ、マフィアを内部から突き崩すべくコステロのもとへ潜入するという極秘任務を命じられるのだった。こうして、それぞれに緊張の二重生活を送るビリーとコリンだったが、ついに警察、マフィア双方ともに内通者の存在をかぎつけ、いよいよ2人は窮地に追い込まれていく…。
<allcinema>

スコセッシの描くマフィア映画の中では一番好きかな。グッドフェローズよりも個人的には傑作です。

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ディカプリオの熱演ももちろんいいが、注目すべきはジャック・ニコルソンとマークウォルバーグでしょう。

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マザーファっカーやカックサッカー等の言葉が汚いほど出る。ここまで「Fuck」に拘る理由がなんだろう、スコセッシが年配の大御所監督になればなるほどFuck映画を作っているというのが興味深い。

人間設定もアメリカ人流になっており、徹底的な合理主義の中で人間関係を広げてゆくさまが面白い。インファナルと違う映画としてみると、ものすごく面白い。

特にマッドデイモンの、泥臭い情というものがまるでなく、自分の利益をひたすら追求して狡賢く動く様がいいのだ。『アウトレイジ』でいうところの小日向と武のような。

突然始まる痛々しい暴力描写も多く、FBIという点で繋がってくるあたり、『ブラックスキャンダル』よりずっと先に描かれていただけで、元祖なのだなと。

特に、クイーナン警部の落下シーンなど、クライマックスに向けた盛り上がりは、インファナルとは違った形で展開されるが、脚色がよくできており、こちらも忘れられない印象的なシーンだ。

ヴェラファミーガの美しさも冴えており、インファナルよりも、女が1人に集約されており、その点はこの脚本はなかなかいいなと。

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***ネタバレ***

最後のどんでん返しのディグナムによりラストは、恐らくコスティガンが託したレターに意味があるのだろう。

自分の身にもしものことがあったとき、ディグナムに事の真相がすべてわたるように。

だから最後の告別式で、ビリーだけでなく、二人の男の行く末を分かっていてマドリンは悲壮な顔を浮かべていたのでは、と考えるのが妥当かなという、個人的な解釈です。

「続編は作りたくない」というスコセッシ監督が意図が合ったらしいが、インセプション的などんでん返しと、その解釈を鑑賞後に楽しめる、傑作です。もちろん、元祖インファナルの方が傑作ですが。(元祖を見た1年後ぐらいに見ると、きっと違った意味でのよさが再確認できるなと。連ちゃんして見るとコピーにしか見えなくなりがち)

kojiroh

『桐島、部活やめるってよ』(2012年、日本)―85点、10年に1本?邦画の青春傑作映画


『桐島、部活やめるってよ』(2012年、日本)―102min
監督:吉田大八
脚本:喜安浩平、吉田大八
原作:朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』
出演:神木隆之介、橋本愛、東出昌大、清水くるみ、山本美月、松岡茉優、落合モトキ・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

ベストセラー小説を吉田大八監督で映画化した青春群像ドラマ。
その印象的なタイトルから様々な模倣を生んで話題になった小説&映画。
どうも安っぽい印象で、原作を読んだことがなく、多分あまり好きじゃないだろうなと思い敬遠していた。だが小説よりも映画が高い評価を得ていたので、重い腰を上げてレンタル鑑賞。

ずばり、非常によくできた邦画で驚いた。

陳腐な予算が多くてもしょぼい完成度の邦画が多い中で、この作品は郡を抜いている。

◎あらすじ
金曜日の放課後。バレー部ではキャプテンを務め、成績も優秀な学園の“スター”桐島が、突然退部したらしいとの噂が校内を駆け巡る。学内ヒエラルキーの頂点に君臨する桐島を巡って、バレー部の部員はもちろん、同じように“上”に属する生徒たち――いつもバスケをしながら親友である桐島の帰りを待つ菊池宏樹たち帰宅部のイケメン・グループ、桐島の恋人で校内一の美人・梨沙率いる美女グループ――にも動揺が拡がる。さらにその影響は、菊池への秘めたる想いに苦しむ吹奏楽部の沢島亜矢や、コンクールのための作品製作に奮闘する映画部の前田涼也ら、桐島とは無縁だった“下”の生徒たちにも及んでいくのだが…。
<allcinema>

ずばり、これはこのときこの瞬間しか撮れない映画を撮っている。

出演している少年少女たちの演技がどれもキレがあり、みんな独自の存在感を放っており、素晴らしいなと。
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特に橋本愛の存在感と透明な美女っぷりが冴えている。2016-02-17_200923

ベタベタな青春映画を想像していたから、意表を突かれた。

ポップな青春系エンタメ映画ではなく、しっかりとした力のある演出と演技、そして随時に見られるマニアックな演出・・・鉄男の映画鑑賞であったり、まさかのゾンビ映画マニアな前田君。

前田君を中心とした脚色が、この映画のすべての成功だなと、本当によくできている。2016-02-17_201201

ディティールまでこだわっているんすよねえ、みんあ携帯電話を持っているが、ガラケー中心。だが、冒頭の方で美女・リサだけスマホを使っていたり、演出が細かい。

音がないからこそ、演技と演出の力を問われる・・・純文芸的映画の要素と、マニアックな要素がミックスして調和していて、邦画の最高傑作と絶賛する人がいるのも分かる。だからこそ、吹奏楽部の演出が活きたり、よくできすぎ。

音楽がまったくない演出――日本では家族ゲームを思い出す雰囲気。だが、最後で激しい弾き語りの感情的な音楽が流れ、打ちのめされます。青春を叩き切るような歌声で高橋優「陽はまた昇る」・・・驚きのクライマックスシーンから、この展開は予想できませんでした。

目標や情熱がない帰宅部と部活。こうした学校の縮図は、ある意味で社会人でも同じなんだよなあと思わされたり、メッセージが強いです。原作はどうか分からないが。

青春の苦さを感じさせつつ、日本の高校って本当に閉鎖的で嫌な場所だなと感じつつ、高校時代をイヤでも思いださされる。

ともかく、原作の小説よりもはるかに評判もよく、絶賛の声をきく理由が分かりました。

これはなかなか映画に精通している人ではないと作れない映画であり、邦画の中では10年に1本ぐらいの傑作青春映画でしょう。(この手の映画は全然筆者の趣味ではないが)

kojiroh

『卵 -Yumurta- 』(2007年、トルコ)―85点。トルコ芸術映画ユスフ三部作その1 叙情的すぎる映像


『卵 Yumurta 』(2007年、トルコ)―97min
監督:セミフ・カプランオール
脚本:セミフ・カプランオール、オルチュン・コクサル
出演:ネジャット・イシュレル、サーデット・イシル・アクソイ、ウフク・バイラクタル、トゥリン・オセン・・・etc


【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

トルコの天才監督、セミフ・カプランオールのユスフ三部作の第一作。
第二部「ミルク」に初めてしまった筆者だが、それから見直した。

◎あらすじ
イスタンブールで暮らす詩人のユスフは、母親の訃報を受けて何年も帰っていなかった故郷に戻る。古びた家ではアイラという美しい少女が待っており、ユスフはアイラが5年にわたり母の面倒を見てくれていたことを知る。アイラから聞いた母の遺言を実行するためユスフは旅に出るが、それは自身のルーツをたどる旅でもあった。
<映画.comより>

個人的に、3部作の中で最も面白かったです。
(一番、台詞も多く分かりやすい映画だからかもしれない)

ストーリーラインが明確であり、れっきとしたロードムービー、自分のルーツをたどる旅としてつながっている。2016-01-31_185701

車のシーンも、このショットなんかも絶妙なんですよねえ。

タバコ、チャイ、そして卵、すべてがつながっている。
ミルクの販売シーンであったり、バイクの2人乗りシーン。本当にすべてのシーンに明確に意味があり、後の2つの続編につながっている。

砂糖を入れてかき混ぜるチャイのシーンがなんとも言えずいい。

そして、自然美を活かした、叙情的なショットももちろん、なんといってもサーデット・イシルの美しさが際立つ。自然美と彼女の美しさがあってこそ。

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長回しが多く、台詞も多いとはいえないが、話さなくても伝わる、このホテルのパーティーでのシーンなんかも、表情も絶妙で素晴らしいと思った。

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井戸の中のユメなど、よく分からないシーンもあったが、この3部作では夢を霊的な存在としてとららえており、フラグになっている。

そして3部作すべてに言えるが、動物がすごく実は大きな役割をなしている。
羊の生贄にも意味があるが、
個人的な解釈では、最後の犬がキモ。

犬や猫は人間を守るために存在している、霊感が高い動物といわれるが、まさに最後の犬は、ユスフを正しい方向に導くために襲い掛かったのではないかと思えるほど、なんというか、ラストシーンへの架け橋としてつながっている。

ともかく、長回しも多く音楽もなく、退屈っちゃ退屈ではあるが、この映画の美しさにすごく引き込まれて、2回ぐらいみました。

ともかく、神的世界を描いた秀作です。

kojiroh

『アンジェラ Angel-A』(2005年、仏)―80点。美しい天使の映画


『アンジェラ Angel-A』(2005年、仏)―90min
監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン
製作:リュック・ベッソン
出演者:ジャメル・ドゥブーズ、リー・ラスムッセン・・・etc
【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

鬼才、リュックベッソンの、2000年代始めての監督作品。
パリを舞台に全編モノクロ映像で撮り上げた異色のラブ・ストーリー。
主演は「アメリ」のジャメル・ドゥブーズとスーパーモデル、リー・ラスムッセン。

ベッソンが、『アメリ』的なフィーリングで作ったとも言える一作。

◎あらすじ
パリに暮らすアンドレはギャング絡みの借金が原因で48時間後には殺されてしまう運命に陥ってしまう。絶望してアレクサンドル三世橋からセーヌ河を見下ろすアンドレ。何も思い残すことはないと覚悟を決めた矢先、隣に現われた美女が、いきなり川に飛び込んだ。思いもよらぬ事態に、とっさにアンドレも後を追い無我夢中で彼女を助け出す。これがきっかけで、この絶世の美女アンジェラは、戸惑うアンドレをよそに、彼の後を付いて回るようになるのだった…。
<allcinema>

天使に関する映画。
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『素晴らしきかな、人生』を思い出す作品。
天使は実在する!?と信じたくなるほど、この作品の天使は美しい。

いや、美女っていう意味で。このモノクロ映画特有の存在感に惹かれる。そして長身。

しかし、なんでこのブ男なダメ人間にこんな美女が手となり足となりくっついてゆくのか、それは彼女が天使だから・・・

本作はラブストーリーではなく、ファンタジーコメディですね。
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ありえない設定、幼稚であり、etc、本作はフランスでも批判された部分があるが、
筆者としては、これは傑作です。

こんな美女とダメ男がくっつくのは、人間と天使という設定でなければ、逆に不自然であるからこそ、本作のストーリーは自然に感じる。

アメリのようなノリでパリを舞台にラブコメディを作ったこと、
そして、演出でジャンプカットのようにスピーディーに進む監督の演出が冴えまくっているなと、天使をモチーフにしたようなショットや、セーヌ川を渡るシーンの演出には特にうなりました。スピーディーかつコミカルで90分で収めたことは、いい仕事でしょう。

そして主演の二人、コミカルにしゃべりまくるジャメル、イエスマンで、美貌を駆使してスーパーマンのようになんでも解決してしまう寡黙なリーさん。『続・夕日のガンマン』のトゥッコとブロンディの役どころを思い出します。

しかしこれは、現代人へのメッセージ、ウソばかりついて借金ばかりして、自分をだましながら生きている邪悪な男の魂の浄化する仮定を描いており、
人と欺かない、疑わない、愛の大切さを、美しいパリとリーさんと共に描いた点が素晴らしいと思いました。

そう考えると、天使のような存在によって、邪悪な魂の浄化劇を、レオンからずっと描いてきているのかもしれない。

心を病んだ現代人が見るにはいいセラピーになりえる映画である意味で、わたしは本作は素晴らしいと思います。

ただ・・・ややネタバレになるが、本作のラストにはがっかりでした。

前編を通してモノクロのパリの世界が幻想的で美しく、ラストシーンも、下手なオチではなく、レオン的な、なんともやるせないが現実的な結末に期待していたのだが――妄想のような天使劇を肯定するようなラストには、ベッソン、どうしちゃったのさ!!

まあ観客を喜ばせたくて制作した映画らしいので、追い詰められてモテモテ状態になる主人公に自己投影する人が多く、それによって生きる希望を見出せる一作にしたかったというオチがあるのかもしれないが・・・しかし、やはりラストはなんだなああ。

アンジェラ、エンジェルA・・・ある天使の物語ってとこですね。

kojiroh

『コンスタンティン』(2005年、米=独)―85点。オカルトサスペンスアクション傑作


『コンスタンティン』(2005年、米=独)―121min
監督:フランシス・ローレンス
脚本:ケヴィン・ブロドビン、フランク・A・カペロ
原作:ジェイミー・デラノ、ガース・エニス
出演:キアヌ・リーブス、レイチェル・ワイズ・・・etc
【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

昨今、オカルト思想にはまっている筆者は、霊的世界を表現した映画を見ることにした。

さて、「マトリックス」のキアヌ・リーヴス主演のオカルト・サスペンス・アクション。監督は当時新人のフランシス・ローレンス。

◎あらすじ
異界に属する者を見分けることができる特殊な能力を持つ孤独な男、コンスタンティン。彼はその能力を使い、人間界に侵食しようとする悪を退治し地獄へと送り返すため戦い続けていた。一方、ロサンジェルス市警の女刑事アンジェラは、双子の妹イザベルが謎の飛び降り自殺を遂げた事実を受け入れることが出来ず、真相を究明しようと独自の調査を始めていた。やがて、アンジェラはコンスタンティンに接触を図る。世界の異変を敏感に感じ取っていたコンスタンティンは、アンジェラの話が関係していると思い、イザベルの自殺の謎を解くため一緒に行動を開始するのだが…。
<allcinema>

ずばり、普通のサスペンス映画として見ても、かなり面白かった。

エクソシストの派手なアクション映画、のような。

霊能力者と悪魔と、その巨大な陰謀を追う、的な。
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ずばり、これはかなり現実世界と違った異世界系の描写もあり、純粋に面白いだけでなく、天国と地獄、輪廻転生の描写など、キリスト教の世界を描いていて、すごい映画だと思った。

細かい描写で見所が多い。

・霊的能力の高い「猫」
・すべての世界とつながる「水」
・硫黄の匂いがする、霊
・自殺と大罪=地獄行き
・輪廻転生、自己犠牲サクリファイによる魂の昇華

他にも色々とあるが、日本ではヒットしなそうだが、キリスト教的な宗教社会を的確に描いており、スペクタクルアクションの要素もありつつ、さまざまな示唆があり、ある意味で本作は奇跡的な一作だなと。

ジョン・コンスタンティン――そこから始まる世界と魂の救済の物語であり、タバコと肺がん、さまざまな闇と葛藤しつつ、光の方向へ向うキアヌ・リーブスの透明感ある存在感が素敵でした。

救世主シャーマンとしてのキアヌ、自暴自棄になりつつ戦う彼のダークヒーロー感がいい。

マトリックスより、こちらの方が筆者は好きです。

現在、ドラマも始まったようで、未定であるが、コンスタンティン2にも期待したいところ。

kojiroh

『第9地区』(2009年、米)―80点。新鋭SFエイリアン映画


監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ニール・ブロムカンプ、テリー・タッチェル
出演者:シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ、ジェイソン・コープ、ヴァネッサ・ハイウッド etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

ちょっと前に、泊まっているビジネスホテルの無料レンタルコーナーの中にセレクトされてたので鑑賞。

コアな映画レビュアーも絶賛する、SF映画『第九地区』

本作で有名になった、ニール・ブロムカンプ監督の長編デビュー作。『クローバーフィールド』などクソSF映画を愛好している筆者としては、なんで今まで見てなかったのかと思うほど、傑作だった。

◎あらすじ
南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に正体不明の巨大宇宙船が現われ、そのままとどまってしまう。しかし、エイリアンは襲撃に来たわけではなく、宇宙船の故障で漂着しただけだった。追い返すことも出来ず、やむを得ず彼らを難民として受入れることに。それから20数年後。共同居住区“第9地区”はいまやスラムと化し、地域住民の不満は爆発寸前に。そこで超国家機関MNUは、エイリアンたちを新たな難民キャンプへ強制移住させることを決定。プロジェクトの最高責任者に抜擢されたエイリアン対策課のヴィカスは、さっそく彼らの住居を訪問し、立ち退きの通達をして廻る。ところがその最中に、不注意から謎の液体を浴びてしまうヴィカスだったが…。

<Allcinemaより引用>

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まず構成がいいです。

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ドキュメンタリータッチで、クローバーフィールド的であるが、巨大なエイリアンストーリーを、ドキュメンタリータッチで引き込み、気付いたら、ドキュメンタリー要素がなくなり、ゾンビ映画的な感染、そこからの脱出系なストーリーになっており、まあとにかく脚本が良くできてます。

『エイリアン』にも似ている造詣の、PRAWN型エイリアンのデザインも個人的には好きだった。

ベタな軍事利用を企む組織の巨大な陰謀という流れを組み込み、大作アメリカクソ映画の要素をふんだんに盛り込みつつ、非常に低予算ながら迫力の大作SF映画になっているなと。

最後まで敵キャラがしぶとかったり、お約束満載ながらも、ヨハネスブルグを舞台にしたオリジナリティ高い世界観・・・完成度が高いので、SF好きは必見ですけね。

しかし出演者もほとんどが無名俳優らしい。そうとは思えないほど、主演のコプリーの演技は鬼気迫るものがあり、いい。2015-12-14_172906

3000万アメリカドルにしては、かなりの傑作だなと。大金も稼いだので、続編にも期待したいところ。

kojiroh

『凶悪』(2013年、日)―80点。その名の通り、悪い男たちの名演


『凶悪』(2013年、日)―128min
監督:白石和彌
脚本:高橋泉、白石和彌
原作:新潮45編集部編『凶悪 -ある死刑囚の告発-』
出演:山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴・・・etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

評判がいいここ1~2年の邦画として、「凶悪」があったので、レンタル屋で目に付いて借りてみた。

新潮45編集部の取材記録を綴った『凶悪 ある死刑囚の告発』を基に描くクライム・サスペンス。主演は「鴨川ホルモー」の山田孝之。共演にピエール瀧、リリー・フランキー、池脇千鶴。

監督は「ロストパラダイス・イン・トーキョー」の白石和彌。

◎あらすじ
 ある日、スクープ雑誌『明潮24』に死刑囚の須藤純次から手紙が届く。それは、判決を受けた事件の他に、彼が関わった誰も知らない3つの殺人事件について告白するものだった。須藤曰く、彼が“先生”と呼ぶ首謀者の男が娑婆でのうのうと生きていることが許せず、雑誌で取り上げて追い詰めてほしいというのだった。最初は半信半疑だった記者の藤井修一。しかし取材を進めていく中で、次第に須藤の告発は本物に違いないとの確信が深まっていく藤井だったが…。
<allcinema>

ずばり、出演者の迫真の凶悪な演技に思わず舌を巻いた。

リリーもいいけど、特にピエール瀧は一世一代レベルの名演じゃないですかね。

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そして若松幸二の下で映画を学んだ、白石監督の才気もうかがわせる。

アウトレイジじゃないけど、みんな悪い。

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山田孝之は、いわゆるグッドフェローズのレイリオッタのポジションだ。

凶悪事件を起こす主犯2人の生き様は本当にもう、異様なほど凶悪。『冷たい熱帯魚』のでんでん顔負け。

しかし、そんな凶悪事件を、高齢化社会の日本の問題と重ね合わせ、保険金殺人、高齢者の殺人、土地の転売などと結んでおり、凶悪ながらも共感性の高い一作となっており、文学的であさえある。普通に国際映画祭の出品も納得です。

それにしても昨今の邦画は、資金を賭けた映画はしょぼいものばかりで、スペクタクルのような映画は作れないので、演技人の迫力や、暴力やセックス、映画の演出力とか小回りを利かせたような、いわゆる「迫真の劇」のような映画ばかりだなと感じる。

園シオンなどの台頭などもあり、邦画の秀作はこの手のものばかりであり、良くも悪くもスケールは小さくなっていて、同じような顔ぶればかりにもなりがちで、この凶悪あたりで、いわゆる「凶悪映画」のピークを迎えるのかなと、余談ながら感じた。

kojiroh

『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(2013年、米)―85点。カンヌグランプリ・コーエン兄弟監督最新作


『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』(2013年、米)―104min
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演:オスカー・アイザック、キャリー・マリガン、ジョン・グッドマン、ギャレット・ヘドランド、ジャスティン・ティンバーレイク etc

【点数】 ★★★★★★★★☆/ 8.5点

第66回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを獲得し、第86回アカデミー賞には撮影賞と録音賞にノミネートされた、コーエン兄弟の最新作。

ニューヨーク・グリニッジ・ヴィレッジのフォーク・シーンで活躍したデイヴ・ヴァン・ロンクをモデルに描く音楽ドラマ。

◎あらすじ
1961年、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ。音楽に対してだけは頑固で、それ以外のことにはまるで無頓着なしがないフォーク・シンガーのルーウィン・デイヴィス。金も家もなく、知人の家を転々とするその日暮らしの日々を送っていた。そんなある日、泊めてもらった家の飼い猫が逃げ出してしまい、成り行きから猫を抱えたまま行動するハメに。おまけに、手を出した友人の彼女からは妊娠したと責められる始末。たまらず、ギターと猫を抱えてニューヨークから逃げ出すルーウィンだったが…。

<allcinema>

ずばり、音楽好きなら堪らない傑作です。

音楽映画というカテゴリで見ると、ここ10年ぐらいでも最高峰じゃないか?

ルーウィンデイビス――彼の存在に、最初からひきつけられる。

特に秀逸なのが、猫ですね。猫映画のカテゴリでも、最高峰じゃない?こんなに猫をモチーフに、もはや重要な助演として猫がくる映画は初めて。

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この主人公は、一言でいうと、音楽しかできないクズ。
人の家を転々としてあげくには女を妊娠させたり、しかし生きるのに必死で、そんな主人公の駄目っぷりが、コミカルなんだが、現実の音楽シーンのつらさも感じさせて、ささるものがある。

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オスカーアイザックのヒゲづらの、不器用なシンガーの姿は本当に、最後は他人事とは思えないものがあった。どんな世界にも、才能あっても不器用でもがいて荒む、彼のような姿には共感性がある。

「金の匂いがまるでしない」と切り捨てられるシーンが、個人的にはかなりいい。

60年代のアメリカの世界観の再現もいい。ギブソンを弾きながらレコーディングする光景も、古臭いフォークやカントリー、レコード。最後までなぞのままのルーウィンの相棒など・・物語の構成、も秀逸ですね。

ルーウィンだけでなく、日常の不安や悩み、徒然なることをフォーク、歌に乗せる人々の姿は心を打つものがあった。

冒頭のシーンが最後に引き継がれるラストは個人的にはかなり好きだ。

そんなわけで、カンヌグランプリが納得の音楽映画でした。

だがやはり、なんといっても猫ですね、最初から最後まで。

kojiroh

『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015年、米)―80点。ターミネーターシリーズの正真正銘の新起動


『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(2015年、米)―126min
監督:アラン・テイラー
原作:Characters by (ジェームズ・キャメロン、ゲイル・アン・ハード)
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェイソン・クラーク、エミリア・クラーク、ジェイ・コートニー、J・K・シモンズ、ダイオ・オケニイ、マット・スミス、コートニー・B・ヴァンス、イ・ビョンホン etc

【点数】 ★★★★★★★★☆☆/ 8.0点

※リアルタイム映画評

Terminator Genisys

友人と一緒に株主優待券を使って映画を見に行こうとなり、迫力あり予算も沢山使っている系の超大作見ようという展開になり、前評判もなかなかよく、ジェームスキャメロンも絶賛しているターミネーターの最新作を見ることにした。

●あらすじ
 2029年、機械軍との壮絶な戦いを繰り広げていた人類は、抵抗軍のリーダー、ジョン・コナーの活躍により劣勢を挽回、ついに勝利を手にしようとしていた。追い詰められた機械軍は、ジョンが存在した事実そのものを消し去るため、殺人サイボーグ、ターミネーターを1984年に送り込み、ジョンの母サラ・コナーの抹殺を図る。これを阻止するため、抵抗軍側はジョン・コナーの右腕カイル・リースが自ら志願して過去へ向う。ところが1984年に辿り着いたカイルは、いきなり新型ターミネーターT-1000に襲われる。その窮地を救ったのは、タフな女戦士サラ・コナーと敵のはずのターミネーターT-800だった。実はこの世界は、既にカイルの知る過去とは別のタイムラインを進んでいたのだった。
<allcinema>

さて、ずばり、ぜんぜん期待してなかったのでビックリした。

面白いやん!これ!!
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中学生のころ、ターミネーター2にはまって、エアガンとか買って友人とサバゲーしたりしてたので、このT1000の復活は思わずニヤリ。2015-07-16_210228

なぜ韓国のイビョンホンなのかは謎すぎる。
が、これはこれでそれなりにハマっているかなと。

どこかこの、アジョシ的なおじさんと、それに育てられた娘って設定はデジャブだが、ターミネーターがついにその領域に入ったかなと、これは名案だなと。

それにしてもスピード感があってよかった。映画館でみるには最適。

大スペクタクルアクションの連続であった。

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敵が無敵すぎて興ざめなところがあったが、お約束な展開も多数あるが、初めから終わりまで、退屈することなく見れました。

てか、本作はとにかく、アイディアがすばらしいなと。

これはキャメロンの知恵なのだろうが。タイムとラベルを交錯させて、現代に近い2017年へ繋がるくだりは素晴らしいアイディアなと、個人的には意表を突かれた。しかし矛盾は感じない流れで、これこそ正当な「三作目だ!」とキャメロンがうなるのも納得。

さて政治家になってしまってすっかり迫力ないかなと思われるアーノルドシュワルツネッガーだが、いい。オールドタイプのターミネーターT800だが、いい。

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人間らしくなっており、演技も渋さと声の彼ぐらいも深みを感じる。

クリントイーストウッド的な渋さが出てきて、いい。
しゃがれてしまった声がいいのだ。
古いファンだからついつい、ラストの展開には涙が潤んできた。
「・・・My sarah Coner」

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個人的にはヒーローとヒロインがイマイチではあった。

主演の2人は特に美男美女でもなく、何で選ばれたかよくわからない、初期のリンダとマイケルビーンの2人の方がよかったが、まあ現代っぽいポップさはあるか。

しかし冒頭の展開から、過去の焼き直し的なものかと思って全然期待していなかったので、地味に感動してしまった。

最近のハリウッド映画のスペクタクルとしての迫力もさることながら、ジェネシスという存在と審判の日を結びつけるかんじが、高度ネット社会の現代と、スマホや管理下社会への痛烈な風刺も感じさせられ、やはり大衆娯楽映画ながら、現代社会を表現しているメッセージ性が個人的にはかなり楽しめた。

200億円かかってない程度の制作費ながら、なかなか秀逸なターミネーター最新作だった。きっと大ヒットして、続編もどんどんできるだろう。

ただ本作がかなりデキがよく感じるので、これ以上のクオリティは期待できないかなあという感想です。

kojiroh